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来訪

 時計が11時を回った頃、

待ち侘びたインターホンが鳴る。

 ゆりかは兄にフランス語の辞書を借り、父からプレゼントされたフランス語の『星の王子様』を解読してみようと意気揚々と廊下を歩いていた。

 

 ふと階段下に人影が見えた。

あ、お客様だ。

4人もいる?

どなたかしら?と少しかがんで、階段下を覗きこんだ。


!!!!!


バザバサバザバサ!


 驚いた瞬間、フランス語の辞書と大事な本を落としてしまった。

さらに2冊の本は転がるように階段を転げ落ちていった。

気付いたら皆んなの注目を一身に集めている。


 「あ!ゆりか!」

本来ならいるはずもない人物に名前を呼ばれた。

和田悠希!!


 階段下には挨拶に出てきたのだろう兄が呆れ顔で本を拾ってくれていたので、慌て階段を降り、兄から本を受け取る。


 「失礼しました。

娘はそそっかしくて。

長男の隼人と長女のゆりかです」

父がお客様に紹介した。

 

 父の言葉にお客様の方向を見やると、悠希の他にもよく見知った人物がいた。

その人物と目が合う。

「やあ」

天使!…いや、あらため貴也君!

相変わらず、ニコニコとした天使の微笑み浮かべていた。

が、すぐ近くにいる悠希が視界に入り、

ゆりかの顔がすぐさま引き攣りそうになる。

 その瞬間、兄に肩をグイと引き寄せてられて耳元で「笑顔」と囁かれた。

一瞬不覚にもドキッとしてしまった。

お兄様ったら、いつの間にこんなワザを。

そのまま兄は玄関先までゆりかをエスコートした。


 「隼人、ゆりか、ご挨拶して。

こちらは和田社長と奥様だよ。

こちらの悠希君のご両親だ。

そして悠希君の従兄弟の相馬貴也君。

ゆりかと2人とも同級生なんだってね。

今日は一緒に遊びに来てくれたんだよ。」


 父からの紹介を受け、兄は慣れたようににこやかに挨拶をする。

「お久しぶりです、和田社長。

長男の隼人です。

冬のパーティーでお話しして以来ですね」

和田様はスポーツでもしているのだろうか、がっちりした身体つきで髭も生やしたダンディーという言葉がよく似合う男性だった。

「お久しぶり。

よく憶えてるよ。

まだ小学生なのに、とてもしっかりしていたからね。

少し身長も伸びたかな?」

和田様は兄に話しかけ、今度はゆりかの方を見て目を細めた。

「君がゆりかちゃんか!

君の話もこの2人からよく聞いていていてね、ずっと会ってみたかったんだよ。

いや〜、噂に違わず可愛らしい」


 笑顔のゆかりの耳がピクリと動く。

話?噂?

可愛いだけならいいけど、

他になにか吹聴したのかしら?


 「ありがとございます。

お二人とはいつも仲良くさせていただいております」

ゆりかはペコリと頭を下げる。

「これはこれはとても礼儀正しい!

高円寺様のご子息ご息女はしっかりしている!

うちの悠希ときたら、来年小学生になるというのにこの調子で…

爪の垢でも煎じて飲ませてあげたい」

和田様の発言に悠希が居心地悪そうな顔をした。


 ご両親からも散々注意されてるのかしら?

無礼行の数々。

本当にあとでお兄様の爪の垢を煎じてあげましょうか。

悠希君もお兄様の猫かぶりが身につくかもしれません。

あ、私のでもよくってよ。

ふふふ。


いつも拙い文章をお読みいただき、

ありがとうございます!!


今のところ、15部までは毎日21時に更新予定でいます。

それ以降はまたこちらでご報告させてもらいます。


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