4.さっき。
まぁ似てるなぁとは思ってたけど、雰囲気が異世界チックになってて分からなかった。
俺らまで異世界風にされてるとは思わなかった。
いやでもよく見たら完全にかぐやだなぁ。
でもこれは俺も気づかれてないか。とりあえず自己紹介。
「どうも、さっきはすみません。ヒスイ・ルイって言います。冒険者になりたくて、帝都に行こうと思っています。よろしくお願いします」
「…………っっ!!」
あ、テンパってる。
「へぇ、ヒスイちゃ……くんっていうのかぁ。さっきはごめんね。勘違いしちゃって。冒険者になりたいんだ。
んー……じゃあここであったのも縁だし、いろいろと教えてあげるよ」
俺がかぐやのリアクションを楽しんでると、ビートから都合のいい提案がきた。
ありがたい。
だが、その提案にのろうとした俺の声が遮られる。
「ごめん! その前にちょっといい? る…ヒスイくんに話しがあるの!」
「いえいえ、先を急がないと……」
「いいから来る!」
そう言ってかぐやが、俺の首をつかんで連れて…もとい引きずって行く。
やめてやめてもげるもげる。
「なんだぁ? 一目惚れかぁ?」
「いや、惚れたわりにはぞんざいな扱いだったと思うけど……」
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「ルイ! やっと転移してきたのね!
待ってたのよ!」
「ごほっごほっ…筋トレはまだ続けて……」
「ん?」
「うん、そうなんだよ」
苦しかった……される痛みを知れ。あほあほぅ。涙目になりながらもなんとなく思っていたけど、クラス全員が転移してたんだな。でも、
「時間までずれて転移してたのか」
「さすがね。その通りよ。ま、と言っても誤差は4、5年ってとこだけど」
かぐやが草原に腰を下ろしながら現状の説明に入る。いやあの人たち待たせてるんだよね?
「まだ全員は見つかってないけど、ほぼ全員転移したと見ていいと思うわ。みんな固まってるわけじゃないけど、冒険者チームを作ったりしているって噂も聞くし……」
話しながら隣をぽんぽんとたたき、隣に座るよう、勧められる。
少し躊躇いつつも、俺は促されるがままにかぐやの隣に座る。
隣に座ると、冒険者になっても変わらない女の子の匂いがフワリと鼻をくすぐり、素直に思う。
すごいな、こいつは。さすが名家のお嬢様。こんなところに来てまで手入れは抜かりないのか。
感心していると、かぐやがいきなり距離を近づけてくる。
「まぁ、そういうことはともかく、ね。
会えてよかったわ、本当に……」
カグヤの言葉に若干熱が入る。
これは……
「ルイ……」
名前を呼ばれて、言葉を返す。
「……カグヤ」
俺とかぐやの距離が近づく。そして……
「お前んとこの冒険者チームに俺を入れて欲しいんだけど」
「………」
今はそういう場合じゃないだろう。うん。
おいおい睨むな睨むな。
「せっかく人がデレてるのに…なにそれ?
はぁ、まあいいわ、それに関しては後で言っといたげるけど、ある程度実力ないと無理よ? ステータスってどんな感じ?
…あっステータスっていうのは―――」
「ステータスオープン」
「……もういいわ。」
名前:ルイ・ヒスイ
種族:人間
LV:1
SP:20
MP:81
通常スキル
身体操作LV5
体技LV3
剣術LV1
鑑定LV1
魔力操作LV2
ユニークスキル
言語理解
称号
天才・転移者
「こんなんだ」
「……ルイ、いつ転移してきた?」
「さっき」
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