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女神男子の正解を  作者: 作意 扉
第零章:スタートの前
1/18

1.日常からの

よろしくお願いします。



「……疲れた」



 ある高校の1-1の教室の机から、そんなつぶやきがもれる。



「おい、まだ入学してから1ヶ月もたってないぞ。しっかりしろよ」


「いやしっかりするのはあんたでしょ、刃目。明日から夏休みよ?」



 その前の席の男子が後ろを向き、隣の席の女の子はわざわざ席を立つ。



「ほら、累。情けないこと言ってないで、起きなさいよっ 私の彼氏でしょ?」


「……ちょっと、揺らさないで。やめて」


「んなっ、せっかく彼女が心配してあげてるのに……!」



 むうぅ、と少女はむくれる。



「大体、累はやる気がなさすぎよ。本気を出しなさいよ。そうすれば、なんでもできるじゃない」


「……いやできないことくらいあるわ、普通に。お前みたいなスーパーお嬢様大和撫子と一緒にしないで欲しい」


「私を過大評価しすぎよ」


「……あぁ、確かにお前にもできないことがあったな」



 そう言いながら、かぐやの腹部をつつく。



「ダイエットぅ」



  ガンッ!



 今机に叩きつけられた男の子、いや、男の娘の名前は 翡翠ヒスイ ルイ


 今年から高1になった容姿の可愛い男子だ。


 彼は身長169センチ。

 体重50キロ。

 と、比較的小柄ではあるが、女子というほど小柄ではない。


 だがひとたび顔を見れば、小さい顔には大きくクリクリとした目。

 まわりの肌はまっさらと白く、綺麗な黒髪をしており、確かに男の娘といってもおかしくない容姿をしている。


 実際にこの男には実績がある。

 幼稚園、小学校、中学校の卒業式の日全てで男子から、熱烈に告られたという実績が。

 それはもう、熱烈に。



「大丈夫かー?」



 スマホをいじりながら、男は累に声をかける。


 この男の名前は刃目ハノメ コウ。累の小学生からの幼馴染だ。


 アホ、運動音痴、ドジと三拍子揃っているが、容姿だけはいい。モテる。

 あまり自分から会話を繋げることはない。俗に言う、低温系男子だ。身長は非常に高く、髪は生まれつき茶髪。

 だがそれでも彼女はいない。残念イケメンである。



「……フンッ‼︎」



 そっぽを向きながらこれでもかと頬を膨らませる少女。

 彼女の名前は、オリ かぐや。容姿端麗な美少女である。

 運動神経がよく、スタイルも抜群。少し性格が荒っぽいことを除けば、完璧と評していい女の子。

 かぐやは二人と幼馴染ではなく、高校からの付き合いである。



「いっったぁぁ… 何この一撃筋トレでもしてんの?」


「なっ…! はぁあああ!? んなわけないでしょこの馬鹿!」



 再度飛んできた一撃を累はボクサーよろしく華麗に回避。そして流れるように両腕をポジションに固定。頭をその上に乗せる。

 この間0.5秒。そしてそのまま―――



「……スー…スー…」


 

 と、寝息が聞こえてくる。



「んなっ! はああぁぁあああああ!? 起きろこのデリカシー知らず!」



 しかし、累の寝息が聞こえるので、かぐやは怒りの行き場を失い、何も出来ずに累をこれでもかと睨む。



「むぅぅううううう!!」


「……スー…スー…」


(……俺も寝るか)



 そんな3人に周りの人たちは様々な視線を送る。温かい目、嫉妬の目、中には熱をもった視線を送るものもいる。


 そんな3人の通っているこの学校は県内トップの進学校だ。こんな3人でも、頭だけはなかなかいいのである。いや、1人は運で入ったようなものだが。

 中でもかぐやはこれまでのテストで一回を除き、すべて1位を取っている。



「ほら〜授業始まるから先につけ〜」



 教師が教室に入り、全員が席に着く。

 そして授業が始まり、寝たふりをしていた累は今度こそ意識をまどろみの中へと沈めていく…………













「おい! なんだこれ!」



 累を起こしたのは1人の男子生徒のそんな言葉だった。唐突な叫び声。

 それはとても授業中に出る音量ではなかった。



(なんだうるせぇなぁ、こっちは静かに寝てるんだから、静かにしろよ……)



 累は不機嫌そうに身じろぎし、また寝直そうと下を向く。

 しかしそんな累の視界上に妙なものが映る。


 床だ。いや、床自体はおかしくないが、色がおかしい。

 真っ黒なのだ。

 それはそれは真っ黒な床だったのだ。



「え?」



 累が呆気にとられている間に、そのは教室の床、壁、天井、ついには教室内の備品を除くすべてが黒く染まっていく、

 累が異常に対して対処しようと思った時、そのは、





  その教室内の全ての人間を消した。


 ここまで読んでいただいてありがとう御座います。

 拡散、ブクマしていただけると有難いです。

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