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世界を滅ぼせ太郎  作者: 極大級マイソン
【禁断の愛編】
7/12

第7話「女の子は甘いものが大好き(偏見)」

「オラァ、見つけたぞ三条正樹ッ!! ここであったが100年目、今日こそテメェをぶっ倒してやるぞコラッ!!」

「待て、待てって石垣!!」

「あ? 何だお前は?」

 石垣が無鉄砲に向かっていったその先には、二人の男子高校生がキョトンとした顔で立っていた。

 一人は三条正樹、もう一人はメガネのよくわからない奴である。

「ね、ねえ何だよマサキ。なんか怖そうなヒトが凄い顔で睨んできたんだけど……!」

「さあ、知らん。こんなガニ股の頭悪そうな女初めて見たぜ」

「誰がガニ股だコラッ!!」

「頭悪いってのは否定しないんだな……」

「忘れたとは言わせねえぞ!! 先日、俺はお前のせいで犬に追いかけられ、挙げ句の果てにずぶ濡れになったんだからな!!」

「スマン、全然心当たりがないんだが……」

「前にガチャやってた時に!!」

「ガチャ?」

「犬にレンガが当たって!!」

「レンガ? 犬?」

「……! お前に石ころを投げつけた女だよ!!」

「石……投げつけ……! ああ、お前あの時のっ!!」

「ようやく思い出してくれた!」


「何でちょっと嬉しそうなんだよ」

 佐藤は石垣の傍らでため息をついていた。

「マサキ、この人やっぱり知っているの?」

「知っているっていうか。前にダチと通りを歩いていた時に、いきなり石ころ投げつけてきた頭のおかしい女だよ」

「三条正樹、巷でも強いと噂のお前を倒すために、今日はスペシャルゲストを連れてきてやったぜ! 先生、お願いしますっ!!」

「こんな時だけ先生って呼びやがるなこいつ……」

 仕方なく、佐藤は石垣の前に出て二人の男子高校生たちを見据えた。

「あんた、その格好学校の先生か? この女の担当教師ってところか」

「まあ、そうだな」

「先日、そこにいるガニ股の女に石を当てられそうになった。相手が俺だったから良かったものの、下手したら大怪我になるところだ。担任なら、今後こういうことが起きないように、そいつによく注意してやってください」

「……はい、よく言って聞かせますんで」

「お願いしますよ。それじゃあ俺たちは用があるんでこれで」

 そう言って二人はスタスタとこの場を離れて行こうとした。

「って、おおいっ!!」

 しかし、当然納得がいかないという人物が現れる。石垣は凄い勢いで三条の肩を掴んで引き止めた。

「何だよ」

「何だよじゃねえ! 何で普通に帰ろうとしているんだ!! 佐藤も、何であっさり引き下がってんだ!!」

「いやだって、この三条って子何も悪くねえんだもん。俺にどうしろっていうんだよ」

 それどころか、担当する生徒が他校の生徒に暴力を振るったという事で、寧ろこっちが謝らなくてはならない立場である。

 だが石垣は馬鹿なのでそんなの関係ないとばかりに三条に噛み付いていく。

「……あー、そこの先生。助けてもらえませんかね?」

「助けます。おい、その辺にしとけ馬鹿野郎!」

 佐藤は石垣を後ろから羽交い締めをする。

「離せ佐藤っ! これは俺のプライドをかけた戦いなんだ!!」

 石垣はジタバタと暴れ出した。

 一方で、二人の男子高校生はどうしたものかと悩んだそぶりを見せていた。

 二人は暴れる石垣を見て話し合っていた。

「どうしよう……、この場を離れるのも後味悪いな。練乳あげたら和解できるかな? 女は甘いものが大好きっていうから」

「僕が彼女の立場なら、それだけで余計殺意が湧いてきそうだよ。この後用事もあるし、面倒事に関わっている暇は無いんじゃない?」

「うう〜ん、いやしかしなぁ。こういう粘着質なストーカーは早めに対処しないと後々ロクなことにならねえんだよ」

「何それ、体験談? 何にしても二人で遅刻するわけにもいかないだろう」

「じゃあ……ナス、お前こいつの相手してやれ」

「何でだよ!?」

「いや、俺よりナスの方が交渉ごと上手いからさ。それに、どうせお前はこの後の集まりで役に立たないだろうし」

「役に立つよ!? マサキの知り合いなんだからマサキが何とかしろよ! 僕は絶対に嫌だからね、あんな口より先に手が出て来そうな怖い女の人を相手にするなんて! 僕は見ての通りひ弱で、喧嘩は苦手なんだから何か問題が起きたら一発でノックアウトさ!」

「茄子二つ買ってやるからさぁ」

「あ、それなら構わないよ」

「良いのかよっ!?」

 佐藤は思わず二人にツッコミを入れてしまっていた。

 そして三条は『それじゃあ先、行っているぜ」と言って、メガネの少年を置いて通りを走っていった。

「あっ逃げんな三条! この佐藤がお前をギッタンギッタンにしてやるからっ!! 今すぐ戻ってこいこの臆病者ーッ!!」

 石垣は叫び声が、その声は三条の耳に届くことなく、虚しく風に吹き抜けていくだけだった。

 そして、佐藤とメガネの少年はお互いの顔を見合わせていた。

 少年は苦笑いを浮かべた。


「ど、どうも。僕、那須太一(なすたいち)って言います〜」


 少年のそんな表情を見て、佐藤も釣られて苦笑いをした。

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