人物紹介
現在登場している人物の紹介です
それから俺は曽祖父ちゃんと共に商店街に挨拶周りを済ませ、鍼灸院を学校時代の友人に任せて異世界に旅立つ準備を始めた。
「のう信吾、ワシのこと曽祖父と呼んでくれんか?」
「なんだよいきなり・・・曽祖父ちゃんって何度も呼んでるじゃないか」
「ンフッ・・・ほっほっほ・・・いいのういいのう」
ニヤニヤしながら頷く曽祖父を尻目に俺は最後になるかも知れないこの見慣れた風景を眺めながらドラゴンの姿になった曽祖父の手につかまると見送りに来てくれた人たちに手を振った。
「皆!達者でなーっ!」
「もちろんだーっ!そっちこそ達者でなーっ!」
「生水には気をつけるんだよーっ!」
「商店街は俺たちできっと守り抜いて見せますから安心してくださーいっ!」
最初こそ皆曽祖父の姿に驚いていたがやがて手を振り返しながら思い思いの言葉を返してくれた。しかしそれもやがて遠くなり、視界が歪み始めると同時に地平線まで続く森林と平原が目に飛び込んでくる。
『いい人達じゃったのう』
曽祖父の言葉に俺は大きく頷くと鼻を啜って目を擦り、新しい世界に目を向けた。
俺の故郷、祖父の故郷だ。
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上泉 信吾
年齢35歳
本作の主人公。鍼灸院を営む男性で筋骨隆々の大男。鍼灸と整体、ほねつぎの達人で祖父が開いた鍼灸院を継いで医師として働いていた。
天才的な腕前を持ち免許皆伝は15歳。正式な免許をもらう前から近所の老人に協力してもらい按摩や整体の勉強をしていた。
義理人情に篤く祖父もしくは曽祖父に頼まれるとイヤとは言えない性格で曲がったことが嫌いな性格をしている。
上泉 宗達(故人) アインツベル・ベルムート
信吾の祖父。かつて異世界で世界の安定のために鎮座し、神のように崇められたドラゴンの末裔。故郷の世界ではアインツベル・ベルムートと呼ばれている。しかしながら運命の女性と出会いそれを追いかけて世界を飛び出してしまい、信吾の住む世界で寿命を使い果たし老衰した。
老龍グランド・ベルムート
数千の年月を生きた老龍で信吾の曽祖父に当たる存在。世界の安定を司るドラゴンの総帥であり世界を渡る力を持つ。しかし相当な子煩悩だったらしく宗達の反発を招いてしまいその負い目から出奔を強く引き止めることができず、結局異世界で暮らすことを黙認してしまっていた。
それから信吾がドラゴンの力を宿していることに気付き早死にさせまいと連れ帰る決心を固めた。ちなみに信吾にも非常に甘い。
田山源蔵
商店街の会長を務める鍼灸院の常連さん。信吾に妻の命を救われてから彼に全幅の信頼を置いており今回の騒動で故郷に帰ることを知り残念に思っている。
明美婆さん
闇市の時代から食堂を営む肝っ玉母さん、現在娘5人と孫が8人いる。
ヤクザやチンピラ相手に怯むことなく立ち向かえる胆力と若者の為に心を砕くやさしさからリピーターが絶えない繁盛店の名物女将。
上泉 幸三
信吾の父、本来はグランドは幸三も連れて行きたかったが人間の血が濃くドラゴンでは無い事と結婚していることから断念した。
宗達と違い若くして前髪が後退し始めておりそのことを気にしている。ちなみにドラゴンに薄毛や禿がいないことを知り血を濃く残してくれなかった宗達を初めて恨んでいる。