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ゴロツキ一行様 その2

ちょっと短いです

かれこれ何分経っただろうか。喧嘩は石の投げ合いへと変貌し、互いに石を拾っては投げ合うという断じて大人が断じて興じるべきではない幼稚な戦いへと堕落して体力勝負となっていた。


「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」


両陣営共に意地で石を投げていたがランドの魔力が切れた時から俺に軍配が上がりつつあった。


「しつこいやつだ!さっさと倒れろ!」

「う、うるせえ!まだまだだぜ!」


足元にこぶだらけになって泣きながら倒れ伏している仲間を庇うようにランドは虚勢を張る。しかし彼の顔も倒れてる仲間達と同様にコブだらけである。

対する俺はこの体のお陰でまったくダメージはない。どうやら自己再生能力もかなり高いようだ。

そして互いに石を振りかぶった所で・・・。


「こらーっ!」


聞き覚えのある声が響き、俺達は声の方を見る。するとそこには宿から出てきたクラウディアが腰に手を当てて此方をにらんでいる。


「んだぁ・・・あれはもしかして・・・げ!クラの字じゃねえか!」


そういうとランドは吃驚した様子でクラウディアを見ている。こいつら知り合いだったのか?


「このっ!また迷惑かけて!おじさんに言いつけるよ!」

「うわわ!それだけは勘弁してくれえ!」


クラウディアに耳を引っ張られて踏鞴を踏むランドは彼女にこっぴどく叱られている。俺はその間に一人ずつ治癒魔法を掛けていく。


「クラウディアとランドは知り合いなのか?」

「ええ、ランドさんのお目付け役を小さい頃にやってましたんで」


小さい頃といってもクラウディアは五歳かそこらで教会に行ったはずだよな?

そんな俺の疑問に答えるようにランドの一の子分らしいディズが答える。


「お休みをもらってちょくちょく帰って来てたんでさ、治癒魔法を覚えたから練習がてらに無料でやってたんで助かってましたよ」


故郷のアクサ村だけでなく彼女は隣村でも治癒魔法を小さい頃から行っていたようだ。医師が少ないから仕方ないのだろう。そしてその関係で村々で顔が利く彼女は悪餓鬼のリーダーであるランドの目付け役を任されていたのだという。

教会では騎士の適性を図る一環で護身術も教えていたらしく腕っ節も子供ながら一番だったとか。


「ランドさんもカミさんが欲しくて焦ってたんで・・・勘弁したってくだせえ」

「人妻を欲しがっちゃ拙いだろ・・・」


どうにも素直に奥さんを紹介しようとすると見栄を張るらしい。面倒くさいやつだな。


「やめろと言われるとやりたくなる天邪鬼な性格でね」

「ったく・・・面倒な奴だ」


クラウディアにこってり絞られたランドは子分を連れて帰っていった。ああ見えてランドも面倒見のいい性分らしくたまに起こす面倒を覗けばガキ大将的な存在として若者の顔役をしているようだ。

クラウディアが結婚したと言うことを知ってかなり驚いていたが相手が俺だと言う事でそれから突っかかってくることは無くなった。知り合いの夫と言う事とアキナの夫でもあることを知ってからは逆に尊敬されるようになった。

この世界では妻の数は甲斐性の証であり、まだ16歳前後とは言え独身のランドにとっては既婚者の俺が凄い男に見えるのだろう。

貴族に側室が多いのもその理由が当てはまる。実際は跡継ぎなどの問題もあるだろうが女性が出世や金銭目的で嫁ぐこともある為、正妻が産み、側室が共に育てつつ家を纏めることもある女性の地位は存外高いのだそうだ。

いざと言うときは主人に代わって家を守り、仕事の代行まで行うこの世界では専業主婦がキャリアウーマンも兼ねてるのだろうか?女性を複数娶る事でなにか良いことがあるのだろうか?

神官と巫女という二人の美少女を嫁にしてる時点で俺も人のことは言えないが。


ランドとのやり取りが遭った事以外は特にこれと言ったこともなく(女将さんの旦那さんが作るスープは美味かったが)、龍の巫女様目当てに来た病人やけが人に三人係りで応対した。


「よお!手伝いにきたぜ!」


意外というべきか途中からランドが応援に来たので軽症者は早く片付き、日が沈む頃には重傷者も自然治癒に任せられる位には回復した。


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