朝食後
大変ながらくお待たせいたしました。
プロット修正や、その他リアル事情でしばらく更新を休止させていただいていました。
今後不定期ですが、更新を再開させていただきます。
朝食の後片付けをしながら亮君とお話しをします。
一人でもいいと言ったんですが、心配だからと私が洗ったお皿を拭いて棚にしまってくれているんです。
優しい旦那さんです。
それはさておき、さっき和風が食べたいと言っていたように、亮君に食の好みや食べたいものがあります。
でも私は亮君がどんな好みなのか、今日は何が食べたいのかなど言葉にしなければわかりません。
お肉が好きということは知っているのですが、毎日お肉というものあれですし、旦那さんの食べたいものを食べさせてあげられないというのは奥さんとして寂しいですから。
「亮君、目玉焼きの焼き加減とかで好みありますか? 」
朝食の話題ついでに、目玉焼きについて話してみます。
目玉焼き、それは罪づくりな料理です。
焼き加減では固焼きか半熟か、はたまた黄身にはほとんど火を通さないかという違いが。
焼き方でも目玉になるように焼く人もいればひっくり返す人もいます。
さらに味付け、私は塩コショウですが、醤油、ソース、ケチャップ、マヨネーズと何をつけるかという好みもあります。
以前お父さんとお母さんが目玉焼きの焼き加減で喧嘩をしていましたから。
たしかあの時は……最終的に目玉焼きは自分で作るという形で落ち着いたんでしたっけ。
でも私の分はどうするかとなった時にまた喧嘩になりそうだったので、二人とも作る時は三つ目にして、双方から一つ私がもらうという提案をして事なきを得たんです。
三人で別々のタイミングで作るとさすがに時間がかかってしまいますからね。
「目玉焼きかー、あまり食にはこだわらない方だけど……とろとろの黄身をご飯にのっけて醤油かけるのは好きかな」
「あーおいしいですよね、混ぜて玉子かけごはん風にしてもいいですし。
あ、丸ごとのっけて丼風というのもいいですよね」
「そうそう、こっちに来てすぐのころは玉子かけごはん食べられなくって歯がゆい思いをしてたよ。
いやー懐かしいわ」
「じゃあ今度からご飯と合わせるときはトロトロにしておきますね。
あとは……何か好きな食べ物ってありますか? 」
目玉焼きの好みは私とほぼ同じみたいなので大丈夫みたいですね。
あ、でも亮君の分は塩コショウかけない用意したほうがいいかもしれませんね。
「んーやっぱり肉だけど……ベーコンたっぷりのスパゲッティとか。
和風なら大根おろしたっぷりのハンバーグなんかが好きかな」
「あ、良いですねそれ。
じゃあ今日のお昼はハンバーグにしましょう」
「お、やったね。
じゃあお手伝いさせてもらおうかな。
ハンバーグっでこねたり伸ばしたりもそうだけど、こっちの世界だとミンチにする手間もあるし」
そういえば今あるお肉は全部ブロック肉でしたね。
ミンチのお肉は、お店を開けるときは注文しているんですが足が速いので普段は頼まないんです。
だからハンバーグを作るならミンチにする必要があるんですよね。
「それじゃお願いしますね。
……この際なんで亮君も本格的に料理覚えませんか? 」
「え……? 」
「いえ、もう寝込むつもりはないんですが……パフェとかは私よりも手際よく盛り付けますし。
分担できると助かる場面が多いので……それに、あの……夫婦ですから子供ができたときとかは……その……」
ちょっと恥ずかしいですけど、そういうこともないとは言えませんからね。
というより近い将来そういうことは考えておく必要がありますから。
私も亮君もあと数年すれば三十路になるわけですし、日本と比べてこちらの世界は全体的に技術が発展途上です。
それはつまり、出産の際のリスクが大きいということですから。
亮君にお店を任せようというわけではないのですけどね。
「あ……あぁ、そういうことね。
なら……うん、ちょっと本格的に覚えようかな。
それに子供のことも本格的に……」
「そ、それはまた別のタイミングでしっかり話し合ったうえで……」
「そう……だね、でもちょっとだけ」
そう言って亮君はお皿を棚にしまって、背後から抱き着いてきました。
お皿を手に持っているので抵抗できず、されるがままに抱きしめられている私ですが、そもそも抵抗しようとは思えないんですよね。
でもやはりこういうことには奥手なので、顔が熱くなってしまいますしお皿を洗う手も止まってしまいます。
「抵抗しないなら……しばらくこのままでもいいよね」
そう耳元で囁く亮君に、何の反応も返せないまま数秒が立ったところで唐突にこの幸せは途切れることになります。
どたどたという足音と共に飛び込んできた人がいました。
「蒼井! 約束通りケーキの作り方を教えてもらうわよ! 」
そう言って飛び込んできたサラさん。
慌てて離れた際に頭をぶつけた亮君。
顔を赤くしながら二人を交互に睨んでしまった私という微妙な空間でした。
ただ、サラさんはあまり気に留めていないようでした。
よっぽどケーキの作り方が知りたかったのでしょう。




