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朝食

 日付も変わり、夜が明けて階下に降りてみるとそこにはいつも通り食材が仕入れられていました。

 本当にこの食材はどういう原理で現れるんでしょうね。


 まあそんなことはさておき、食材の確認です。

 えーと、お味噌にお醤油、小麦粉に玉子に牛乳に、果物がいくつかと、お野菜たくさん、お肉とお魚と食パンもありますね。

 うん、注文通りです。

 

 とりあえずこの食材で朝食を作ってしまいましょう。

 外から風切り音がするので、亮君はトレーニング中でしょうしその間にね。


 うーん、今朝はどうしましょうか。

 最近はおかゆばっかりでしたし、たまには洋風な朝食にしてみましょう。

 まずはちょっと時間がかかるスープから手を付けて、ヘタを取り除いたトマトを2個、そのままお鍋の中に入れて、トマトが半分つかるくらいまで水を入れて弱火でじっくり煮込んでいきます。

 その間水分を飛ばさないように蓋をしておいて、その間に適当な野菜を刻んでサラダを作ります。

 ドレッシングは……あぁ今回注文してなかったですね。

 無ければ作っちゃいましょう。

 確かお店の厨房にごま油があったので、それを器に移して、お醤油と御酢、粗びき胡椒を入れて素早く混ぜます。

 これだけで簡単おいしいドレッシングの完成です。

 お好みでマヨネーズなんかを入れてもおいしいんですよね。


 さて、サラダが完成したのでスープの様子を見てみます。

 あぁしっかりトマトから水分が出ていますね。

 ちょっと多すぎたかもしれませんけど、良しとしましょう。

 トマトはゆるゆるになっているので、お箸でつまめば皮は簡単に向けてしまいます。

 皮を入れたままでもいいんですが、亮君はこういう薄皮が苦手みたいですから今回は取り除きます。

 前は茄子の肉詰めの皮も取っていましたからね。


 それから木べらでトマトをつぶして、固形コンソメを……この量なら二つ入れて、胡椒とタバスコを少々入れて完成です。

 タバスコの量を増やせばピリ辛になりますけど、今は朝なので風味づけ程度に。

 これで簡単トマトスープの完成です。


 最後に食パンにベーコンを載せて、パンの淵に一回りマヨネーズを、そして真ん中に生卵を落としてオーブンでじっくり焼きます。

 卵の白身が程よく焼けたら完成。

 昔アニメ映画で主人公の男の子が作っていたのを思い出しました。


「亮君、ご飯できましたよ」


 窓から顔を出して、外で剣を振っている亮君を呼びます。

 上半身裸で剣を振っていた姿は、淑女の目に毒ですけど私しか見ていないようなので目を瞑りましょう、物理的にも。


「亮君シャワーはいいんですか? 」


 すぐに駆け足で上がってきた亮君はタオルで汗を拭きながら部屋に入ってきたので、そう尋ねます。

 普段の亮君はトレーニングの後は軽くシャワーを浴びていたはずなのですが。


「茜さんの料理が冷めるのが嫌だからね。

その後でゆっくりと浴びることにするよ、一緒にどう? 」


「ダメですよ、まだ朝なんですから」


 一緒に入ったら何をされるのか予想がついてしまうので、お断りしておきます。

 経験というのは、雄弁ですからね。

 

「それは残念、それより今日は洋風なんだね」


「えぇ、最近おかゆばっかりだったのでたまにはこういうのも食べたいなと思いました。

和食の方がよかったですか? 」


「いやいや、茜さんの料理なら何でもうれしいんだ。

だけど最近茜さん寝込んでて外食だったし、昨日はリゾットで洋風だったから和食が恋しくなっちゃって」


「あぁそういえば……じゃあお昼ご飯は和風にしますね」


「ありがとう、悪いね我がまま言ったみたいになっちゃって」


「いいんですよ、夫婦なんですから」


 そう言って手を合わせます。

 亮君も同じように手を合わせて、二人でいただきますと言ってから食べ始めました。

 私はサラダから、最初に野菜を食べるといい、という話をよく聞きますからね。

 対して亮君はスープを一口飲んで、卵とベーコンを乗せたパンにかじりつきます。

 半分くらい食べ進めたところで半熟の黄身があふれ出してワタワタとしている姿に少し笑ってしまいました。


「そういえばさっき窓から顔出してたけど大丈夫だった? 」


「えぇ、特に目まいとかはありませんでしたよ」


 そういえば薬が効いていなければあれで倒れていた可能性もあったんですよね。

 少しうかつでした。


「それはよかった、でも一応今日一日は安静にしていてね。

俺も今日はのんびりさせてもらうつもりだし」


「じゃあ久しぶりに一緒に映画でも見ませんか?

このパン食べていたら昔懐かしのアニメ映画を見たくなってしまったんです」


「いいね、実は俺も見たくなってたところ。

あのお婆さんが面白くって好きだからさ」


「私はサングラスをかけたあの男が好きですね、理想的で魅力的な敵キャラとして」


 そういえば最近はこんな風に話をすることはありませんでしたね。

 何でもないような事が幸せだったと思うと言いますが、こういう時のことも言うんでしょうか。

 あぁ、幸せです。

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