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事件勃発

読者皆様、大変お世話になっております。

作者の蒼井茜です。

この度本作「なぜかうちの店が異世界に転移したんですけどだれか説明お願いします」が書籍化打診の話を受けまして、現在3月を目標として改稿を進めております。

問題となっている誤字脱字の修正、表現の変更、書き下ろしなどを含んでおります。

詳細はお知らせの方に記載させていただきます。


皆様の応援のおかげで私の夢がかなうこととなりました。

ここに厚く御礼申し上げます。

 ポールさんが帰られてから後片付けをしていると大道芸団の皆さんが一斉に来店されました。

 今日は亮君が騎士のお仕事でお出かけしていたのでとても忙しくなってしまいましたけど、どうにかこうにかデスマーチを超えることができました。

 これはそろそろ従業員さんを増やす必要があるかもしれませんね。

 でもそういう手続きってどうしたらいいのでしょうか。

 地球にいたころもアルバイトを雇うようなことはありませんでしたし、さらに言えば以前サラさんからレシピなどは秘匿したほうがいいと助言をいただいていたのでその方面にも気を使わなければいけませんよね……。

 とりあえず明日にでも亮君とサラさんに相談してみましょう。

 そんなことを考えているとお店の戸が開きました。

 お客様でしょう、時刻は9時ですからラストオーダーまでは2時間ありますね。


「あら、いらっしゃいませ」


 そこにいたのは大道芸団の一員の……何さんでしたっけ。

 確か以前ナイフでジャグリングをしていた人です。

 今は衣装なのか顔を隠していますね。

 でも身のこなしなどからこの人だという確信があります。

 前に東先生が言っていましたけど、こういう見抜く力も私の持つ能力の一環なのかもしれませんね。


「…………」


「お好きな席へどうぞ」


 いつまでたってもその場から動こうとしないお客様に声をかけます。

 お店のシステムは理解されているはずなんですが……何か様子が変ですね。

 少し警戒しておきましょう。


「……動くな、声も上げるな」


 そういってお客様は私の腕をつかんで、ナイフを首筋に充ててきました。

 これは強盗でしょうか、でもお店の能力があるから安心と思った瞬間でした。

 自分の体が、正確には腕がとてつもない力で引っ張られたと理解した時にはすでにお店の外にいました。

 もしかして、お店の強制退店が作用したのでしょうか。

 本来であれば対象1人に働く力なのですが、腕をつかまれていたことで一緒に連れ出されてしまったということでしょう。

 盲点でした、能力にこんな弱点があるなんて……そもそも自分の力でないのだから過信するべきではありませんでした。

 反省をしつつ腕を振りほどくべくツボに指を押し当てようとすると同時に首筋にナイフを突きつけられました。

 手詰まりですね……。


「両手を後ろに回せ」


 お客様もとい強盗の言う通り腕を後ろに回すとロープで縛られてしまいました。

 かなり頑丈ですね、ですが幸いお店で使うチャッカマンを袖の中に隠し持つことができたので焼き切ることは可能でしょう。

 ちょっとやけどをするかもしれませんが……そのくらいは必要経費ですね。


「目的はお金……というわけではなさそうですね。

私の身柄ですか? 」


私の問いかけに強盗さんは答えるそぶりも見せません。

ただ……これ結構ずさんな仕事ですよね。

私を連れ出すというところまではよかったかもしれませんが、このお店って歓楽街と化した私の敷地のど真ん中ですから人目に付きます。

事実武装した兵士さんや、むっちゃんのお店で遊んでいたハンターの方々が駆けつけてこの場を取り囲んでいます。


「そのご夫人から離れろ」


「御坂亮平をこの場へ連れてこい、さもなくばこの女の腕を切り落とす」


 ……目的は私の身柄と、亮君でしたか。

 亮君がらみとなると戦争の問題か、過去に買った恨みというやつでしょう。

 後者の場合は予想もつきませんが、前者の場合は帝国の仕業と考えていいんじゃないでしょうか。

 確か今この国と大っぴらに戦争をしているのは帝国だけです。

 聖国とは水面下での小競り合いはあるようですが、このような大事にすることはないでしょう。

 一番最悪のパターンとしては個人の暴走なんですが……単独犯であるということを見るとその可能性も捨てきれないです。

 逆に一人に見せかけてなんてパターンもありますけど考えすぎはドツボにはまるので注意だけはしておきましょう。


「期限は夜明け、それまでに連れてこなければ腕を切り落とす。

その次は反対の腕、脚、最後は首だ」


「あのー差し出がましいようですが人質を殺すのって悪手ですよ。

今までいた壁がなくなるってことですから」


「俺の命など安いものだ、お前を道連れにできるならそれで十分だ」


 強盗さんは強い意志の下動いているようですね。

 それに私を道連れにできれば満足……これは政治的思想が絡んでいる可能性が増えてきました。

 復讐というのは相手に同じ苦しみをということもありますが、本人に直接手を下すことを望む場合が多いと聞いたことがあります。


 それにしても……夜明けですか。

 今の時期だと6時くらいでしょうか。

 ざっくり計算して9時間……これはちょっと困りました。

 私今地面に座っているんですけど、早くも足がしびれてきているんですよね。


 あと首筋にナイフを突きつけられているので下手に身動きも取れません。


「あのー足組み直していいですか? 」


 思わず私が発した言葉に強盗さんは首を傾げ、周囲を取り囲んでいる兵士の皆さんはため息をついていました。

 何でしょう、変なこと言いました?


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