暇つぶし妄想族。~マジメ少年・吉田君の場合~
こんにちは!ボクは吉田と言います。吉田健児、中学3年生です!
15歳ともなれば、いろいろいろいろいろいろいろいろ考えちゃったりもするわけで、ボクの思考回路は時々ショートしちゃうんですよ。参ったな、ホント。アハハハハ。
勉強のしすぎ?と、おっしゃいましたか?今。いえ、ボクはそんなに勉強していませんよー。ああ、塾はもちろん通っていますよ、こう見えても受験生ですので。
志望校は、ちょっと無理して偏差値高い学校に挑戦しますよ。やっぱり、なんだかんだ言って成績なんですよ。スポーツが出来るのも素晴らしいですけど、ボクにはやっぱり学力の方が魅力的に感じるわけで。ですから、学校がある日も家で勉強していますよ。時間にすれば学校のある日は6時間、休日などはその倍ぐらいですかねえ。え?勉強時間が長い?いえいえ、受験生ですから、普通ですって。まぁ、とにかく、ボクは勉強が好きな方なので、結構長い時間しても、全然苦にならないんですよ。
ああー、退屈です。この時間がやってまいりました。音楽の授業です。ボクは音痴だし、最近の流行りものの曲も興味ないし、ただ座ってるだけで授業は終わりますが、とてもとても退屈な、ボクには苦痛の時間なのです。そんな時、ボクはそっと気配を消して目はまっすぐ前を見て、頭の中だけフル回転させるのです。
コツン
ボクの頭に後ろから何かが当たりました。あ、紙ひこうきが足元に落ちています。ボクは紙ひこうきを拾い上げました。ん?何か書いてあるぞ。そっと紙を開いてみると・・・
”吉田君、大好き”
おっと!恋文ひこうきキター!誰だ、誰だ?ボクに想いを寄せてるのは。ボクは振り返ってみました。3つ後ろの席の阿部さんが、「わたしわたし」と言うように、自分の顔を指さしてニコニコしている。そうかー、阿部さんボクのこと好きなんだ。ボクは眼鏡の奥から最高の笑みを阿部さんに届け、前に視線を戻す。
あれ?斜め前に座ってる木田さん、今日はポニーテールをしているけど、小さい文字で何かうなじに書いてあるぞ。なになに・・・
”吉田LOVE”
おお!こっちでも告白タイムだ!普段、髪をおろしてる木田さん。ボクに告白するために気合い入れてポニーテールにしたんだね。でも恥ずかしくて口では言えないからうなじに書いたんだね。ありがとう、ありがとうね、木田さんの気持ちも嬉しいよ。
ふと、視線を感じて、ボクは隣の席の安川さんの方を見た。安川さんは、ボクの目を見て、その後、自分の膝元に一瞬目を動かし、再びボクを見る。なになに?何か言いたいことあるの?ボクが考えていると、安川さんは、スーッと自分のスカートをたくし上げ、太ももをボクに見せてきた。
えっえっ・・・少しずつめくられていくスカートの下で、安川さんの白い太ももがだんだんあらわになってくる。あっ!またなんか文字が見えてきた。「つ」「き」・・・
”つきあって よしだ”
おーっと、まただよ!ボクに告白女子現るー!!!わかった、わかったよ、安川さん!早くスカート戻さないと、他の男子に見られちゃうよ!ボクは小さく「ウン、ウン」と頷いてみせた。
1度に3人の女子から告白されるなんて、ボクはなんて幸せ者なんでしょう!いやいや、浮かれてはダメですね。あれ?あれあれあれ?
”吉田かっこいい”
”吉田くんと結婚したい”
”彼氏になって 吉田”
”吉田サイコー”
見渡すと、クラスの女子全員がなんらかの方法でボクに告白してきているではないかっ!!!教科書を開くふりして告白メモを見せてくる子、軽く振り回してアピールしている鉛筆にメッセージを書いている子、自分のハンカチに油性ペンでメッセージを書いている子・・・
”吉田くん、先生はあなたが好きでたまらない”
なんと最後は先生まで黒板に書きだした!ああっ、ダメですよ、先生!授業中にクラス全員の前でそんなこと書いたら、大問題になります!!!ひそかに男子生徒の憧れのグラマー女教師のマリコ先生と、そんな禁断の関係になってしまった日には!ダメです、ダメです!でも、ちょっとだけ・・・ぼよよ~ん、ぼよよ~ん。ああ・・・マリコ先生、とっても柔らかいです・・・はあー、ボクの股間のジュニア健児が健やかに今育っています!!!
キンコーン カンコーン
あ、退屈な授業やっと終わりました。コホン。次の授業は大好きな数学の授業です。ボクは鼻歌を歌いながら、音楽室を後にしました。もちろん、鼻歌も音痴なんですけどね。
~暇つぶし妄想族。~マジメ少年・吉田君の場合~(完)~