24 修学旅行・4日目
23話(前話)はエイプリルフール企画から
修学旅行・3日目に書き換え済みです。
「・・・それではこれにて解散とします、同じ班の人や地域の方に迷惑をかけず、湊都の生徒である自覚を持ち節度を守った行動を心がける様に!」
7月7日、修学旅行4日目。
学年主任の長話もようやく終わりホテル前正面玄関での体育座りから解放される、生徒たちの一部はさっきまでの注意など既に脳内には無いと言わんばかりに我先にと走り出す、いよいよ自由行動の始まりです!否が応でもテンションが上がってきます、みwなwぎwっwてwきwたwww
「よし、白羽準備はいいか?」
「押忍!万端であります!」
夢とか希望とか諸々の期待を小さなカバンに詰め込んで、いざ出発進行と目的地への第一歩を踏み出した―――ところで。
「ん?おい常葉に英、お前たち同じ班の男どもはどうした?」
「せ、先生・・・!?」
班ごとに分かれて解散していく、その人の流れに紛れて二人きりの自由行動に飛び出そうとしたら、早速目ざとい教師に見つかって輝かしい第一歩目で躓いてしまいましたとさ。いやいや笑い事じゃない。
「ホテルから100mも離れてないのに、まさかもうはぐれたわけじゃないだろう、一体何があったんだ?」
さて一体どう説明すれば良いのかな、お手洗い・・・いやいや無理がある。他の生徒たちが横目でちらりとこちらを見ながら通り抜けていくというのに、私たちは通行停止を余儀なくされる。いきなり万事休すですか!?
「あの、えと」
「―――先生、実は・・・」
「うん?」
「実は班の男子が男女別で行動したいと言い出して・・・止めたのですが忠告を無視して先に行ってしまって、私たちも困っていたんです」
そう言って俯き軽く吐息を漏らし困窮している風を装う、おおー生徒会役員である京歌さんの素晴らしい外ヅラが発動しました!私も日頃それなりに真面目にしている生徒だし、騒ぎを聞きつけ周りに集まってきた先生方も私たちを怪しんだり疑っている様子は無い、見事に非を男子だけに擦り付けました!しかし至近距離に立っていた私だけは彼女が「リア充m9(^Д^)ざまぁ・・・」と小さく呟いたのを聞き逃しませんでした。
「そうか、それは災難だったなァ帰ってきたらみっちり懲らしめてやらんとな」
「はい、そういう事情で仕方なく私たちだけで回ろうかと思っていたんですが・・・」
「いやいや、さすがにお前たち2人だけで見知らぬ土地を歩かせるのは気が進まんな」
う~ん、この流れは先生が着いてきちゃうかなー、せっかくの旅行なのにそれは色々と面倒くさい。でも出発出来ないよりはマシかもしれない、なんて思い悩んでいるとふと先生方の視線は主に京歌に注がれていることに気付く。あー成程、幾ら日本国内とはいえ美少女を女子だけ、しかも少人数で行かせるのは危険って事ですか。
引くつもりの無い教師陣に京歌と目を合わせ「さぁ困ったぞ」とアイコンタクト、まだ4日目が始まったばかりだっていうのに先行きが不安だなぁ・・・せっかく上がったテンションが下がってき
「―――あの」「―――なら」
「「俺が一緒に――――――えっ?」」
「え?」はこちらのセリフです。
い、いま、今なんかハモった。聞き覚えがあり過ぎる声がハモった気がする。
「え?あの、お二人ともどうしたんですか?」
カチンとフリーズして動けなくなる私とは逆に、戸惑いながらも京歌が応対する。てかどうしよう、金縛りにあったみたいに体が動かない。声がした方を振り向いて確認することは出来ないけれど、乱入してきた両者は二つの声が重なったことに驚いたのか、一瞬の間をおいて。
「・・・よかったら」
「えっと、お邪魔じゃなければ、俺が同行しましょうか?」
「おお陽高と最上か、お前たちなら問題ないな・・・すまんが頼めるか?」
ええそうでしょうね、先生から見れば優秀で品行方正な会長と見た目は怖いけど真面目で腕っ節の強い最上くんの二人が善意で同行を申し出てくれているんだから、何も問題無いように見えるでしょう。少なくともそこで京歌目当てに同じこと言おうとしてたのに出遅れてしゅーんとしている少年たちと比べたら安心度と安全度が段違いですよ、いやしかしながら。
「ちょっ、いえいえ、それはお二人と同じ班の方に申し訳ないです」
さすがの京歌もたじろいで若干地が出ている、しかし本当に二人と同じ班の女子からあからさまに睨まれている気がする。とは言っても先生方も「他の班に混ざるか他の班のヤツを連れて来るかしないと、二人では行かせられん」と引く気配が全く無い。これは困った。本気で困った。
私の心情から言わせてもらうと、申し訳ないけれどお断りしたい。まだ色々と心の整理が出来ていないんです、駄菓子菓子。私はそのための明確な理由や言葉を持ち合わせてはいないし、この提案を蹴るためには、一時停止状態の私を訝しげな眼で見ている京歌に事のあらましを一から説明しなければならない―――。
そんなわけで結果としましては。
「すみません、急にこんな事になってしまって」
「英さんが謝ることじゃないよ、ところで今日の予定は決めてあるのかな?」
「はい一応・・・、あっでも私たちに合わせる必要はありませんよ、一旦練り直しましょうか」
「俺は・・・別に、どこでも」
前に陽高くんと最上くん、後ろに私と京歌が並んで一般の市街なのにどこか趣のある道をゆっくりと歩いている、隣で忙しなく地図とガイドブックを見比べている友人とは違い、私は歩行は可能になったものの未だフリーズ気味。ていうか、あの、あのね?
KI ☆ MA ☆ ZU ☆ I !!
この2人と会うのがなんやかんやの会話以来初めてだとか、美男美女の中に一人だけ平凡顔が混ざっているとか、何かもうありとあらゆる意味で気まーずい!
「俺もルートは同班の人たちにおまかせだったから、二人の行きたかった場所で構わないよ」
「私たちも大まかにしか決めていないんですが・・・予定ではまず北野天満宮に向かう、だったかしら、白羽さん?」
「ぅわっ、はい!?」
きゅ、急に話を振られても困っ。
「どうなさったの?何だか、カオが悪いですよ?」
うるせい、てか顔が悪いってどういう意味ですか。いや止めて、意味は分かってるからあえて言わないで!どうせこの3人の中では一番顔が悪いですよ!事実は事実だけれど、その言い方はあんまりだ!
「あら失礼、かみまみた」
わざと以外の何物でもない!?
くっ、ちょっとばかし自分が美少女だと思いあがりおって・・・!いやちょっとじゃないけど、かなりだけど。何が悔しいって、今のやり取りで気が抜けたと言いますか、フリーズ状態から一転やや平静さを取り戻せたので怒るに怒れないや。
うむ、2人は善意で一緒に来てくれたんだし、こんな事で修学旅行を無駄にはしたくない。せっかくなら出来る限り楽しみたいじゃない。グッと拳を握りしめてもう一度気合を入れて、やっと陽高くんと最上くんに視線を合わせてみる、うん大丈夫。
「2人とも、ありがとう!要望とかも取り入れていくつもりだから、今日は1日よろしくね!」
「ああ」
「うん、よろしく常葉さん」
私たちの自由行動は始まったばかり・・・って言うと、何か打ち切り漫画みたいだなぁ。
お久しぶりです(苦笑い)
思うように展開が進まない修学旅行のメインイベントがやっと開幕です。
感想、ブクマ、評価、本当にありがとうございます。
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