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ギルティブラッド  作者: 古炉奈
第一章 黒い犬と罪の血
7/7

二人の罪人

「さーて。あたしの話はこんな物や」


生徒会長は、くたびれたかのように欠伸をして言った。

そしてこっちを見て。


「なんであたしがこんなに話したか分かるか」


生徒会長は、今度は真面目な顔で言った。


「あんたにはこの話を絶対口外せんといてほしいねん」

「分かってます」


犬飼に遭遇してしまった時点で俺は、この事件に関わってしまった。

それを生徒会長もふまえて説明したのだろう。


「そしてこの事件にはもう関わらんほうがいい。あんたは、一般人なんやから」

「分かりました」

「おお! 分かってくれたか」

「俺も生徒会に協力させて下さい」


生徒会長を真っ直ぐ見つめて言った。


「は? 何で? あんたが関わっても得する事なんてないで」


生徒会長は、困惑していた。


「分かってます」

「私は暴走した『罪人』に対処するなんて綺麗事言ってるけど結局は人を殺す事なんやで!」

「分かってます!」

「何であんた『罪』に関わろうとするんや?」


俺自身も分からなかった。

けど『罪』の事を聞いてから『罪』の事を知りたくて仕方なくなっていた。

まるで小さな子どもの探究心の様に知りたいと言う感情が体を支配していた。


「俺にもよく分かりません。でもこの事件の事……『罪』の事を知りたいんです」


「………」


生徒会長は、俺の目を値踏みをする様にジッと見た。

しかし次の瞬間彼女は呆れた様な顔をして笑っていた


「アホやな。あんた」


俺は動揺したが、表情にださないように取り繕った。


「アホでもいいです。お願いします」


俺は、頭をおもいっきり下げた。

生徒会長は、その様子を見て深くため息を吐いた。


「あんたの身まで守れるかは保証せんで」

「それじゃあ」

「明日の放課後生徒会室に集合するからな。遅れたらあかんで」

「ありがとうございます!」


なぜか自分の中で大きく前進できたような気がした。

生徒会長は、ベットから立ち上がった。


「今晩は泊まっていき。親は出てってるから気にせんでもいいで」

「でも……」

「犬飼がまだあんたを狙ってるかもしれん。迂闊に外に出ん方がいい」

「……分かりました」


たしかにその可能性は捨てきれない。

そんな事を考えていると、俺は何かを忘れている事に気付いた。

何だっけな? 大切な事だったんだか。

あ!! 思い出した。


「あの生徒会長……?」

「生徒会長じゃなくて名前で呼びいや。もう仲間みたいなもんなんやから」

「じゃあ赤坂先輩……?」


生徒会長はなぜか不機嫌な顔をしている。


「凛先輩……?」

「私自分の名前気に入ってんねん」


満面の笑みで話した。

その笑顔にドキッとしてしまう。


「それで何やどうした?」

「助けてくれて、ありがとうございます」


凛先輩は一瞬「何の事?」という感じの顔をしたが、すぐに察したのか。


「ええんよ! ええんよ! 気にせんで! 律儀やなー!」

「すいません。お礼が遅くなってしまって……」

「ええんよ! ええんよ! もーー! 褒めたって何もでんよ! でも晩御飯の準備出来てるから適当に食べよか」


凛先輩は、褒められて照れているのかとても嬉しがっている。

モジモジしている先輩もとても魅力的だった。



先輩の家は、はっきり言って大きかった。

家と言うより屋敷と言う方が適切なような気がする。

メイドさんの一人や二人ひょっこり出て来ても不思議ではないレベルだ。

俺は先輩が部屋から出てからベットに少し横になった。

別に寝るわけではなく少し休みたかった。

はっきり言って今日は変な事が起きすぎた。


犬飼の暴走。

『罪』の存在。

生徒会の秘密。


今ならまだ引き返せるだろう。

しかし、逃げても無駄なような気がした。

胸がざわつく。

まるで何かに自分の命を狙われている感覚。

『罪』はおそらくだが自分の過去に関係がある。

自分を知る為にも犬飼の事……『罪』と向き合ってみたいと思った。

しばらくすると、先輩が部屋にやって来た。

晩御飯の準備が出来たらしい。

時間は8時を回っていた。

いつもならもうすでに晩御飯のを食べ終わっているだろうが今日は、いろいろあって遅くなった。

晩御飯の事を考えた時に何かを忘れているような気がした。

何かが思い出せない。

ゆっくりすれば思い出すだろうと考え、あまり深く考えないようして、俺は二階の部屋から出て一階の食堂へ向かって行った。






朝凪 茜は、彰の家のリビングで一人で夕飯を食べていた。

しかしその表情は、今にも泣きだしそうというと言う言葉がよく似合う雰囲気だ。

いつもなら彰と一緒に食べるのだが、今日はいつまで経っても帰って来なかった。

彰が約束を破る事なんて滅多にない。

その事が自分を不安にさせていた。

そして自分を少しずつ狂わせていた。


「どうしたの? そんなに落ち込んで」


茜しか居ないはずのリビングから声が発せられた。

声は高く透き通っており、声を発した者は可愛らしい少女だと思われる。

茜になんの躊躇いもなく話しかけている所を見ると、茜とはそれなりに仲が良いらしい。


「……うるさい」

「おぉー 怖! そんなんじゃ彰君に嫌われるよ」

「うるさい!!」


大声が家中に響く。

その声には明らかに怒りが表れている。

明らかに茜は誰かと喋っていた。

しかし暗いリビングにはやはり茜以外の姿は無い。


「彰君を守れるのは私だけなんだから! 貴方は、口出ししなくていいの!」

「ははは! 面白い事言うね。彰ならあんたが居なくても大丈夫よ。あんたが彰に依存してどうすんの? もうこの辺りでそっとしておいたら?」


馬鹿にしている様に聞こえるがこれでも彼女は慰めているのである。

見えない彼女はとても口下手なのだ。


「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!」

「はあ……もうこの子は……」


今度は呆れた様な口調で言う。

茜は明らかにイラついているが彼女はとても落ち着いている。


「……そうだ黒川……あいつが私と彰君の仲を引き裂こうとしてるんだ……あいつさえ居なくなれば……」

「ちょっと! 何を言ってるの!! 今は別の問題があるでしょ! [アイツ]は、私たちより明らかに強いんだよ。黒川は、今どうでもいいでしょう!」


すると茜は的を射られたのか困った様な表情をしたがすぐにいい考えが思い付いた様な表情をした。


「大丈夫……貴方の『罪』の能力なら私たちは手を汚さずに短時間さらに目立たなく処理出来る」

「確かに出来るけど嫌よ。私はこの『罪』は人を傷付ける為に使わないって決めたのよ。あの時からね」

「それなら私の『罪』で黒川を処理するしかないね……」


まるで搾り出した様な声で言う。


「そんな事は私が許さないよ。貴方は私には敵わないって事は知ってるよね?」


さっきまでの落ち着きが消え、威圧を帯びた声が発せられる。

見えない彼女の発言で緊張感が部屋を支配する?


「ふふ……やっぱり姉さんは恐ろしいね。でもそれは契約違反だよ」

「ちっ!」


もう一人の彼女から明らかな怒りが声に表れる。

そしてしばらく沈黙が場を支配する。

数分経ったその時やっともう一人の彼女が


「ばれたら、あんたは終わりだよ」

「ありがとう姉さん! 協力してくれるんだね」

「あんたが能力は目立つからね。あたしの能力の方が確実だと思っただけよ」

「うーーん! 姉さん! 愛してる!!」

「今回だけだから。黒川は、殺さないからね」

「えぇ〜〜! 殺さないの!それじゃ廃人にする? 」

「しないって。彰に近付けないように痛めつけるだけ」

「まあいいや、いい夢を魅せてあげてね」


茜が笑顔で可愛らしく言う。

しかしその笑顔はどこか怖ろしいものがある。


「はいはい。それじゃあ、早く彰にメール打って寝なさい」

「うん。そうするね」


茜は屈託の無い笑みを浮かべて喜ぶ。


「はぁ。あんな事があったのに能力をもう一回使う事を了承するなんて私も狂ってるのかなぁ」

「まあ、いいじゃん私も少々狂ってる自信があるし」


見えない彼女はボソッと言ったらしいが茜には聞こえていたらしい。


「やっぱり姉妹って事かな」

「違いないね」


携帯電話を弄くりながらクスクスと笑って応える。

どうやら彰にメールを打っているらしい。

しばらくするとニッコリしてイスから立ち上がった。

メールを送り終えたらしい。


「あぁ。最後にあんたが[茜じゃない]って事は彰にはバレないようにしといてよ。ややこしくなるから」

「姉さんが彰君に変な事を言わなければ大丈夫だよ」


[茜ではない者]が歪な笑みを浮かべて応える。


殺戮(パーティ)の始まりだねぇ」

「9年前みたいにならないようにねぇ。また彰が傷つくのは見たくないから」

「もちろん! また人を壊すのはやだもんね」

「はいはい、もしも戦闘になったらあんたに全部任せるからね」


二人の狂った『罪人』が同時に動き出す。




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