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ギルティブラッド  作者: 古炉奈
第一章 黒い犬と罪の血
5/7

黒い犬

黒川(くろかわ) 夜水(よみ)は、資料室にいた。

今彼女は、生徒会名簿を見ていた。

ページは今年度の生徒会メンバーのページになる。


「へえ……赤坂(あかさか)さんは3年連続で生徒会長か……だから有名なんだ」


その中である名前を探す。そして……


「あった……やっぱり」


その事に少し達成感を覚える。


生徒会メンバー 犬飼(いぬかい) (まもる)


「やっぱりですか犬飼君は……」


そこで声が途切れる。

誰かが資料室でに入ってきた。

落ち着いて見ていた資料を片付けると少し変に思う、資料室は生徒が訪れることが全く無いからだ。

入ってきた人物を見て少し驚く。

入ってきたのは、生徒会メンバーだった。

一人は、書記の本田(ほんだ) (しおり)小柄で少し暗い印象のある子だった、両手には体に似つかわしくない大きな本を抱えるように持っている。

もう一人は、会計の中川(なかがわ) こころ。

こちらは、体格すらっとしていて明るいというよりも強気な感じする子だった。

二人は、私を見ると以外そうな顔をすると、


「何か調べ物ですか?」


その質問をすると少し顔色が変わった感じがした。


「貴方こそこんな所に何の用?」


中川さんのほうが聞いてきた。

どうやら本田さんはあまり喋らないらしい。


「少し調べ物を……」

「へえ……何を調べていたの?」

「ええ……生徒会の事についてちょっと」


そう言うと明らかに二人の顔が変わった。


「へえ……生徒会に興味があるのね」


中川さんの声から動揺していることが伝わる。


「そういえば、生徒会が通り魔事件調べてるっていう噂があるんですけど」

「所詮噂よ。関係ないわ」

「すみません……少し気になって」

「通り魔に襲われた犬飼君が生徒会だったので……」

「犬飼君あの事件とは無関係です!!」


私が言い終わる前に、今まで静かだった本田さんが大声で言った。

場が静まりかえる。

しばらくすると。


「私たちは、用事があるから失礼するわ」


中川さんの放った静かな口調だったが重圧感があった。

私は、この場を静かに立ち去ることにした。




私は、この事件はなぜか普通の事件とは違う感じがしていた。

普通の通り魔ではなく、恐ろしい何が裏にいるような気がしていた。

これ以上この事件には関わらないでおこう。

私はそんなことを思いながら、廊下を早足で歩いていた。

すると後方から声がした。


「あれ? 黒川さん?」


後ろを振り返ると朝凪(あさなぎ)さんがキョトンとした様子で立っていた。






私は、5限目の授業をサボって朝凪さんと屋上にいた。


「話って何ですか?」

「彰君は、大丈夫って言ってるけど私は心配なの考え直してはくれないかな」

「本当にすみません 夜神さんを危険な目に遭わせるなんて」

「でも……考え直してくれないんだね」

「自分でも身勝手な事を言っていると思います。でも……彼じゃなきゃだめなんです。お願いします」

「………うん、私がどうこう言う問題じゃないからね。彰君が決めたことだし」

「ありがとうございます」


朝凪さんは、少し複雑な顔をしていた。





屋上から出ようとした時……


「最後に一つ聞いていいですか?」

「はい……」

「黒川さんはなぜ彰君にこだわるのてすか?」


私は、少し悩んだ。

彼は私にとって何なんだろう?


「友達だからです……」


朝凪さんは少し微笑んだ。


「私も聞いていいですか?」

「どうぞ」

「朝凪さんは、善ですか? 悪ですか?」

「えっ?」

「答えてくれますか……」

「嫌な質問だねーー」

「すみません、気になってたので」

「別にいいよ。うーん……私はね正直に答えるとね、善でも悪でもないんだよ。」

「善でも悪でもない?」

「正確にはこれから悪になるってところかなぁ」

「意味深ですね」

「今言ったことは忘れてほしいな。これからの為にも」

「これから何かあるのですか?」

「彰君の側にいればいずれ分かるよ」

「そうですか……」




夜水は、授業を受ける気分ではなかった。

最後に朝凪さんの言った言葉が少し気になっていた。


『彰君には言わないで……本当は彼には関わってほしくないから』


通り魔に生徒会にさっきの朝凪さんの話……

何かがこの街で始まろうとしている。

そして、その中心に夜神さんがいる。





朝凪 茜は、苦しんでいた。

壁に、もたれかかる体勢で呼吸を落ち着かせる。

しばらくしてやっと落ち着いてきた。


「なかなか疼くよねこの『罪』は……」


でもまだ耐えなければならない。

こんな殺人衝動を解き放っては、いけない。

黒川さんの前では『罪』に負けそうになって黒川さんに殺意を抱いてしまう事がある。

もう、その殺意を隠すことも難しくなってきた。

だからこそ、今日あの話を彼女にしたのだ。

私がいなくなっても彼を助けてくれるように。

嫉妬が私を破滅に導く前に。

『罪』に負けるな。

暴走しては、駄目だ。


「あと少しだよ……あと少しで彰君を救えるんだから」



「私が『罪』に打ち勝てば[アイツ]を殺せる」



俺は、茜といつも通り一緒に帰っていた。


「まだ捕まらないらしいね、通り魔」

「そういえばまだ捕まってなかったのか」

「うん まだ逃亡中らしいよ。犯人の目星ぐらいついてたらいいんだけどね」

「そうだな」

「あっ! もうここら辺でいいよ」


気付くともう家の近くまで来ていた。


「そうか。それじゃ先帰っててくれ」

「うん」


俺は、今来た道を引き返していった。



校門に着くと夜水はすぐに見つかった。


「待ったか?」

「いえ 全然大丈夫ですよ。むしろ速いくらいです」

「そりゃ よかった」

「それじゃ 行きましょう」

「ああ」



しばらく話しながら歩いていた。


「ここが私の家です」

「これか」


夜水の家は、住宅街に立ち並ぶ普通の家だった。

学校から徒歩で15分ぐらいの距離だった。


「ありがとうございます」

「はい! また明日」




私は、夜神さんのことが好きだ。

だからこそ茜さんにあんな事を言われても夜神さんから離れられないのだ。

彼といるととても暖かい気持ちになる。

彼の笑顔を見ると私まで嬉しくなる。

でも同時に不安になる。

いつか遠くに行ってしまうのではないか。

私を嫌いになってしまうのではないか。

そして、こんな風に悩むことで私は、生きていると感じる。

夜神さんに会ってから私は、毎日を生きる事ができた。

私は、こんなに幸せになってもいいのだろうか?




俺は、夜道を走って帰っていた。

外は月明かりも少なく人も全く歩いていない。

速く帰らなければ……

そう思い足を速める。

その時、道の先の暗闇の中に何かの気配を感じた。

まさに変な気配だった。

汗が体中から吹き出て、全く動けなくなる。


「グルルル!」


最初は犬かと思った。

しかし、圧倒的な威圧感そして姿が見えなくても分かる恐ろしさから普通の犬なんかではないことはすぐに分かった。

ヤバい! 逃げろ!

脳がそう判断するが体は今だに竦んで動かない。

現れたのは、真っ黒な犬のような生き物だった。

しかし体長があり得ない、巨大な体に赤く光る目は明らかな殺気を解き放っている。


「あ……ぁ……ぁ」


声がうまく出せなかった。

何が目の前にいて、どういうことなのかが分からない。

夢なのかと思った瞬間だった。


「ドスッ!」


体に激痛が走り、数メートル弾き飛ばされる。

何をされたのかが分からなかった。

どうやら体当たりされたらしい。


「がはっ!」


体がうまく動かない。

このままでは死ぬ。

黒い犬はゆっくりと、止めを刺すために近付いて来た。

死が迫って来ているのに俺は、なぜか冷静になってきた。

なぜ冷静になっているのかがよく分からない。

そんなことを考えているうちに黒い犬は、もうすぐ近くにいた。

黒い犬の息が顔にかかる距離だ。

黒い犬は腕を掲げる。

その腕には、鋭い爪がある。

こんな所で俺は死んでいくのか……

死にたくはなかったがなぜか死ぬことに恐怖はなかった。


「頭下げろッ!!」

「へ!?」


突然声が聞こえて頭下げる。

俺のすぐ真上を何かが通り、黒い犬にぶち当たる。


「グオオォォ!」


黒い犬が数メートル弾き飛ばされ恨めしそうにこちらを見る。

体から煙が上がり、少し毛が焦げている。

俺は、何が起こったのか全く分からなかった。

黒い犬に攻撃を当てた人物が俺と黒い犬の間に割って入る。

暗闇でよく見えなかったが、美しい人だった。


「大丈夫? 少年」


その言葉を聞いた瞬間、俺は安心してしまったのか意識を失った。





気付くとなぜかベット上で寝ていた。

ベットから這い出て辺りを見回す。


「ここはどこだ……?」


全く知らない場所だった。


「気付いたんか」


不意に声が聞こえた。


「あなたは……」

「はじめまして……赤坂凛(あかさか りん)って言います」

「ここは、どこだ?」

「ここは、私の家や」


そりゃ知らないわけだ


「あれは?」

「んーー逃げられてもうたわ。速いなぁ……あの子は」


なんで関西弁?

よく分からんなこの人は……


「なんで生徒会長がいるんですか?」

「そりゃ、うちがあんたを助けたからや」

「助けた……?そうだあれは何なんですか……?」

「知りたいんか?」

生徒会長はにっこりと微笑んだ。

「はい……」

「じゃあ、教えてあげるわ。生徒会の事もあの黒い犬の事も。」


生徒会長は、表情を崩さず答えた。

外はすでに暗くなっていた。

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