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紅き月  作者: 桜酒乱酔
5/5

過去

今回はかなりのLOWペースでした(ToT)


おまけにぽろっと母君に小説書いてる事をバラしてしまって大変(>_<)


今回はいきなりの過去編です。お楽しみください

ヴァンは机の上に並べられた写真をちらっと見てはため息をついていた。その写真にはこの国の貴族の娘達の写真があった。ヴァンが子供の頃はまだ王族派の貴族がいたが最近は時効かと思ったらしく一斉にヴァンに取り入ろうとしている。何とも浅はかな考えだが彼らなりにも必死なのだろうし、貴族を完全に味方につければ革命を起こされても貴族達の力で握りつぶせる。一民衆より一権力者の方が何に置いても強いのだから。それでもヴァンは結婚に気乗りしなかった。ヴァンは王族の娘を手に入れたかった。婚姻という鎖で締め付けて。神の力を持つ者とまぐわえばきっと自分も神の力を得られる。ヴァンは何の根拠も無しにそう信じ込んでいた。ヴァンの親達は王族は見つけ次第殺していたがヴァンはそんな事は考えなかった。神の力を持つ者は自分の為に力を使わせ、女なら妃とし力を手に入れる。ヴァンは自分の計画に酔い、ほくそえんだ。


話はクーデターがあった時まで遡る。神の力を宿す王族にもその正統な後継者が女性だった場合に限り力が使えなくなる時がある。それは出産の時だ。激しい痛みが伴う出産の時は神の力は身体に負担を与えぬよう力自体がリミッターをかける。そのリミッターが働いている内は神の力は露程も使えない。クーデターが起こった年はソフィアの曾祖父にあたる王子の出産の日だったのだ。王族はその日をひた隠しにしていた。近隣諸国は王族の神の力を敬い、だが恐れていた。万が一にもこの事が漏れた場合そこを叩かれたらこの国は破滅してしまうのだ。

そのため王族を守護する役目を持ったカインの一族にしかその事は伝えられていなかった。

だが1人だけ知っている者がいた。この時の王の側近で大臣を務めていたシラトスだった。シラトスは王に仕える傍らその没落を狙っていた。彼は極度の強欲で地位と名誉を手に入れても満足できなかった。王が治めていた王国は裕福だった。年中を通して多様な作物が採れ、鉱物も豊富にあった。彼は考えた。この国を手に入れれば自分の欲は満たされると。この時の王は倹約家で利益は国の将来のためにと貯蓄していた。商人達には利益の何割かを国への貯蓄として徴収していた。それでもかなり裕福に生活できるくらいは皆手元に残ったはずだった。だがそれに不満を抱く商人達が現れ王政に不満を言い始めた。無論自分勝手な生活をしたいがための文句でしかないのだが。シラトスは好機だと感じた。シラトスは神の弱点を探した。神の伝説をくまなく調べそして見つけてしまった。神の力が弱まる時を。彼は計画を実行に移した。下級の兵士達を買収し、王の間に乗り込み王妃を人質に取ったのだ。王妃はもちろん神の力が使えない。王とて王妃とお腹の子供の事が心配で容易に力を使えない。シラトスは無抵抗の王の前に進み出ると横に立っていたシラトス側の兵士の剣を取った。シラトスは醜く顔を歪めて笑うと王妃の目の前で王の首に向かって剣を降り下ろした。

「いやああああっ!」

王族が持つ美しい銀色の髪が血でどす黒くくすんでいく。王妃は絶叫した。誰からも慕われ、だが傲る事なく気高かった最愛の夫が今目の前で冷たい躯へと変わっていく。シラトスは転がった王の首を足で踏みつけ満足げな笑みを浮かべた。神の力が使えない王妃は何も出来ないままその有り様を見ていた。


王妃は地下水路にいた。あのあと侍女の機転によりシラトスの手から逃れたものの身重な彼女は逃げ切れずにいた。王亡き今王族の子孫を無事守りきるのが王妃たる自分の使命なのだと言い聞かせ足を動かす。あの侍女だって王妃を守るため自らを省みず死んでいったのだから。この水路は王家だけに伝わる非常時の通路だが王妃が力が使えなくなる事を知っていたという事はこの通路の事も知っているかもしれない。王妃は何とか外へ出た。それからの国はシラトスにより王家を支持する者達が次々と処刑されていき人々はシラトスを恐れるあまり王家を見捨てた。シラトスは望み通り王から国を奪い、王家の存在を人々の心から消し去った。王妃はこの短期間に人々の気持ちが入れ替わってしまったのが悲しかった。こうも簡単に気持ちを変えられてしまうなら王がしてきた事は一体何だったのか。王妃は美しかった銀の髪を染料で染め、短く切っていて王宮にいた頃の面影はなくなっていた。その腕に抱かれた赤子も髪を染められ誰もこの親子を王族だとは疑いもしなかった。王妃は目の前で王を殺されたショックからか神の力を失い、その影響を受けた王子も神の力を全く使えなかった。

それでも王妃は誓った。いつか汚されたこの国を取り戻すと。

まあソフィアは髪を染めないで暮らしてましたがソフィアの暮らす孤児院があるのは都からはかなり離れた辺境なのでヴァンの目が届かないからです。



おまけに王族探しに飽きた兵士達が適当に遊んでるせいもあります。

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