第二章:魔獣討伐任務編-第二話
情報部隊が報告を終えたと同時に、奇襲部隊は既に敵の後方へと回っていた。
急所を確実に狙うその攻撃で小型な魔獣の多くは動きを止める。
仕留めきれなかった魔獣を後に続く護衛部隊が対応する。
作戦は想定通りに進んでいた。
__この時までは。
奇襲部隊は、方法は様々だが、生体情報を集めることが得意な者たちが多く、それを頼りに動く。
それが災いした。
最強は小型の魔獣の対応を終え、体勢を整える。
その瞬間だった。
ナズの声が戦場を切り裂く。
「隊長!!後方に魔獣が!!」
…有り得なかった。
後方からは感情が捉えられなかった。
いや、“存在しなかった”。
即座に応戦状態になる。
だが__振り向くよりも、魔獣の突進の方が早かった。
「……っ、危な、」
魔獣の突進は彼女の脇腹を掠めたが、彼女に致命傷を与えるに至らなかった。
「あんな突進しておきながら興奮してる様子もなしか」
「隊長!その魔獣からは電流が感知できません!異常個体です!」
「だろうね。私もアレから感情を捉えられない」
そうやって話す最中にも、かの魔獣はまた彼女を狙う。
が、簡単にかわされる。当たり前だ。真正面からの突進ほど分かりやすいものはない。
魔獣が突進し、最強が躱す。
これの繰り返し。
彼女らしくはないが、よく見れば理由は明白だった。
__先の傷は、浅くなかった。額には脂汗が滲み、顔は青ざめ、脇腹はどす黒い赤が隊服を汚していた。
彼女は脇腹を庇いながら動く。
その姿は周りの隊員から心配されるものだったのだろう、彼女の手のひらには、靄がかった、不思議な感覚が漂っていた。




