1/7
プロローグ
人間と魔人、魔獣が共存する国に、とあるエルフの少女がいた。
少女の名を知る者は、ごくわずか。
故に人々は、彼女を名ではなく称号で呼ぶ。
___最強、と。
だが当の本人は、その呼び名を好いていなかった。
理由を問えば、こう返すだろう。
「私は最強なんかじゃないよ。
この国の最強の座は、あの英雄二人でいっぱいだろうしね」
あるいは、こんなふうにも。
「私なんて、強くないよ。最強だなんて間違いじゃない?」
そうして自分を過小評価するくせに、
名を問われれば、彼女は必ずこう答えるのだ。
「あの名前を呼ばれるくらいなら、私は【最強】であり続けるよ。彼女からの期待のためにも」
これは、そんな矛盾を抱えた少女と、
彼女の周りの人々が紡ぐ物語である。




