13億分の9
「んあ~朝か」
梅雨も終わり蒸し暑い朝に一人の男が眠たそうに目覚めた。
彼の名は奈良明。
歳は20で無職。
鼻は高いが顔は丸く一重で、カッコよくもなければブサイクでもない普通の男だ。
明は食パン一枚を口に入れ服を着替え始めた。
これから仕事を探しに行くのだ。
明自身もそろそろ仕事をしなければやばいと思っていた。
靴をはき、ドアノブに手をとりいつもと同じようにドアを開けた。
しかし、その先には黒い服を着た4人の男性が立っていた。
「どちら様ですか?」
俺がそう聞くとその中の一番右にいた男が口を動かした。
「おめでとうございます。あなたは日本人13億人の中から見事に選出されました。」
何のことだ。俺にはまったく理解できなかった。
「それではついてきてください。」
え?と言う間もなく車に乗せられた。
明を乗せた黒の車は走り始めた。
どこへ行くんですかと、聞こうとしたその時、口に白い布をあてられた。