chapter29 言葉と誤解
みんなの能力の確認が終わり、謎の少女を迎え入れ、色々と説明していると――さっき自分が少しキツい言い方をしてしまったことに気づいた。
これは、犀田さんと海蛇田さんに謝るべきだろう。
ちなみに、雫さんが身に付けていた鉄の腕輪は、すでにアイテムボックスにしまってある。明らかに怪しいものだったからね。
現在、メンバーはそれぞれ自由に過ごしている。
サギジマさんはソファの端で髪をとかしており、ほかの女性陣はお風呂に入っている。
能力の確認が終わったときに「お風呂があるよ」と伝えると――みんな駆け出していった。
サギジマさんがいち早く出てきて、身だしなみを整えている様子だ。
男性陣は思い思いに過ごしている。
鳥沢さんは魔法の練習中だ。
安全に使えるのは無魔法だけなので、ぼくは《ライト》という魔法を教えた。
光を灯すだけの魔法だが、光魔法ではなく無魔法である。
鳥沢さんの叫び声をBGMに、ぼくは二人の側へ歩み寄った。
「犀田さん、海蛇田さん、ちょっといいかな?」
「なんですか?」
「なんだよ」
海蛇田さんが先に反応し、犀田さんが続く。二人とも、嫌悪感の混じった表情だ。
「先ほどは――不快な言葉を言ってすいませんでした」
そう言って頭を下げる。
頭を上げたとき、二人の困惑した表情が目に入った。
「俺からも聞きたいことがある。
どうして、あんなことを言った?」
「そうですよ。いつもの速水くんらしくありませんでしたね」
犀田さんが先に口を開き、海蛇田さんが続ける。
「そうですね…。
もう一度、整理しながら説明しますね」
ぼくは、自分が感じたこと、思っていたことを素直に話した。
「つまり、お前も不安だったと?」
「そういうことになりますね」
「私たちは――これからどうすれば…」
犀田さん、ぼく、海蛇田さん――三人の順で口が開く。
「この世界で生きていくしかありませんね…。
日本に帰れる可能性はゼロに等しいでしょう」
ぼくは真実を告げる。可能性はほぼ皆無だ。
だが、決して――ゼロではないことは知っている。
しかし今は言わない方がいいだろう。
淡い希望にすがるより、現実を見て前に進むしかない――この世界で生きるには、そう割り切るしかないのだ。
そうぼくが二人に告げたとき、女性陣たちが風呂から続々と上がってきたのだった。
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