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迷宮に囚われた男  作者: 火川蓮
第四章

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chapter29 言葉と誤解

みんなの能力の確認が終わり、謎の少女を迎え入れ、色々と説明していると――さっき自分が少しキツい言い方をしてしまったことに気づいた。


これは、犀田さんと海蛇田まからださんに謝るべきだろう。


ちなみに、雫さんが身に付けていた鉄の腕輪は、すでにアイテムボックスにしまってある。明らかに怪しいものだったからね。


現在、メンバーはそれぞれ自由に過ごしている。

サギジマさんはソファの端で髪をとかしており、ほかの女性陣はお風呂に入っている。

能力の確認が終わったときに「お風呂があるよ」と伝えると――みんな駆け出していった。

サギジマさんがいち早く出てきて、身だしなみを整えている様子だ。


男性陣は思い思いに過ごしている。

鳥沢さんは魔法の練習中だ。

安全に使えるのは無魔法だけなので、ぼくは《ライト》という魔法を教えた。

光を灯すだけの魔法だが、光魔法ではなく無魔法である。


鳥沢さんの叫び声をBGMに、ぼくは二人の側へ歩み寄った。


「犀田さん、海蛇田さん、ちょっといいかな?」


「なんですか?」


「なんだよ」


海蛇田さんが先に反応し、犀田さんが続く。二人とも、嫌悪感の混じった表情だ。


「先ほどは――不快な言葉を言ってすいませんでした」


そう言って頭を下げる。


頭を上げたとき、二人の困惑した表情が目に入った。


「俺からも聞きたいことがある。

どうして、あんなことを言った?」


「そうですよ。いつもの速水くんらしくありませんでしたね」


犀田さんが先に口を開き、海蛇田さんが続ける。


「そうですね…。

もう一度、整理しながら説明しますね」


ぼくは、自分が感じたこと、思っていたことを素直に話した。


「つまり、お前も不安だったと?」


「そういうことになりますね」


「私たちは――これからどうすれば…」


犀田さん、ぼく、海蛇田さん――三人の順で口が開く。


「この世界で生きていくしかありませんね…。

日本に帰れる可能性はゼロに等しいでしょう」


ぼくは真実を告げる。可能性はほぼ皆無だ。

だが、決して――ゼロではないことは知っている。


しかし今は言わない方がいいだろう。

淡い希望にすがるより、現実を見て前に進むしかない――この世界で生きるには、そう割り切るしかないのだ。


そうぼくが二人に告げたとき、女性陣たちが風呂から続々と上がってきたのだった。

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