Quiet talk 訪問者
※番外編です
ソウヤ視点
みんなのステータスの確認を終えた――そのとき、静かなノックの音が部屋に響いた
扉を開けると、メイドさんが一礼し、虚ろな表情で涙をこぼす少女を連れて立っていた。
「突然の訪問、申し訳ありません。この子を、この部屋で引き取っていただけませんでしょうか。どこの部屋も満席で、断られてしまって……」
ぼくは少し戸惑いながらも口にした。
「ぼくたちの部屋も満席ですよ?」
言いながらも、断るつもりはなかった。
小さな背中に浮かぶ涙を見た瞬間、胸がぎゅっと締め付けられる。
メイドさんはしばらく立ち尽くし、困ったように息をついた。
「そう……ですか……」
その表情は悲しみに満ちていて、ぼくは自然と手を差し伸べた。
「その子のことですが、引き取るのは構いませんよ」
メイドさんの顔に、わずかに笑みが戻る。
少女に小さく頷くよう促すと、彼女はか細い声で名乗った。
「服部……雫……と、言います……」
肩まで垂れた黒髪に制服を着た少女。
幼い顔立ちは端正で、どこか凛とした雰囲気を漂わせていた。
その瞳には疲れと不安が混じり、抱きしめたくなるほどの切なさを感じる。
ぼくは自然に彼女を部屋に迎え入れた。
メイドさんは深く一礼し、静かに立ち去った。
「誰だったの? その女の子、どこから来たの?」
サギジマさんが心配そうに尋ねる。
「別の部屋から追い出されたらしい。可哀想だったから、迎え入れたんだ」
ぼくはそう答え、雫の様子を注意深く観察した。
手首に巻かれた鉄の腕輪、わずかに残る虚ろな光……ただ事ではない。
「はやみん、寝る場所はどうするの?」
サギジマさんがさらに尋ねる。
「ソファーで寝るよ。ベッドは大きいけど、20個しかないからね」
ぼくは短く答えると、そっと魔法を試すことにした。
「解呪」
手に力を込め、光の魔法を雫さんにかける。
彼女の体に柔らかな光が吸い込まれると、〖ガシャン〗と鉄の腕輪が床に落ちた。
同時に虚ろだった瞳に生命が戻り、震えていた肩も少し落ち着きを取り戻す。
やはり……想像していた通りだった。
これが――この国のやり方か。
手っ取り早く戦力を得るためには効率的だが――あまりに非道なやり口だ。
ぼくは決意した。
この国から逃げよう。みんなを連れて、ここから脱出する――と。
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