chapter18 教えた理由
突然、空間に黒い穴が空き、ぼくは頭を抱えた。
「それはなに?」
白銀さんが尋ねる。
「《アイテムボックス》という収納魔法です。さっき説明した魔法名がトリガーとなって、魔法が発動したみたいですね」
魔法を使うには想像力が必要なはずだけど、魔力制御がうまくいってなかったんだろう。
“魔法の暴発”には気をつけないと。
「トリガー?」
白銀さんが不思議そうに首をかしげる。
「魔法名を言ったでしょう? あれを詠唱として魔法が発動してしまったんです」
「つまり、どういうこと?」
白銀はまだ理解が及んでいないようだ。まぁ、当たり前か。
「簡単に言うと──魔法の暴発です。危険な魔法でなくて良かった」
ぼくがそう言うと、みんな青ざめた。
気を取り直して、次の話に移ろう。魔法の属性の話を終えたあと、ぼくは能力――つまりステータスについて話そうとした。
そのとき、カメオカさんに声をかけられた。
「速水ちゃん、ちょっといいかな?」
……ちゃん?
ぼくは一瞬違和感を覚えたが、とりあえず返事をする。
「どうして、私たちにそこまで教えてくれたの?」
男なのに“私”って言葉が妙にしっくりきている。まぁいいか。
「俺も今の話には脱帽だな」
「ええ、よくここまで知ってたわね」
「はやみん、博識すぎぃ」
カメオカさんに続き、カラスバさん、熊沢さん、サギジマさんが口々に言った。
「ありがとうございます。情報を共有した理由は――生きるためですよ。なにかあったとき、ぼくがそばにいないかもしれませんし、自分の身は自分で守ってほしいんです。なんでもかんでもぼくに頼られても困りますからね」
ぼくは照れながら返した。
「魔法の知識は、全部ラノベから仕入れたんですけどね」
「ラノベ?」
「なんだそれは?」
部長と鷹橋さんが首をかしげる。ああ、この世代の人たちは知らないんだった。
「小説ですよ。大学生のとき、友達にすすめられたんです。異世界を題材にした話が多くて――まぁ、ぼくが今話してる内容の大半は、そこから仕入れた知識です」
ぼくは苦笑して肩をすくめ、表情を引き締める。
「……でも、まだ教えなきゃいけないことがあります」
「ん?どうした?」
「まだ、なにかあるの?」
コンドウさんと白銀さんが不思議そうに聞く。
「ええ、正確には“知っておかないと危ないこと”ですね」
そう言った瞬間、場の空気が一気に静まり返った。
みんなの視線が一斉にぼくへと集まった。
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