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迷宮に囚われた男  作者: 火川蓮
第三章

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chapter18 教えた理由

突然、空間に黒い穴が空き、ぼくは頭を抱えた。


「それはなに?」


白銀さんが尋ねる。


「《アイテムボックス》という収納魔法です。さっき説明した魔法名がトリガーとなって、魔法が発動したみたいですね」


魔法を使うには想像力イメージが必要なはずだけど、魔力制御がうまくいってなかったんだろう。

“魔法の暴発”には気をつけないと。


「トリガー?」


白銀さんが不思議そうに首をかしげる。


「魔法名を言ったでしょう? あれを詠唱として魔法が発動してしまったんです」


「つまり、どういうこと?」


白銀はまだ理解が及んでいないようだ。まぁ、当たり前か。


「簡単に言うと──魔法の暴発です。危険な魔法でなくて良かった」


ぼくがそう言うと、みんな青ざめた。

気を取り直して、次の話に移ろう。魔法の属性の話を終えたあと、ぼくは能力――つまりステータスについて話そうとした。


そのとき、カメオカさんに声をかけられた。


「速水ちゃん、ちょっといいかな?」


……ちゃん?

ぼくは一瞬違和感を覚えたが、とりあえず返事をする。


「どうして、私たちにそこまで教えてくれたの?」


男なのに“私”って言葉が妙にしっくりきている。まぁいいか。


「俺も今の話には脱帽だな」


「ええ、よくここまで知ってたわね」


「はやみん、博識すぎぃ」


カメオカさんに続き、カラスバさん、熊沢さん、サギジマさんが口々に言った。


「ありがとうございます。情報を共有した理由は――生きるためですよ。なにかあったとき、ぼくがそばにいないかもしれませんし、自分の身は自分で守ってほしいんです。なんでもかんでもぼくに頼られても困りますからね」


ぼくは照れながら返した。


「魔法の知識は、全部ラノベから仕入れたんですけどね」


「ラノベ?」


「なんだそれは?」


部長と鷹橋さんが首をかしげる。ああ、この世代の人たちは知らないんだった。


「小説ですよ。大学生のとき、友達にすすめられたんです。異世界を題材にした話が多くて――まぁ、ぼくが今話してる内容の大半は、そこから仕入れた知識です」


ぼくは苦笑して肩をすくめ、表情を引き締める。


「……でも、まだ教えなきゃいけないことがあります」


「ん?どうした?」


「まだ、なにかあるの?」


コンドウさんと白銀さんが不思議そうに聞く。


「ええ、正確には“知っておかないと危ないこと”ですね」


そう言った瞬間、場の空気が一気に静まり返った。

みんなの視線が一斉にぼくへと集まった。

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