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迷宮に囚われた男  作者: 火川蓮
第二章 

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chapter15 魔法の階級

六属性目の氷魔法を説明し終えたとき、声をかけられた。


「少しいいか……な?」


北側の席の男性のひとりが、控えめに手を上げていた。

たしか――カメオカさん、だったかな?


「どうぞ」


ぼくがそう促すと、彼は少し緊張した様子で口を開いた。


「属性魔法の中で今説明してくれた5種類が、基本魔法の中でも“特に習得しやすい”って言ってたけど……どういう意味なんだろう、かな?」


言い回しに少し違和感を感じたけど、まぁいいか。


「魔法には階級があるって言われてるんですよ」


そう答えると、ざわめきが広がった。


「階級?」


「ええ。魔法には“難易度”があります。

同じ魔法を使い続けることで熟練度が上がり、より難しく、複雑な魔法も使えるようになる。

これは属性魔法にも同じことが言えるんです」


ぼくはそう説明を続けた。


「軽く説明しますね。

基本的な12の属性は――無、火、水、風、土、氷、かみなり、植物、毒、闇、光、空間の12種類です」


その言葉に、部屋が一気にざわつく。


「このうち、無・火・水・風・土の5つは“下位魔法”と呼ばれています。

基本魔法の中でも比較的扱いやすく、習得しやすい。


氷・雷・植物・毒の4つは“中級魔法”と呼ばれ、やや扱いが難しい。


そして、光・闇・空間の3つは“上位魔法”。

その中でも空間魔法は“別格”とされています。扱うのが非常に難しいんです」


説明を終えると、部屋の空気が一段と重くなった。

驚きと興奮、そしてほんの少しの不安が、みんなの表情に混じっている。


「――なぜ空間魔法だけが別格なのか。それは、各属性の“性質”にあります」


ぼくがそう続けると、再び質問の声が上がった。


「性質?」


「はい。

無魔法は“純粋なエネルギー”です。属性に変換せずに魔力をそのまま流すだけ――理屈は簡単ですが、実際にやるのは難しいでしょうが。


火には“熱”がありますよね?

だからイメージしやすい。水も風も土も、日常の中にあるからこそ、想像しやすく扱いやすいんです。


氷は水を“凍らせたもの”なので、ぼくたち異世界人にとっては分かりやすいですが、この世界の人たちにはイメージしづらい。

雷や毒も同じ理由で、扱うのが少し難しいとされています。


植物は……少し勝手が違うように思いますけどね」


ぼくは言葉を切った。


「勝手が違う?」「どういうことだ?」

と、あちこちから声が上がる。


「12の属性のうち、11種類までは魔力さえあれば“生み出す”ことができるとされています。

でも植物魔法だけは“例外”で、生み出すことができない。

植物を操る魔法だからです。

つまり、植物魔法とは――“既にある植物を操る”魔法なんですよ」


そう言うと、部長が腕を組んで口を開いた。


「つまり、“無から有は生み出せない”ってことかい?」


「そういうことだと思います。

光や闇は“認識”できますよね?だから上位魔法の中でも扱える余地がある。

でも、空間は……“認識しづらい”。

それが、空間魔法が別格とされる理由なんだと思います」


ぼくはそう言い終えて、軽く息をついた。


部屋の空気は静かに熱を帯びていた。

みんなの目が、次の言葉を待つようにぼくへ向けられているのが分かった。

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