Prolog2 召喚された理由
周囲を見渡すと、召喚されたのはぼくたちだけではなかった。
小学生くらいの子供から老人まで、スーツ姿の男女に学生、看護師、警官服まで――。
職業も年齢もバラバラで、裕に数百名は越えている。
異世界召喚とは、もっと限られた人数のものじゃなかったか?
少なくとも、近所の男の子が話していた小説の内容とは違う気がする。
そんなことを考えていたとき、同僚の一人が声を荒げた。
「ここはどこなんだ!! 早く帰らせてくれ!!」
「これから取引先と打ち合わせなのに…」
「仕事を片付けないといけないんだ…!」
その声に便乗するように、あちこちから悲鳴や叫びが上がった。
「これから試験なのに!」
「やったぁぁ! テスト回避だぁぁぁ!」
「異世界召喚!? 実際に体験できるなんて!」
「ママぁぁぁ、どこぉぉ!!」
「逮捕す……あれ? 犯人は? ここはどこだ!?」
「お薬出しとき……あれ?患者は!? ここはどこ!?」
大広間は一瞬にして、てんやわんやの大混乱となった。
――そんな喧騒の中で、ぼくはただ冷静に状況を観察していた。
「みなさま、どうか落ち着いてください!」
ざわめきに満ちていた空間を切り裂くように、凛とした声が響き渡った。
その声に引き寄せられるように、場の空気は一瞬で静まり返る。
声の主は、きらびやかな衣をまとった若い女性だった。
整った顔立ちと真っ直ぐな瞳が、人々を自然と惹きつける。
「わたくしたちが、みなさまを召喚いたしました。
どうか、この世界を――助けていただきたいのです」
助ける?
どういうことだろうか。ぼくは気になって、問いかけた。
すると、少女のように若く見える女性が、真剣な表情で答える。
「魔王が現れて、この世界を滅ぼそうとしているのです。
あなたたちは、わたしたちにとって――最後の希望なのです」
その言葉は、重く大広間に響いた。
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