chapter10 魔法について その2
魔法を見せたことで、みんなは黙り込んでしまった。
そしてーーしばらく沈黙が続く。
「すげえええ!」
誰かがそう叫び、鳥沢さんが興奮したように水球へ駆け寄って目を輝かせて眺めていた。
「オレにもできるかな?」
ソワソワと落ち着かない様子で呟く鳥沢さん。
「まず、みんなが使える魔法を確かめないといけないですね」
ぼくはそう声をかけた。
「おいおい、どんな手品だよ」
「速水くん。ずいぶんと手が込んでますね」
犀田さんと海蛇田さんは、相変わらず信じようとしない。
「信じる信じないは自由ですけど、後で後悔しないでくださいね」
ぼくは淡々と返す。
「どういう意味だよ?」
犀田さんは“理解できない”という顔でぼくを睨みつけた。
「この世界は、日本より命が軽い可能性があるんですよ。
魔物や魔獣がいる世界のはずですからね。
命の危機になって、無様に殺されても知りませんよ――ってことです」
ぼくはあえて、“無様”という言葉を強調して言い放った。
その瞬間、部屋の空気が凍りついたように静まり返る。
……せっかく出した水球だ。いろいろ試してみたい。
ぼくは気持ちを切り替え、水球を操って口元へと運ぶ。
このまま魔法を解けば、びしょ濡れになってしまうからね。
お風呂場もあるみたいだから、本当はそこで試したかった。
でも、白銀さんが腕を離してくれそうにない。
不安なのはわかるけど、いつ離してくれるのだろうか。
かれこれ1時間はくっついている気がする。
腕に当たる柔らかい感触を――たのし……いや、意識しないように、ぼくはただ黙々と水流を操り続けた。
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