chapter9 魔法について その1
※本編に戻ります
みんなの自己紹介が終わり、ぼくはコミュニケーションを取る為、みんなに声をかけた。
「みなさんの魔法の知識は、どのくらいありますか?」
「ハッ、魔法とか本気で信じてるのかよ」
犀田さんが鼻で笑うように言い放った。
「そうですよ。魔法なんて非科学的なもの、ありえません」
海蛇田さんもメガネをくいっと上げ、犀田さんの言葉に同調する。
「確かに、"日本では"そうだったかもしれません。しかし、もうここは日本ではありません。まず、"その事実"を認める必要があります」
ぼくは静かに諭すように言ったが、二人の態度は変わらない。
「そんなこと言われてもなぁ」
「まったくです」
犀田さんと海蛇田さんは聞く耳を持とうとせず、苛立ちを覚えた。
「ちょっと二人とも!!」
白銀さんが注意を促す。
「あーしも、魔法とかよくわかんなーい」
サギジマさんが呆れた様子で答える。
「そんなことより、白銀ちゃんよぉ」
犀田さんはぼくを睨みながら白銀さんを呼び止めた。
「いつまで、速水の野郎にくっついているんだ?」
「別にいいでしょ。わ…私の勝手じゃない!!」
白銀さんがぼくの腕に力をこめたのを感じた。
はぁ……とため息をつく。もう、言葉で説得するより、見せた方が早いだろう。
「んだよ」
不満げに絡む犀田さんに向けて、ぼくは片腕を上げ、掌を前に突き出した。
視線を集めるみんなを前に、イメージを固めて詠唱する。
「水球!!」
すると、テニスボールほどの大きさの水の塊が掌の前に現れ、ふわりと宙に浮かんだ。水滴が光を反射し、微かに音を立てる。
みんなの目が一斉に見開かれる。驚き、困惑、興味――感情の混ざった表情が並ぶ。
「これが魔法です。使える魔法は人によって違いますので、注意してください」
ぼくはゆっくり言葉を締めくくった。
小さな水球は、掌の中で静かに揺れながら、周囲に魔法の存在を知らせていた。
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