Quiet talk 見限られた召喚者
※番外編です
ボクの名前は牛島良太。高校3年生だった。
幼なじみの服部雫に恋をしたのは六年前。
3年間のアタックの末、高校1年生の夏、ようやく付き合うことができた。
恋人になって毎日一緒に帰っていたある日――
足元に魔方陣が現れ、気が付けば知らない場所に立っていた。
呆然と雫と並んで立っていると――女の人の声がした。
「みなさま、どうか落ち着いてください!」
声の方を振り向くと――きらびやかな衣をまとった若い女性が立っていた。
「わたくしたちが、みなさまを召喚いたしました。
どうか、この世界を――助けていただきたいのです」
どういう意味だろう?
ボクにはまったく理解できなかった。
女性は続けて口を開く。
「魔王が現れ、この世界を滅ぼそうとしています。
あなたたちは――わたしたちにとって、最後の希望なのです」
ボクは余計に混乱した。
危機感がまったく感じられなかったのだ。
女性の話が終わり、どうしようか考えていると――兵士の一人が声をかけてきた。
「少し、いいか? あの列に並んでくれ」
示された方向を見ると、たくさんの人が並んでいた。
ボクは雫と一緒に列に加わる。
数時間後、雫が先に水晶に触れ、ボクもその後ろに手を置いた。
すると――能力が表示される。
■◆■◆■◆
【名前】:リョウタ・ウシジマ
【種族】:人間
【年齢】:18歳
【性別】:男
【レベル】:1
【称号】:【唯一職】【異世界人】【召喚されし者】
【体力】:350/350
【魔力】:200/200
【攻撃力】:300
【防御力】:150
【俊敏性】:200
【職業】:無職
【能力】
・【日常生活スキル】:家事Lv2、礼儀作法Lv3、楽器演奏Lv2、歌唱Lv2、計算Lv5
・【戦闘系スキル】:体術Lv2、剣術Lv1、棒術Lv3、投擲術Lv2、身体操作Lv1
・【魔法系スキル】:無魔法Lv1、水魔法Lv1、土魔法Lv1、雷魔法Lv1、闇魔法Lv1、魔力感知Lv1、魔力操作Lv1
・【固有スキル】:肉体強化
■◆■◆■◆
どうやら、これが――ボクの能力らしい。
雫と一緒にその場を去ろうとした瞬間――
別の兵士がボクに声をかけた。
「君、こちらへ来てくれないか?」
人気のない場所へ連れて行かれ、しばらくすると――
さっきのきらびやかな女性が現れる。
兵士の一人が女性に告げる。
「職業は無職です。特に特筆すべき能力もありません。
このままでは、正式な召喚者として認められません」
は?
そんなことはあっただろうか――。
ボクは反論しようとするが――
問答無用で囲まれ、腕を掴まれた。
「ちょっと!!どういうことです!?」
「リョウくんを離して!!」
ボクと雫は必死に抵抗しながら、そう叫ぶ。
「おい、"例の物"を持ってこい」
兵士の一人が叫ぶと、鉄製の腕輪を持った兵士が現れた。
無理やり雫の腕に嵌められると――
雫は急におとなしくなった。
「お前ら!!雫に――なにをしやがった!!」
兵士たちはニヤニヤしながら、答えようともしない。
ぞっとするほど嫌な空気だ。
「さぁ、"お別れ"を言おうか」
兵士の一人が雫に囁く。
「リョ…ウくん。
いま…まで…あり…が…とう。
愛…し…い人よ…」
その言葉が終わると同時に、雫の目から涙がこぼれた。
そして――ボクは、この国から追放された。
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