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VRMMOで怪盗になってRMT業者から世界を奪い返します  作者: アサムラコウ
第二章 背丈違いのボーイミーツガール
17/27

2-7 忍∞infinity

 一糸纏わぬ姿ではない、だが、

 ――紐で縛った(紐ビキニ)姿ではある


「あわわわわ!?」

「スカイ、大丈夫か!?」


 怪盗スカイゴールドの中の子は、思春期真っ盛りの15歳男子。

 それがこうまで、いくら大事な部分はギリ隠してるとはいえ、マドランナ含む7人もの裸同然に囲まれれば、たわわにあわわになるのは当然だった。


「わー、顔真っ赤にしてる♡」

「もっと見ていいんですよ?」

「怪盗君ってば、もしかして初心(うぶ)?」


 マドランナを取り巻く女性キャスト達は、己の体を艶めかしく揺らす。たじろぎ顔を赤くするスカイの前に、たまらずキューティが躍り出て、抗議。


「待てまて、そのコスチューム(装備)は、いくらなんでも審査が通らない(イケないボーダライン)はずだ!?」


 ゲームでのコスは、ある程度自由が利くし、デザインも出来る。しかし、余りにも肌色面積(扇情的)な姿は、AIの判断で却下される。ああなのに、


「――ふふ」


 微笑みと供に、瑞々しく弾む、零れそうな膨らみ。

満ちた月のような肉体を、ただ繋ぎ止めるだけの紐、零れそうに揺れる熱帯果実が如き胸、まろやかな尻は二つに分かれてはみ出してて、どう考えてもアウトオブアウト。

 それが許される訳があるのなら、


「ブ、ブラックヤード(黒い庭)の機能か」

「――その通りよ、怪盗さん」


 そう言ってマドランナは、胸の谷間に手をいれて、そこから黒いキューブ(庭造りの装置)を取り出した。


「ブラックヤードの機能は、運営の監視から逃れる空間作りだけじゃなし、ここでは、少しだけ、ルールを書き換えられる」

「――まさか」

「ああ、挑まれたPVPを破棄するのは流石に無理よ? 勝利条件は変わらない」


 マドランナは、一歩踏み出す。

 それだけでばるんっと、肉が弾む。ふしだらな肉体を誇示しながらも、透き通るような声を奏でて、


「私達の勝利条件は、貴方を倒すか、制限時間30分まで耐える事」

「……我達の勝利条件は、お前を倒すか、ブラックヤードを奪う事」


 ――PVP中のログアウトは強制敗北


「だけど怪盗、後者の条件は無理よね」


 こうしてしまえば、と言って、マドランナは再びそのキューブを、豊かな胸元に挟み込んだ。これみよがしに、揺らす。


「それとも――手を出してくれるの? ベッドの上で」

「――バカにするなよ!」

「スカイ!?」


 己の中から沸き上がる熱を、誤魔化すように、怪盗は飛んだ。そしてマドランナの胸元に伸ばし、そして、

 その手は胸を前にして、ビタッ! っと止まる。

 マドランナは蠱惑的な笑みを浮かべ、そして、

 強靭な尾をスカイの脇腹に叩き込み、


「――ぐはっ」


 続けざま、開脚して、頬に回し蹴りを叩き込む!


「――テールロールキック(竜尾を踏む愚者へ)

「ぐううぅ!?」


 蹴りはどうにか二の腕で受け止める。しかし二連撃の威力は凄まじく、スカイはそのまま吹き飛ばされる――そしてそこには、淫肉を揺らすキャスト達が待ち構えていた。


「こ、この!?」

「あら、手を出してくれるの!」

「いいわよ、サービスサービスゥ!」

「うう!?」


 自ら攻撃を食らいたいように体を誇示してくるキャスト、スカイは完全に調子が狂い、ただ、逃げ回るばかりになってしまう。


「ス、スカイ!」

「――ごめんなさいね忍者さん」

「なっ!?」


 何時の間にか左隣に、佇んでいたマドランナ。

 露わな右目をキューティに向ける。


「貴方まで招き入れるつもりはなくて、貴方好みの子は用意してないのよ」

「わ、私にそういう趣味は!」

「撫でたいくらいかわいい男の子とか、恥じらいがちな女装青年もうちにはいるのだけど」

「どうしてそれを!?」


 そう言いながら、キューティは至近距離でクナイを投げた。しかしマドランナは腕を組んだまま、ガキィ! っと、鋭い牙でそれを噛み止めて、そして、

 蒼い炎を吐けばとろかして、融解した鉄を、喉に流してみせた。

 ――バーチャルとはいえその仕草は


「――くっ」


 武威的に、随分見えた。


「安心して、私、暴力は嫌いなの――例え貴方が運営()の手先でも」

「お前、なぜそこまで」

「前も言ったでしょう?」


 どこまでも下品に肉体を飾る彼女であるが、その面持ちは、


「客商売が長いと、そういう事が解るのよ」


 どこまでも理知的――それでいて、エビデンスが(本能)だという性質(たち)の悪さ。

 ……まるっと見透かされた上で、それでも、スカイの危機を一度放置しておいてでも、キューティはマドランナに、早急に確かめねばならない事がある。


「何故、こんな事をする」


 マドランナは、プレイヤーから、そして運営からも愛される存在だった。

 ――夜の店のロールプレイ

 秩序と規約が前提のこの世界(ゲーム)で、そこから逸脱しないように、それでいて最高級のサービスを提供するのは、システムだけではなく、とてつもない人間力が必要である。


「運営だって鬼ではない、|amezonでの贈り物《干し芋》程度ならうるさく言わないし、年に数回のイベント時は、上限を設けリアルマネーありにして、50:50で運営とプレイヤーで収益を折半してる」

「――勘違いしないで欲しいのだけど、私は金の為に色欲を掲げてる訳じゃないわ」

「それなら、何故」

「色欲の為に、お金が欲しいの」


 金は目的でなく手段と言い切る輩、


「私らしく、生きる為に」


 ――世の中で成功する類いの人間

 キューティは歯軋りする、問答で彼女の心変わりはない。それでやっと怪盗は、顔を赤くする怪盗に声をかけた。


「スカイ! よみふぃ着ぐるみが、一つ残ってる!」


 揺れる胸に迫られるスカイに呼びかけながら、忍術の発動を準備する。


「誰か一人ならその裸同然を隠せる! 一番お前の魂を揺らす者を叫べ!」

「え、ええ!?」


 いきなり性癖の開示を求められ、慌てるスカイ。


「やらしいにかわいいが混じるだけで、お前の視界は中和されるはずだ! 早くしろ!」

「そ、そんな急に言われても!?」

「そこの犬耳か!? 青肌サキュバスもいるな! お尻の小さな女の子か!」

「う、ううう」

「言っただろ、私はお前を軽蔑も断罪もしない! 性癖(ナニガスキカ)は、自然な感情だ!」


 そこまで、言われて、怪盗スカイゴールド、いや、

 白金ソラは、

 リアルの性質と口調で、こう言った。


「銀髪の、現代風のくノ一です!」


 ……、


「私の事かぁ!?」


 真っ赤な顔になったキューティ、慌てMAX。


「なななな何を言ってるのだスカイ!?」

「だってキューティがそんな事言うから、我の頭の中、お前でいっぱいで!」

「いや、それは嬉しいが!?」

「――妬けるわね」


 キューティの隣に立ったマドランナ、翼を広げ、

 ――尾で地面を蹴って、滑空する


「なっ!」


 ファントムステップと同じ程の勢いで、マドランナはスカイにタックルを仕掛け、そして、押し倒し、馬乗りになってみせた。


「スカイ!?」


 慌て彼女は、マドランナに強制変化をかけようとする。しかし、他のキャスト達が笑いながら、文字通り肉の壁になって阻む。


「暴力は趣味じゃないの、だけど――こういう趣向は好みかも」

「や、やめろ、離せ!」

「貴方達の敗因はたった一つ」


 マドランナは、儚げに笑い、


「自分を突き動かす大切な欲望を、罪にして目を背けてきた事」


 膨らみ揺れる体を、重ねようとして、キューティは、


「スカイー!」


 奪うどころか奪われようとする彼へ、叫んだ。

 ――その瞬間


「――えっ」


 マントの留め具が――インペリアルトパーズが輝き出す。

 そして、


「なっ」


 キューティの目を通してだけ、よみふぃの拘束衣が、淡い光を放ち始める。

 ――考えるよりも早くキューティは


「――強制変化の術」


 その技を、


無限()!」


 放つ。




 彼女の手に握られたレアアイテム(コリーフ)が、

 ――増殖する


「えっ」

「わっ」

「きゃあ!?」


 裸を包むよみふぃの着ぐるみ、包まれた彼女達は地に伏せて、


「な、なんなのよこれ!?」

「脱げない!?」

「――スカイからは、何も奪わせぬ」


 グリッチの【特性共有】は、

 すり抜けバグでなく、別の形となって、

 ――無限増殖バグ


「この手を(グリッチ)に染めようと!」


 本当の意味でこの瞬間、

 彼女は、怪盗の一味となる。




 仲間(キャスト)達の姿を包み隠され、マドランナは思った。

 神様はまた、私達を愛してくれないと。

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