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辺境の村の英雄、四十二歳にして初めて村を出る  作者: 岡本剛也
第3章

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第67話 報告


 翌日。目覚めた際の体の軽さに自分でも驚いてしまう。

 新しい宿に変えたことで、とにかく生活の質が向上した。


 まずふかふかのベットになったことで、睡眠の質が見違えるほど高くなった。

 安宿ではカッピカピの敷き布団だったわけで、体の疲れの取れ方が比にならない。


 更に部屋の中にシャワーが備え付けられているため、いつでも自分の好きなタイミングでシャワーに入ることができるのが、精神的にも衛生的にも非常にありがたい。

 ちゃんとお湯が出るのも嬉しいし、共用な上に水しかでなかった安宿とは歴然の差がある。

 引っ越して良かったと初日から強く思いながら、俺は気分よく二人がいるであろう酒場の前に向かった。


 宿泊している『椿屋』から、いつもの酒場までは歩いて三分ほど。

 かなり近い位置に引っ越すことができたため、食事会とか関係なく酒場にはふらっと酒を飲みに行くことになると思う。


「あっ、グレアムさん! おはようございます!」

「おはよう。ジーニア、昨日は色々とありがとな」

「こちらこそ、買い物に付き合って頂きありがとうございました!」

「……え? また私を除け者にして、二人だけで買い物に行ったの!?」

「買い物というか、新しい宿探しを手伝ってもらっただけだ。アオイは色々とやることがあるって言っていただろ」

「あったけど楽しいことなら優先するから! 一言もないなんて酷すぎる!」

「分かった、分かった。また何かあった時は誘う」

「それ、前も言っていた気がするんだけど!」


 ぶーぶーと文句を言っているアオイを適当に受け流しつつ、俺達は冒険者ギルドへと向かった。

 今日も依頼を受ける予定はなく、ギルド長に呼び出されているため冒険者ギルドに向かうだけ。


 恐らくだが、ベルセルクベアの素材を売ってくれたことの報告だと思っている。

 素材の売れた際の使い道はまだ決まっていないが、できれば何か慈善に繋がることができれば良いと考えているんだが……。

 何も思いついていないし、シンプルに寄付をしようと今のところは考えている。


 あっという間に冒険者ギルドに着き、もう慣れた感じで裏のギルド長室に通された。

 ノックをしてから、俺達は部屋の中に入ったのだが――俺は部屋を見て、その変貌ぶりに思わず声を出して驚いてしまった。


「部屋が――片付けられている」

「うっわ! 凄い綺麗になってますね。前回来た時は足の踏み場もなかった気がしたんですけど」


 大量に積み上げられていた書類が全て片付けられており、見違えるほど綺麗な部屋になっていた。

 もう片付けることすら不可能ってぐらいの荒れっぷりだっただけに、ギルド長への挨拶よりも先に驚いてしまった。


「呼び出して悪いな。部屋は丸一日使って全て片付けた。今後グレアムさんを呼び出すことが多くなるだろうし、あんな部屋のままでは失礼だと思ってな」

「そんな理由だけで片付けたのか。それにしても……あの状態からよく片付けることができたな」

「色々とモチベーションが高くなっているから、割と楽に片付け自体はできたな。ギルド長としての仕事の方も捗っているし、本当にグレアムさん様様だ」


 部屋の片づけや仕事と、どう俺が結びついているのか全く分からないが、まぁやる気に繋がったというのであればそれに越したことはない。


「一切自覚はないんだが、役に立ったのなら良かった。……それでだが、俺を呼び出したことについて教えてほしい」

「呼び出したのは、この間のバーサークベアの群れの報告をするためだ。あの後、ギルド職員を連れてヘストフォレストに調査へ行ってきた。その調査の結果、無事に全てのバーサークベアが消えていた。まぁ、グレアムさんは知っていただろうがな」


 部屋の片づけだけでなく、調査にまで行っていたのか。

 モチベーションが高くなったというのは本当のようだな。


「反応がなくなったことを確認していたから知っていたが、改めて確認してくれたのは助かる。それじゃヘストフォレストへの立ち入り禁止は解かれるのか?」

「そのつもりではいるが、まずは道の舗装からやらなければならない。だから解禁されるのはもっと先になってしまうだろうな。……ただ、グレアムさんのお陰で危険エリアが安全なエリアに変わった。これはちゃんと善行と言えると思ったから、こうしてキッチリと報告させてもらった。そして、ギルド長として改めてお礼を言わせてもらう。グレアムさん、ジーニア、アオイ。本当にありがとう」


 真剣な表情で深々とお礼を言ってきたギルド長。

 お礼が言われたくて行ったことではないが、こうして成果を教えてくれ、改めてお礼をされると善い行いができたのだと実感できて嬉しくなる。


「ちゃんと善行になったのなら良かった。ギルド長も協力してくれて助かった。もちろん、ジーニアとアオイもな」

「いえいえ。私達はほとんど修行の一環みたいなものでしたから!」

「だね! バーサークベアも二人で一匹しか倒せなかったし。……ただ、善行って気分が良いね! 金銭が発生しないのになんでって思ったけど、真っすぐな感謝をされるとこっちも嬉しくなる!」


 俺もアオイと全くの同意見。

 やって良かったと心から思えるし、これからも継続して行おうとも強く思うことができた。


「私が手伝ったのはあくまでもギルド長としてだ。冒険者時代はこんなこと死んでもやらなかったからこそ、本気で刺激を受けているのかもしれない。……とりあえず善行の報告については以上だな。そしてこっちの方が、わざわざ呼び出した本題と言っていい用件なのだが――ベルセルクベア及び、ヘストフォレストで狩った魔物達の素材の売却ができた」


 ギルド長がそう口にした瞬間、和やかだった空気が一気に張り詰めた。

 お金ではないといいつつも、どうしても気になってしまう。

 人間の性というものは怖いと、俺を含め全員に緊張が走ったことで強くそう感じた。



ここまで読んでいただき本当にありがとうございます!!

『ブックマーク』と、広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけますと嬉しいです<(_ _)>ペコ

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