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辺境の村の英雄、四十二歳にして初めて村を出る  作者: 岡本剛也
第2章

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第61話 思わぬ展開


「ジーニア、アオイ。二体は俺が仕留めたから、残ったバーサークベアと戦ってくれ」

「し、仕留めたって……! せっかく気合い入れたところだったのに、ド派手に倒すから集中がそっちに持っていかれたじゃん!!」

「アオイちゃん、グレアムさんはいつもああですよ! 心を無にして考えないようにして、私達はバーサークベアのことをだけに集中しましょう!」

「むむ……む! 確かにそうだね! 考えても無駄だし、バーサークベアを倒すことだけに集中する!」


 ジーニアの声掛けのお陰で二人は上手く切り替えることができたようで、再び高い集中力を発揮しながらジリジリと残ったバーサークベアに近づいていった。

 一方のバーサークベアだが、急に圧死した仲間のバーサークベアに意識が向いているようで、目をまん丸くさせてキョロキョロと周囲を探っている。


 ここに姿を見せたときのような狂った感じはなく、バーサークの名を微塵も感じないほど正気になってしまっている。

 この状態を相手にして、果たしてバーサークベアと戦ったと言っていいのか分からないが、今の二人にとってはベストな相手。


「まずは私が突っ込む! 攻撃は仕掛けずに翻弄するから、ジーニアは動きを頭に叩き込んで!」

「分かった。アオイちゃん、絶対につかまらないようにね!」

「任せて! 避けるのは大得意だから!」


 そんな会話をしてから、バーサークベアに対して突っ込んでいったアオイ。

 困惑している様子のバーサークベアだったが、敵が迫ってきたとなったら流石に攻撃を行ってきた。


 ただし動きに一切のキレはなく、そんなバーサークベアの攻撃をアオイは楽々と避けて見せた。

 そこからはアオイの独壇場。


 バーサークベアから付かず離れずの距離を保つと、おちょくるように攻撃を誘っては回避していく。

 避けるのは得意と豪語していただけあり、一切の危なげもなく、バーサークベアの攻撃を避けきっている。


 仲間の圧死に困惑していたバーサークベアも、攻撃を行うに連れて元の調子を取り戻してきたのだが……。

 避けるアオイを捉えきる前に、バーサークベアにとっては死神であるジーニアが、剣を抜いてから前へと出てきた。


「アオイちゃん、ありがとうございます。お陰さまでバーサークベアの動きを読み切りました」


 淡々とそう告げると、アオイと入れ替わるようにバーサークベアの前に立ったジーニア。

 そんなジーニアに対しても構うことなく右腕を振り下ろしたのだが――。


 振り下ろした右腕はそのまま地面に落ち、ワンテンポ遅れてから血が吹き出た。

 右腕は完璧にジーニアが斬り飛ばし、こうなったら後は一方的に仕留めきるだけ。


 俺はそう確信していたのだが……。

 二人は右腕の失くなったバーサークベアにまさかの大苦戦。


 攻撃を一切受けることはなかったのだが、相手の力を使って斬るというカウンタースタイルのジーニアには、攻撃を仕掛けてこない相手にダメージを与える術を持ち合わせていない。


 アオイも、体長が五メートル近くあって強靭な肉体を持っているバーサークベアに対し、ダメージを与えられるような強力な技を持っていない。

 何とかかんとか攻撃をさせるように仕向け、早々に手負いとなったバーサークベアを仕留めることには成功したが、二人にとっては明確な課題が見つかった一戦だったと思う。


「はぁー……はぁー……。し、死んだよね?」

「た、多分だけど死んだと思う」


 避けることに集中力を割きながら、ダメージも与えるように動いていたこともあり、二人は汗だくで足もぷるぷると震えている。

 道中の戦闘も影響しているとは思うが、ジーニアはレッサーオーガの群れを撫で斬りにした時以上に疲弊しているな。


「よく倒したと思うが、明確な課題が見つかったな」

「は、はい。二対一でこのざまだったのは悔しいです」

「もっと戦えると思ったんだけど……悔しい!」

「残りのバーサークベアも倒してもらうつもりだったが、その状態じゃ厳しいか。残りは俺が片付けるから後方で休んでくれ」

「う、うぐぐ……! 戦いたい、です!」

「ここからビオダスダールに帰らないといけないからな。ここで全力を使われたら困る」

「うぅ……分かりました」


 本当に悔しそうにしているジーニア。

 俺ももう少し戦わせてあげたい気持ちもあるが、疲弊し切った状態で戦わせてもいい結果はでない。


「どうする? ギルド長も戦うか?」


 ここまでやけに静かだったギルド長に話を振ったのだが……。

 ギルド長は何故か両手で口を押さえていた。


「……何しているんだ?」

「さっきの無属性魔法が凄すぎて、昂る感情を無理やり押し殺していた」

「そ、そうか。それでギルド長は戦うのか?」

「いや。何度も言ったが、俺はグレアムさんの戦闘が見たい。さっきの無属性魔法を使って倒すのか?」

「そうだな。バーサークベアは【重力魔法( グラビティ )衝撃( インパクト )】で圧死させて、ベルセルクベアは更に応用を効かせた魔法で倒そうと思っている」


 俺の返答を聞いたギルド長は、口を押さえているため声にならない声をあげながら目を爛々と輝かせた。

 最初にギルド長室で会った時は、まともな人だと思ったんだけどな。


 あまり深くは関わらないでおこう。

 俺は心の中でそう決め、残りのバーサークベアに意識を向けた。



ここまで読んでいただき本当にありがとうございます!!

『ブックマーク』と、広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけますと嬉しいです<(_ _)>ペコ

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