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辺境の村の英雄、四十二歳にして初めて村を出る  作者: 岡本剛也
第2章

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第56話 複数詠唱


 “麗しの蜜”を採取した翌日。

 ジーニア、アオイと合流し、俺達は冒険者ギルドには寄らずに街の門にやってきていた。


 いつもならば冒険者ギルドに行くため流れで向かいそうになったが、今回は依頼ではなく善行でバーサークベアを倒しに向かう。

 果たしてこれが善行と呼べるのかは未だ疑問ではあるが、危険な魔物を倒すことで救われる命があるのであれば善行だろう。


 そんなことを考えながら歩いていると、俺達よりも早くやってきていたギルド長の姿が見えた。

 服装が冒険者ギルドにいる時とは違い、質の高い防具に腰に差してあるのは黒いロングソード。


 長年愛用しているのが一目で分かる良い剣だ。

 それから大きなリュックを背負っており、荷物がパンパンに詰められているのが膨れ具合いから分かる。

 

 対する俺達は、舐めているように思われても仕方がないくらい普通の恰好。

 バーサークベアの群れの中から、ベルセルクベアが誕生したといっても所詮はフレイムオーガ程度。

 そこまで気合いを入れる必要はないと判断したのだが、ガチな装備を見ると少し不安になってくる。


「ギルド長、待たせて悪かったな。それにしても凄い装備だな」

「グレアムさん、おはよう。俺も丁度着いたところだから気にしなくていい。装備に関しては、立ち入り禁止区域だから本気の装備で来たんだが……ちょっと場違いだったか?」

「いえ、私達がおかしいのだと思います! グレアムさんと一緒にいすぎて麻痺している感じがありますから」

「まぁでも、実際にグレアムがいたらなんとかなるし、軽い装備の方がいいでしょ!」

「重い荷物を持っての移動も慣れているから、俺のことは気にしなくて大丈夫だ。それじゃ早速だがヘストフォレストに向かおう」

「ああ、案内をよろしく頼む」


 大荷物のギルド長を先頭に、俺達はビオダスダールの街を出発してヘストフォレストへ向かった。

 途中まではしっかりと舗装された道が続いていたのだが、次第に砂利道に変わっていき、いつの間にか草木に覆われた獣道のような場所に変わっている。

 街からはそう離れた場所まで来ていないのだが、この変わり様ってことは本当に誰一人として近づいていないんだな。


「凄い道ですね! 普通なら引き返すような道ですよ」

「確かにそうだな。ギルド長がいなければ辿り着くことすら無理だったかもしれない」

「そんなことはない。比較的近いし、地図読みができれば誰でも森に行くことはできる。――ほら、もう入口が見えてきたぞ」


 二メートル近い草を掻き分け、ギルド長が指をさした方向に大きな森が見えてきた。

 真昼間なのに夜のように暗い森であり、危険な魔物がいるとか関係なしに近寄り難い森だな。

 昨日、穏やかな南東の森に行ったからか、落差でより不気味に見える気がする。


「凄い暗い森ですね。南東の森は自然豊かって感じですけど、ここは自然が行き過ぎて不気味です」

「日が差し込まないほど木々が生い茂っているんだろうな。道もほぼないし、進むのすら大変そうだ」

「森の先導は俺がやらせてもらう。長いこと冒険者をやってきただけあって、こういった場所の探索もしてきているからな。三人の誰かにはランタンを持ってもらいたいんだが……」

「灯りなら魔法でいいだろう。わざわざ片手を塞ぐ必要がない」


 ギルド長の発言に被せるように、そう提案してから【ライト】の魔法を唱えた。

 久しぶりに使ったため、自分でも驚くほど明るくなってしまったが、高い位置に浮遊させることで疑似的に日の光りの代わりにできる。


「うっわ、凄い明るいです! グレアムさんはこんな魔法も使えるんですね!」

「洞窟とかは暗いから断念してたけど、魔法使いがいればこんなに楽に探索できるんだ! 今までソロで冒険者やってたことを後悔し始めちゃうんだけど……!」

「……い、いや、グレアムさんが特別なだけだぞ。明るくさせるためだけに魔法を使うなんて、滅多なことがない限りやらない。魔力も勿体ないし、戦力が一人減ってしまうからな」

「戦力が一人減る? どういうことだ?」

「……ん? 俺は魔法を使えないから分からないが、魔法を唱えている最中に、別の魔法は唱えられないんじゃないのか?」

「いや、別に一気に複数の魔法を唱えることはできるぞ。――【ウォーターボール】【ウインドボール】【ファイアーボール】【ストーンボール】」


 俺は【ライト】の魔法を使いながら、四元素の基礎の魔法を同時に発動させた。

 空中に放たれた四つの球状の魔法。


 別の方向から弧を描くように飛んだ魔法は、俺の真上でぶつかると激しい音を立てて爆発四散した。

 戦闘では一切使うことのない魔法だが、芸術性が高く非常に気に入っている。

 フーロ村の子供たちにこの技を見せると喜んでくれたため、三人も喜んでくれると思ったのだが……ギルド長もジーニアもアオイも口を開けて放心状態となっていた。

 


ここまで読んでいただき本当にありがとうございます!!

『ブックマーク』と、広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけますと嬉しいです<(_ _)>ペコ

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