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辺境の村の英雄、四十二歳にして初めて村を出る  作者: 岡本剛也
第3章

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第255話 上下関係


 力みが取れたグリーは、その後問題なく残りの二体のゴブリンも討伐し、薬草採取も終えて、初めての依頼を終えた。

 基本的には俺たちも同行するし、グリーの方は何の問題もない。


 前々から気になっているのは、どちらかといえばルーカスの方だ。

 元々冒険者だったこともあり、最初から俺の手から離れているからな。


 一応、パーティメンバー探しは手伝ったものの、その後のことは順調だということしか聞いていない。

 トラウマもあるなか、メンバーもかなり特殊だったし、本当に順調なのかも怪しい。


 明日は依頼に向かうと言っていたし、明日はルーカスの依頼についていこうと思う。

 ということで、今日は気を取り直して、三人での依頼を行っていこう。


「グリーの依頼、中々良かったね! 初めて依頼を受けたときのことを思い出しちゃった!」

「アオイも最初は緊張したのか?」

「もちろん! まぁ苦戦はしてないけどね! グレアムはどうなの? さすがのグレアムも最初の依頼は緊張した?」

「ん? 最初の依頼はジーニアと一緒だったし、別に緊張はしなかったな」

「えっ!? あれがグレアムさんにとっても最初の依頼だった……? あ、そういえばそうでしたね! 私が初めてのパーティメンバーって話でした!」


 当初のことをすっかり忘れていたようで、一人で勝手に驚いているジーニア。

 まぁ、冒険者になったのがビオダスダールに来てからというだけで、フーロ村では実質冒険者みたいなことをしていたけどな。


「そういえば、ジーニアとグレアムのランクって同じだもんね! ってことは、グレアムは最初っから強い天才だったってこと!?」

「いや、違うぞ。俺の住んでいた村では冒険者っぽい活動をずっとしていた。腕を失ったことをきっかけに村を出て、ビオダスダールで冒険者という職に改めて就いたってだけだ」

「へー! 私は初めて聞いたかも! ……ってか、グレアムが腕を失うって、改めてどんな化け物と戦ったの!?」

「エンシェントドラゴンという、大きな龍だな。アオイには話したことがなかったか?」


 てっきり説明したと思っていたが、ジーニアとギルド長にしか話していなかったかもしれない。


「初めて聞いた! レッドドラゴンの上位互換的なやつ? 想像もつかないんだけど!」

「まぁ、簡単に言ったらそうだな」


 上位互換という話では済まないだろうが、別に間違ってはいない。

 それからジーニアとアオイにエンシェントドラゴンについて話しつつ、俺たちは依頼をこなしたのだった。



 翌日。

 無事に依頼を達成して浮かれているグリーを見ながら朝食を済ませ、その後、予定していた通りルーカスの依頼へとついていくことにした。


 またジーニアとアオイに依頼を任せることになって悪いが、まぁ二人だけでも問題なく依頼はこなせるはずだ。

 ルーカスに案内してもらい、集合場所である広場の噴水前へとやってきた。


「……あれ? 前にいた人だよね。なんで今日は一緒なの?」

「グレアムだ。今日は一緒に依頼についていかせてほしい」

「す、すみません。僕のことが心配みたいで、様子を見に行かせてほしいと頼まれたんです」

「……ふーん。ついてこられるなら別にいいよ。足を引っ張ったら置いていくけど」

「その点は問題ないはずだ。これでもBランク冒険者だからな」

「……なら、問題ないね。依頼を受けにいく」


 ドロシーはそう言うと、早足で冒険者ギルドへと向かっていった。

 口数の多いタイプではなさそうだったが、移動中はほぼ無言。


 ルーカスも居心地が悪そうにしているが、何も発しないため、これが平常運転なのかもしれない。

 そういうことなら、俺も何も言わない方がいいのかと思ったが……流石に無言は気まずい。


「ルーカス、いつも何も喋らないのか?」

「そ、そうなんですよ。最初は僕も話しかけていたんですが、空返事しか返ってこないので、話しかけるのも気まずくなってしまったんです」

「そんな状態で依頼はちゃんとこなせているのか?」

「依頼についてはちゃんと話してくれるので問題ないんですが……楽しさはないですね」


 そう言って、どこか寂しそうな表情を浮かべたルーカス。

 その表情を見れば、前のパーティが和気あいあいとしていたことは聞かなくても分かった。


「……ねぇ、早く」

「あっ、すみません! 今行きます!」


 冒険者ギルドの入口でジト目で見ながらそう言ってきたドロシーに対し、ルーカスは平謝りしながら走って向かっていった。

 まだ数回しか依頼をこなしていないはずだが、既に序列は決まっているようだな。


 同じパーティになったわけだし、対等に扱われるのが理想なんだが……。

 ランク差もあるわけだし、性格的にもルーカスが下になってしまう理由はよく分かる。


「……この依頼でいい?」

「はい! その依頼でいいと思います!」


 掲示板を見て、特に吟味することなく決めたドロシーに対し、ルーカスも意見を出さずに承諾した。

 受注ランクだけを見て決めたように見えたが、もう少し考えた方がいいと思うけどな。


「その依頼でいいのか? 討伐系ならマーブルメイジの方が近い場所で終わるぞ」

「……ん、んー。そっちにする」


 俺が指さした依頼と見比べ、マーブルメイジの討伐依頼の方が楽だと判断したのか、一瞬で受ける依頼を変えた。

 無口なこともあり、確かに怖い印象は受けるが、別に自己中心的というわけではなさそう。


 そうなってくると、受け身で居続けているルーカスに問題があるようにも見えてきた。

 しっかりと観察して、できるアドバイスはしていこうか。





―――――――――――――

ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。

本日からコミカライズ版の公開が始まりました!!!

担当してくださった村下先生が漫画を描いてくださっており、web版を読んだ方でも楽しめるような素晴らしい作品に仕上がっております!

無料で読むことができますので、どうか何卒読んで頂けたら幸いです<(_ _)>ペコ


↓の画像をタップして頂くと、カドコミに飛びます!

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