第253話 初めての依頼
ビオダスダールに戻ってきてから、平穏な日々を過ごしている。
俺もジーニアとアオイと共に依頼をこなすようになり、ルーカスも活動ペースこそ少ないけど、ちゃんと冒険者をやれているみたいだ。
楽しそうでもあるし、その点についても一安心している。
近々、詳しく話を聞きたいと思っているけど……今日は久しぶりにグリーを連れて依頼を受ける日だから、ルーカスのことについてはまた別日だ。
「グリー、準備はできたか?」
「う、うん。準備できてる」
「なになにー? 珍しく緊張してんじゃーん! いつもの生意気な態度はどうしたのさ!」
「う、うるさい! アオイはあっち行って」
「意地悪は駄目ですよ。グリー君、気負わなくて大丈夫ですからね」
緊張しているグリーを煽るアオイと、少しでも緊張を解いてあげようとしているジーニア。
やはりこういうところで違いが出るな。
「本当に気張らなくて大丈夫だ。ダンジョンに比べたら、大した依頼ではないしな」
「だ、大丈夫。武者震いだから」
「ねぇねぇ! グレアム様ー! 私とアンも行きたーい!」
「お兄ちゃんばかりズルいです! 私もついていかせてください」
絶対に武者震いじゃない震え方をしているグリーの後ろから、元気な二人組がやってきた。
ずっとグリーのことを羨ましがっており、まぁ連れて行っても問題ない強さに成長してくれてはいるんだが……。
「まだ駄目だ。二人を連れて行くのは来年以降だな」
「えー! グレアム様、イジワルです!」
「私たちも、もう戦うことができます!」
「年齢的な問題だから、我慢してくれ。ちゃんと強くなれば、来年は本当に連れていくから」
頬をパンパンに膨らませているリアとアンの頭を撫でてから、俺たちは家をあとにした。
まずは冒険者ギルドへ向かい、グリーの冒険者登録を済ませるところからだ。
グリーを迎え入れたときは、こんなにも早く冒険者になるとは思っていなかったが、子供の成長は本当に早い。
メキメキと強くなっていったし、ダンジョンでもしっかりと戦えていたからな。
「グリー、ここが冒険者ギルドだよ! 来るのは初めてでしょ!」
「んーん。隠れて何度か来たことがある」
「本当に悪いやつ! せっかく紹介してあげようと思ったのに、可愛げもないんだから!」
「来たことがあるだけでも、紹介は必要ですよね? 私が軽く紹介します」
正式には初めて来たグリーに冒険者ギルドを説明しつつ、そのまま受付へと向かった。
いつもの受付嬢さんが笑顔で出迎えてくれていたものの、後ろにいるグリーを見て、少し驚いた表情を見せている。
「皆さん、いらっしゃいませ! 今日は初めての方がいるようですが、まさか……」
「ああ、そのまさかだ。今日から冒険者として活動させようと思っている」
「やっぱりそうだったんですね! グレアムさんのことですから実力は間違いないと思うんですが、年齢的に登録できる年齢でしょうか?」
「ついこの間、十歳になったから大丈夫だと思う。一応、調べてあげてほしい」
「分かりました! お名前と出身地をお願いします!」
受付嬢さんに尋ねられ、グリーは恥ずかしそうにしながら名前と出身地を答えた。
そして、水晶で調べ終えたようで、人差し指と親指で小さく丸を作ってくれた。
「はい、大丈夫ですね! 十歳になったとのことで、冒険者登録は可能になります! ただし、年齢が若い冒険者の致死率は非常に高いので、くれぐれも気をつけてくださいね!」
「え? ち、ちしりつ……ってなんだ?」
「死ぬ確率が高いってことだ。まぁ俺たちがついていくから問題ない」
「それなら問題ありませんね! ということで、早速冒険者登録と冒険者カードをお作りします!」
受付嬢さんは慣れた手つきで入力を行い、グリーに冒険者カードを手渡してくれた。
グリーは受け取った冒険者カードを嬉しそうに眺めており、そして、その姿をみんなに見られていることに気づき、恥ずかしそうにポケットにしまった。
「これで冒険者登録は完了しましたので、ルーキーランクの依頼になりますが、受けられるようになります! 早速受けますか?」
「ああ、依頼を受けてもらえると助かる」
「お願いします」
「それでは私の方で見繕っておきますね! ――よし、これで依頼の受注も完了です! 薬草十本の納品にゴブリン三体討伐! 達成しましたら、受付にて報告してください!」
「色々ありがとう。また何かお土産を持ってくる」
「グレアムさん、ありがとうございます! 楽しみにしてますね!」
いつもの受付嬢さんにお礼を伝えてから、まだ来たばかりではあるが、冒険者ギルドをあとにした。
グリーにとっても簡単すぎる依頼だと思うが、最初は簡単すぎるくらいがちょうどいい。
ということで、初の依頼を見守るとしよう。
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