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辺境の村の英雄、四十二歳にして初めて村を出る  作者: 岡本剛也
第3章

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第252話 帰着


 馬車に揺られ、ビオダスダールへと帰ってきた。

 期間的には長期の旅ってわけではなかったのだが、色々ありすぎて久しぶりに帰ってきたような感覚。


 フーロ村を出てからは、ジーニアとアオイと基本的に一緒にいたこともあったため、帰ってきたときのみんなの顔がイマイチ思い出せない。

 とはいえ、みんなと早く会いたい気持ちは非常に強い。


「グレアムさん、お疲れ様。今回もまた助けられてしまったな」

「いやいや。今回巻き込んだのは俺の方だから、助けられたのは確実に俺の方だ。ギルド長、ありがとう」

「スペンサーは俺の古い友人だからな。友人の危機を救ってもらったんだから、礼を言うのは俺の方だ。グレアムさん、ありがとう」


 理屈的にも絶対におかしいのだが、頭を下げ続けてくるギルド長。

 まぁでも、ギルド長の旧友を救えたのなら良かったのか。


「じゃあお互いに礼はなしってことにしよう。それと、スペンサーからもらった『シュヴァリエ・コンテ』はギルド長がもらってくれ」

「……えっ!? ……い、いやいや、さすがに幻の酒はもらえない! 少しだけ飲ませてもらいたくはあるが!」

「それは俺のセリフだ。酒に興味がないのに、幻の酒をもらっても仕方がない。試飲程度にちょっともらえれば充分だ」


 俺がそう告げると、ブツブツと自問自答を繰り返し始めたギルド長。

 もらいたいけど、申し訳ないって気持ちで右往左往しているのだと思う。


「他の報酬は俺がもらうし、幻の酒は俺が持っていてもただの酒だ。『シュヴァリエ・コンテ』も悲しむと思う」

「…………分かった。グレアムさんがそこまで言ってくれるのなら、ありがたく貰わせてもらう! 何から何まで本当にありがとう!」


 お礼は禁止と言ったはずなのに、土下座する勢いで頭を下げてきた。

 俺は何とか止めてから、言った通り『シュヴァリエ・コンテ』をギルド長に渡し、久しぶりの家へと帰ることにした。


 懐かしの我が家。

 元気に過ごしているか不安だったが、家の中から元気な声が聞こえているため、何も問題なさそうで一安心。

 俺が鍵を開けて、家の扉を開けると――。


「誰か帰ってきたぁー!」

「グレアム様? グレアム様じゃない!?」


 そんなリアとアンの声が聞こえてきたのと同時に、ドタドタと玄関に向かって走ってくる二人分の足音がした。

 そして……。


「うわー! やっぱりグレアム様だぁー!」

「グレアムさん、おかえりなさい! 会いたかったです!」


 走ってきた勢いそのままに、二人いっぺんに飛びついてきた。

 俺は何とか片腕で受け止めつつ、ゆっくりと下へと降ろす。


「ただいま。元気に、そしていい子にしていたか?」

「うん! 私もアンもいい子にしていたよ!」

「グレアムさんも元気で良かったぁ! 帰ってくるのが遅かったから、ずっと心配していたの!」

「心配かけてごめんな。ちゃんとお土産も買ってきたから、とりあえずリビングに行こう」

「お土産ー!? 何買ってきてくれたんだろう!」

「おっみやげ! おっみやげー!」


 ルンルン気分の二人は、歌いながら小躍りを始めた。

 帰ってきてまだ一分も経っていないが、もう心が癒されていくのを感じる。


「グレアム様、おかえりなさい」

「みんな言うこと聞いてた。リアとアンはうるさかったけど」


 キッチンに立っていたトリシアとモードに声をかけられ、リビングのテーブルにはみんなが勢ぞろいしてくれている。

 グリーだけは素っ気ない素振りを見せているが、チラチラと俺のほうを見ているし、嬉しがっているのは伝わるため、ニヤニヤしてしまうな。


「みんなが元気そうで良かった。ジーニアとアオイは依頼に行っているのか?」

「うん! ルーカスもだけど、一時間前くらいに行っちゃった! もう少し待ってれば、グレアム様に会えたのにー!」

「ね! ジーニアさんもアオイさんも寂しそうにしてましたもん!」


 ルーカスももう冒険者活動を始めているのか。

 ジーニアとアオイは心配いらないが、ルーカスだけはかなり気になるな。


「変わらないようで良かった。ひとまずみんなの顔を見られたことだし、お土産を渡すか」

「やったー! おっみやげー! おっみやげー!」

「何を買ってきてくれたんですか!?」


 リアとアンはもちろん、トリシアたちも気になるようで、俺がおもむろに出した袋に興味津々といった様子。

 時間もあまりなかったため、じっくり選ぶ余裕はなかったものの、スペンサーからオススメのお土産を聞いておいたから期待には応えられるはず。


「まずは名物のお菓子。それからアクセサリー職人がいるみたいだったから、みんなに一つずつネックレスを買ってきた」

「お菓子!? ネックレス!?」

「ネックレスなんか、私たちがもらってもいいんでしょうか?」

「もちろん。俺が選んだから、貰ってくれたら嬉しい」


 俺は一人ずつ、似合うと思ったネックレスを渡していく。

 まだ体が成長しきっていないため、サイズの調整が利くネックレスしか選択肢がなかったが、有名なだけあって物も良く、種類も豊富だったからな。

 きっと似合うはず。


「わぁー! 可愛い!」

「綺麗なネックレスです! グレアムさん、ありがとう!」

「俺のはかっこいい! 青い宝石?」

「僕のは緑!」


 宝石の色でも違いを出せたため、本当に喜んでくれている。

 保険のためにお菓子も買ってきたが、本命はネックレスだったため、喜んでくれて良かった。



ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。

書籍版の第2巻が発売しております!!!

Web版をご愛読くださっている皆さまにも楽しんでいただけるよう、加筆修正を加えたうえでの刊行となっております。

ぜひお手に取っていただけますと幸いです!


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