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辺境の村の英雄、四十二歳にして初めて村を出る  作者: 岡本剛也
第3章

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第248話 見せつけ


 兵士のリーダーらしき人物に宥められ、抜きかけた剣の柄から手を下ろしたバルキュラと呼ばれた人物。

 丸く収まったのはよかったが、冒険者はやはり血の気が多いな。


「突っかかって悪かったな。俺たちは一切責任は取れないが、勝手に向かう分には構わない」

「ありがとう。責任は負わなくて大丈夫だ。後続から来るギルド長たちには、上手く説明しておいてくれ」


 兵士のリーダーらしき人物にお礼を伝え、俺は魔物の大群の気配のある方へと進んでいく。

 バルキュラを含む冒険者組は面白くなさそうにしているものの、先に行かせてくれるなら何でもいい。


 気持ちを切り替え、ここからは魔物を殲滅することだけを考える。

 前方に人がいないことから、広範囲攻撃も使用できるし、余程の相手がいない限り苦戦することはないだろう。


 そんなことを考えつつ歩いていると……先頭を進む魔物の姿が見えてきた。

 オーガやトロールといった歩兵部隊であり、様子見兼壁の使い捨ての駒。

 使い捨ての駒に手間取っていられないし、サクッと全滅させてしまおう。


「見えました! オーガとトロールです! スリーマンセルで一体倒すように動き――」

「どうした? まさか他の魔物もいるのか?」

「い、いえ! 今見えるのはオーガとトロールだけなのですが、各五十体ほどが進軍してきています!」

「各五十体!? 合計五十体でも多すぎる数だぞ! 見間違いじゃないのか!?」

「き、来ています! ウスマン軍団長、ど、どうしますか?」

「引く……か? いや、籠城する時間も稼がないといけない。バルキュラは一人でフリンブルへ戻れ。数を正確に報告し、籠城の準備を整えるんだ」

「はぁ!? 俺だけ逃げるなんてできるわけねぇだろ!」


 サーチ系のスキル持ちがいるのか、前方からやってくる魔物の報告に対し、後ろの皆はパニックを起こしている。

 一人で向かう許可をもらった後で良かった。


 このパニック状態だったら、話を聞いてもらえなかったしな。

 とりあえず、後ろのやり取りは気にしないで、俺は魔物の殲滅だけを考え――。


「止まれ! 事情が変わった! 一人で向かわせるわけにはいかない!」


 魔法を唱えようとした瞬間、肩を掴んできたのは許可をくれたはずの兵士のリーダー。

 確か、ウスマン軍団長と呼ばれていたな。


「さっき許可をくれただろ? 俺は大丈夫だ」

「駄目だ。一人突っ走っても、後方からある程度サポートできると思っていたが、事情が大きく変わった。無駄死にはさせられない」


 兵士のトップなだけあり、良い人なのは間違いないが……このタイミングはちょっと面倒くさいな。

 歩兵の後ろに何がいるか分からない以上、オーガとトロールは早めに倒しておきたい。


「本当に大丈夫だ。俺じゃなく、後ろの連中をまとめるのに時間を使ってくれ」

「いや、駄目だ。貴方が戻ってくれるのであれば、俺もすぐに指揮を執ることができる」

「……分かった。この位置から魔法を放つから、一発だけ唱えさせてくれ。それで俺の実力を測ってほしい」

「この位置から魔法? うっすらとしか視認できていないのに?」

「一発だけでいい。いいか?」

「何がしたいのか分からないが、一発魔法を唱えたら本当に戻るなら構わない」


 再び許可をもらった俺は、集中し直して魔法を唱えることにした。

 本当は重力魔法で潰したかったところだが、ウスマンを納得させるには見た目の派手さも要求される。


 使うタイミングとしては適切ではないが、氷魔法で派手に蹴散らそう。

 俺は腕に集中し、前方へ向けて魔法を唱えた。


「【絶対零度《 アブソリュートゼロ》】」


 一瞬にして前方は凍てつく大地へと変貌し、進軍してくるオーガとトロールの動きを止めた。

 距離が遠かったこともあり、魔力の消費が大きかったが……ド派手なのが決まった。


「――な、なんだこの魔法は!? 貴方が唱えたのか!?」

「ああ、見ていただろ?」

「み、見ていたが……信じられん。幻惑魔法にかけられていると思う方が納得できる」


 ウスマンは口をパクパクとさせながら、俺の唱えた魔法に触れた。

 真後ろにいたし、強烈な冷気を感じていたはずだが、実際に手で触るまで信じられないといったところだろうか。


「つ、冷たいッ! 本当に魔法でこんなことになったというのか?」

「ああ。だから、後ろで見ていてもらえたら助かる。巻き込みたくないからな」

「これは……本当に申し訳なかった。まさか大魔導士の方だとは知らずに、引き留めるようなことを言ってしまった」

「いや、謝らなくて大丈夫だ。俺の身を案じて言ってくれたことだしな。それと、俺は大魔導士ではないぞ」

「――え?」


 ウスマンは首を傾げ、言っている意味が分からないという表情を見せた。

 賢者? 大賢者? と呟いているが、決して大魔導士という呼び方に不満があったわけではない。


 魔法職ではなく物理職だと訂正しようとも思ったが、実際に戦うところを見た方が早いだろう。

 俺は腰に差していた刀を引き抜き、ゆっくりと氷漬けにしたオーガやトロールたちの下へと向かったのだった。



ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。

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