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辺境の村の英雄、四十二歳にして初めて村を出る  作者: 岡本剛也
第3章

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第244話 ウィシュル王国


 それからベインにおもてなしを受け、旧廃道の館を満喫してからビオダスダールへ戻ってきた。

 ギルド長が危険はないと判断してくれたのは良かったが、魔物と人間が邂逅するのは大変だということを身をもって理解した。


 圧倒的に俺寄りで、数多の魔物と対峙してきたギルド長であの反応だったのだからな。

 普通の人なら分かり合うのは難しいし、隣国と敵対した理由もよく分かった。


 本心では納得させるのは難しいんじゃないかと思いつつも、動かないという選択肢はない。

 俺は不安を抱えながら、準備を整えて待ち合わせ場所である街の入口へと向かった。


「佐藤さん、おはよう。ちょっとした長旅になるが、準備は大丈夫か?」

「おはよう。もちろん大丈夫だ。昨日に引き続き、すまないな」

「謝る必要はない。俺も王都まで付き合わせたからな。それに、治安が良くなっているのは事実だし、グレアムさんだけの問題ではない」

「そう言ってくれて助かる」


 ギルド長に礼を伝えてから、早速隣国であるウィシュル王国へ向けて出発した。

 馬車を用意してくれたこともあり、非常に快適な道中。


 馬車の中で、旧廃道のことやウィシュル王国についても聞くことができたし、あっという間だった。

 初の国境越えだったものの、ギルド長が地位の高い者であることもあり、驚くほどあっさりと入国することもできた。

 そして……。


「ウィシュル王国の首都、フリンブルが見えてきた」

「国境から近い場所に首都があるんだな。それにしても、王都並みに城壁が強固だ」

「ウィシュル王国は小国であり、魔物からの攻撃も多いからな。すぐに助けを求められるように、国境の近くに首都がある。城壁が強固なのも、魔物から守るためだ」

「へー、魔物への警戒度が高いのか。だから、今回のベインたちとの争いに発展したのか」

「だと思う。フリンブルの冒険者ギルドのギルド長とは古い友人だから、まずはギルド長に会いたい。……未だにギルド長をやっているかは分からないが」


 伝手があるのはありがたい。

 とはいえ、長年会っていなかったようだし、その人がギルド長を退任していたら苦労しそうではある。


 フリンブルへもあっさりと入ることができた俺たちは、馬車を降りて冒険者ギルドへと向かうことにした。

 街の活気具合はビオダスダールと同等くらいだ。


 戦闘職っぽい人が多いのが気になったが、魔物からの襲撃が多いというのが大きな理由だろう。

 冒険者ギルドも王都の冒険者ギルドに匹敵するくらいしっかりしており、冒険者の需要が高いことを示している。


「ここが冒険者ギルドだ。ビオダスダールと比べると圧倒的な建物だな」

「首都だし、治安も悪いなら普通だと思う。ギルド長としては複雑だと思うが、それだけビオダスダール近辺が平和な証拠だし、喜ばしいことだと思うぞ」

「それもそうだな。卑屈になってしまいがちだが、グレアムさんの一言で毎回ハッとさせられる。とりあえず、ギルド長へのアポイントを取りに行こう」


 冒険者ギルドへと入り、受付嬢のいる受付を目指す。

 冒険者ギルドの中は他国でも同じであり、見慣れない俺たちにガンを飛ばしてくる輩が結構いる。

 絡んでいては埒が明かないため、一切見向きもせずに受付へと向かった。


「いらっしゃい。何の用?」


 受付嬢はかなり化粧の濃い女性であり、対応もビオダスダールに比べるとかなり雑だ。

 いつもの受付嬢さんがどれだけちゃんとしているのかを再確認し、対応はギルド長に任せて俺は口を噤む。


「ギルド長に会いたいんだが、今は冒険者ギルドにいるか?」

「へ? ギルド長? ……なに? アポは取ってるの?」

「取っていないが、ギルド長とは昔からの友人……のはず」

「何その曖昧な返答。……怪しい」


 フリンブルのギルド長が旧友かどうかは定かではないことから、曖昧な回答になってしまった。

 そのせいで、態度の悪い受付嬢に睨まれているギルド長。


「口を挟んで悪いが、俺たちは隣の国のビオダスダールという街から来たんだ。こっちの方はビオダスダールのギルド長で、フリンブルのギルド長とも知り合いだったらしい」

「隣国のギルド長? ……怪しいけど、まぁいいわ。その友人っていうギルド長の名前は覚えてる?」

「スペンサーだが、今もギルド長を務めているか?」

「……合ってる。とりあえず確認してくるから待ってて」


 こちらが隣国のギルド長だと知ってもなお、態度を変えることのない受付嬢は、バックヤードへと消えていった。

 印象は一切良くないが、お偉いさんだと分かっても態度を変えない点だけは好印象だ。


 それからしばらく待っていると、先ほどの受付嬢が戻ってきた。

 ただ、やけに怪訝そうな表情をしていることから、アポが取れなかったのだろうか。


「どうだったんだ?」

「通していいって。三階の奥の部屋」

「話を通してくれたのはありがたいが、何でそんなに不機嫌なんだ?」

「なんで名前を聞いてこなかったんだって怒られたから」


 それはそうだし、こちらが悪いような態度を示されても困る。

 とりあえず……ギルド長室には行ってもいいようだし、この受付嬢のことは考えずに向かわせてもらうとしよう。



ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。

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