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辺境の村の英雄、四十二歳にして初めて村を出る  作者: 岡本剛也
第3章

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第241話 パーティメンバー

ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。

書籍版の第2巻が発売しております!!!

Web版をご愛読くださっている皆さまにも楽しんでいただけるよう、加筆修正を加えたうえでの刊行となっております。

ぜひお手に取っていただけますと幸いです!


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 ルーカスのパーティメンバー候補に、受付嬢さんにアポを取ってもらってから二日が経過した。

 この間、ギルド長からも受付嬢さんからも連絡がなく、依頼をこなしながらソワソワする日々を送っていたんだが……とうとう連絡があった。


 二人からほぼ同時に連絡を受け、受付嬢さんからはCランク冒険者の方が会ってみたいとのことらしく、今日にでも会いに行く予定。

 そしてギルド長とは、明日から隣国へ向かう手筈になっている。


 その前に一度、旧廃道とベインの紹介も行うため、明日の出発前に旧廃道に寄ることにはなると思う。

 急にドタバタし始めたが、基本的には俺が招いたもの。


 冷静に一つずつ対処していこうと思う。

 まずは……ルーカスのパーティメンバーからだな。


「ルーカス、ちょっといいか?」

「はい! どうかしましたか?」


 リアとアンと遊んでいるルーカスに声をかける。

 ルーカスはすっかり二人に懐かれており、時間があれば捕まっている。

 ……まぁ実力が近いということで、練習相手にさせられている感は否めないけどな。


「さっき受付嬢さんから連絡があって、パーティ募集をしていたCランク冒険者と約束が取れたみたいだ」

「本当ですか? 随分と早かったですね!」

「あの受付嬢さんは仕事ができるからな。それで、今日の昼に時計台の下とのことだが、一人で向かうか?」

「ひ、一人? ……確かに、僕一人でパーティを組むんですもんね」


 笑顔を見せていた中、一人と聞いて一気に深刻な表情に変わった。

 二人パーティになるのは濃厚だし、顔合わせも二人きりの方がいいのではと思っていたが……俺もついていくか。


「不安なら俺もついていく。夜までは時間があるからな」

「い、いいんですか? グレアムさんにはお世話になりっぱなしですし、顔合わせくらいは一人でできないと、我ながらパーティなんて組めないと思ってしまいます」

「そのときはそのときだ。ここでちゃんと働いているんだから、焦る必要はまったくないし、ルーカスを理解してくれる人とパーティを組めばいい」

「……はい。グレアムさん、本当にありがとうございます!」


 頭を深々と下げてきたルーカスに頭を上げるように伝えてから、準備を整えて待ち合わせの時計台へと向かうことにした。

 話によれば、槍使いの女性らしい。


 すぐに分かるように、白い布を持っていてくれると言っていたが……いた。

 スラリとした高身長の女性で、どこか暗い雰囲気があるものの綺麗な方。


「ルーカス、あの人だ。声はルーカスがかけろ」

「え!? あの方なんですか!? 僕よりも大きいですし、僕が声をかけるんですか……!」

「流石に俺が話すのは意味がわからない。フォローはするから安心してくれ」

「わ、分かりました!」


 覚悟を決めたルーカスは、長身の女性槍使いであるドロシーに声を掛けた。


「す、すみません。ドロシーさんですか? 僕はルーカスと言います! はじめまして!」

「……ん。君がルーカス? …………悪い人ではなさそうだけど、後ろの人は誰? 一人パーティって聞いてたけど」

「俺はルーカスを雇っているグレアムと言う。ルーカスは少し訳ありで、付き添いという形でついてきた」


 即座に俺が口を挟んで答えると、怪訝そうな表情を見せたものの納得はしてくれた様子。


「……変なの。でも、ちゃんと戦えるならいいかな。……まず、私は週に二回しか依頼を受けられないけどいい?」

「は、はい! 大丈夫です!」

「なら、よかった。……あとは君の実力が見たい。……ちょっと外で戦うけど大丈夫?」

「もちろん大丈夫です!」

「……なら、移動しよ」


 そう言うと、こちらを一瞥もせずに歩き始めたドロシー。

 確かに、色々と性格に難がありそうではあるが、ルーカスにとっては週二回の活動も含めて、良い条件だと思う。


 そして、街の外へと出てきた後、平原で実力テストが行われるようだ。

 EランクとCランクだし、ドロシーが決める側なことに文句はない。

 とはいえ、俺の家の中庭でも模擬戦は行えるため、対魔物を見るわけではないのであれば、場所の相談はしてほしかったところ。


「……それじゃ軽く打ち合う。本気で来て」

「わ、分かりました! いきますね!」

「ルーカス、緊張するな。リアやアンとやっていた時と同じ感じでいけ」


 全身に力が入っているのが分かった俺は、声かけをしてリラックスするように促す。

 まだ短い時間とはいえ、リアたちに付き合わされているおかげで、ルーカスも実力がついてきているからな。

 本来通りの動きを見せることができれば、合格ラインには到達できるはず。


「うりゃー! はっー!」


 掛け声は変ではあるものの、ちゃんと剣を振ることができている。

 声を出すことで、体の力を無理やり抜いたようだ。


「……うるさいけど悪くないね」


 ドロシーも俺と同じ評価だったようで、そう小さく呟いた。

 とはいえ、ルーカスの攻撃は掠りもしておらず、空を斬り続けている。


 流石はCランク冒険者なだけあって、動きはちゃんとしているな。

 ドロシーがどうやって槍を扱うのかも気になったのだが、結局ルーカスの攻撃を避けきっただけで試験は終わってしまった。


「はぁー、はぁー。一発も攻撃が当たりませんでした」

「……でも、動きは良かった。Eランクと聞いていたから期待してなかったけど、これなら一緒に組んでもいいかも。……不定期での活動でも大丈夫なら、私と組む?」

「い、いいんですか? ぜひお願いします!」

「……ん。よろしく」


 こうして、ルーカスのひとまずのパーティメンバーが決まった。

 かなり癖の強そうな人物ではあるものの、今のルーカスにはピッタリの相手だと思うし、これからドロシーと頑張ってほしいな。



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