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第229話 氷属性攻撃への対処法


 ゴブリンを倒してからは過度な緊張も取れたようで、ダンジョン攻略に集中できている。

 まだ出現する魔物が弱いこともあり、苦戦せずに倒せているし、やはりポテンシャルは高い。


「グリー、やるじゃん! 低階層の魔物なら苦戦もしなさそうだね!」

「落ち着いたら戦えるようになった! 調子がいいのが分かるし、どんどん戦いたい!」

「体力だけには気を付けてくださいね。いつの間にか体が動かなくなる時がありますので」

「うん! 気を付けながら戦う!」


 元気よく返事をしたグリーを先頭に、そのまま十階層まで一気に進んだ。

 どこかで体力切れを起こしてもおかしくないという理由から、戦闘回数を抑えて十階層までやってきたこともあり、まだ余裕が見える。


 今日は初めての攻略のため、十階層を終えたら帰還する予定。

 そのため、フロアボスにはグリーだけで挑んでもらうつもりだ。


「十階層に到着! グリーもまだ余裕そうだね!」

「ちょっと疲れは感じてるけど、まだまだ先に進める!」

「なら、ガンガン進んでいこ――」

「いや、今日は十階層までで終わりだ。急ぐ必要もないし、アドレナリンが出ているだけで体にきていると思うからな」

「まだ攻略したいけど、グレアムがそう言うなら我慢する」

「ああ、我慢してくれ。その代わりと言ったらなんだが、十階層のフロアボスはグリーが一人で戦ってくれ」

「そ、そうか。フロアボスがいるんだ……。それを俺が一人で戦うの?」

「一人だと苦戦するかもしれないけど、まぁグリーなら倒せるよ!」

「うーん、大丈夫ですかね? ここまでの道中で出現した魔物と違って、フロアボスは厄介だった気がしますので心配です」


 十階層のフロアボスはフリーズデビル。

 カオナシ討伐の際にも戦った魔物だが、氷属性の対策さえしていれば苦戦すらしない相手。


 ただ、それはジーニアやアオイレベルの話であって、グリーだと氷属性対策をしていても良い勝負になるかもしれない。

 ここまでは完全な格下相手との戦いだったが、フリーズデビルは実力が近い相手。

 大変なのは間違いないだろうが、グリーにとって良い経験になることは確かだ。


「ちゃんと情報さえ持っていれば大丈夫だ。十階層のフロアボスはフリーズデビルと言って、二メートルほどの人型の牛の魔物。大きな斧を振り回してくるが、動きが遅いから対処できる。一番厄介なのは氷属性の攻撃で、動きが鈍くなったら避けられるものも避けられなくなるからな」

「二メートルの魔物で、動きは遅い。それで……氷属性の攻撃をしてくる――と。グレアム、氷属性の攻撃の対処ってどうすればいいんだ?」

「装備品や魔法での対処が無難だが、今回は装備品も魔法もないからな。目と肌で感じるしかない」

「曖昧すぎる! どう感じ取るんだよ!」

「氷っぽいのが見えたら距離を取る。あと、集中してれば冷気も感じ取れるはずだ」


 説明は難しいが、実際に体で覚えていくしかない。

 俺が氷属性魔法で試してあげてもいいんだが、フリーズデビルの氷属性攻撃とは威力が違い過ぎるため、逆に混乱する可能性の方が高い。

 ぶっつけ本番で戦った方が、まだやりやすいと思う。


「そんな曖昧な感じなのか……。アオイとジーニアも初めて戦ったときは分かった?」

「うーん……。私達が戦ったときは冷気を出させる前に倒してしまいましたので、よく分からなかったですね」

「そうそう! 二人で戦ったのもあって、あっという間に倒しちゃった!」

「やっぱりアオイとジーニアも強いんだ。自分で試すしかないか」

「そんなに不安がらなくて大丈夫だ。危なくなったら助けるしな」


 考え込んでいるグリーにそう声をかけてから、十階層のフロアへと向かう。

 フロアの真ん中には片膝立ちのフリーズデビルがおり、俺たちが侵入すると同時に立ち上がった。


「うわっ! でっか!」

「でかいだけだ。動きは遅いから、的が大きくてラッキーぐらいに思え」

「分かった! 倒してくる!」


 気合いを入れたグリーは、一気にフリーズデビルへと近づいていった。

 前回と同じように大きな斧を振り上げ、グリー目掛けて振り下ろしてきたが、こんな大振りの攻撃は冷静なら食らわない。


 グリーはバックステップで余裕の回避を見せたあと、反撃で太もも辺りを斬りつけた。

 今の攻防で、フリーズデビルの攻撃を避けてから攻撃すれば安全にダメージを与えられると分かったのか、そこからはグリーの一方的な攻撃が開始。


 着実にダメージを稼いでいく中、とうとうフリーズデビルは氷属性攻撃を使用してきた。

 俺たちも初めて見る攻撃だが、自身の拳に氷を纏わせて殴るという原始的な攻撃。


 ただ、回避しても拳に纏っていた氷が弾け、冷気ダメージを与えるというもののようだが……勢いの乗ったグリーには関係ない。

 氷拳も楽々と対処し切って見せた後は、じりじりとダメージを与えていき、動きが完全に止まったところでトドメの一撃。


 初めてのフロアボス相手に、一人で完勝してみせた。

 戦えるとは思っていたが、まさかここまで強くなっているとは思わなかった。

 まだ早すぎると思っていたが、本格的に冒険者として活動させても良いかもしれない。



ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。

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Web版をご愛読くださっている皆さまにも楽しんでいただけるよう、加筆修正を加えたうえでの刊行となっております。

ぜひお手に取っていただけますと幸いです!


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