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辺境の村の英雄、四十二歳にして初めて村を出る  作者: 岡本剛也
第3章

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第226話 試行錯誤


 【バッテンベルク】に代わり、俺たちが前へ出てダンジョン攻略を行っていく。

 魔物の強さ的にも、ジーニアとアオイだけで余裕で戦えている。


 一階層ごとに休むこともできるし、フロアボスまでは余裕だな。

 そんなことを思いながら、俺は後方から二人のサポートを行い、あっという間に四十三階層へとたどり着いた。


「グレアムさんは何もしていないのに、安定感が凄まじいな。王都の交流戦ではグレアムさんしか戦っていなかったし、ワンマンパーティかと思っていた」

「グレアムのワンマンパーティなのは間違ってないけどね! 私たちもそれなりに戦えるってだけで!」

「グレアムさんの本気と戦うとなったら、私たちが50人ずついても勝てませんから」


 そんな言葉に、デュークは驚愕の表情を浮かべている。

 流石にジーニア50人+アオイ50人、計100人なら負ける可能性もあると思うけどな。


「俺の話はやめよう。それよりも、ソニアとゾーラは何か掴めたか?」

「はい。アオイ様の戦い方が分かりやすかったです。攻撃を誘ったり、攻撃が来る位置を予測して力を利用するんですよね?」

「ああ、その認識で合っている。流石に理解が早いな」

「理解しても難しいんだけどね! 私なんか最初は攻撃を受けまくったもん!」

「最初は難しいが、感覚を掴めばできるようになる。完璧に攻撃が決まった時の感覚は気持ちがいいからな」


 完璧に噛み合った時は、剣に力を感じない感覚がある。

 最初の頃は、俺もこの感覚だけを求めて敵と戦いまくっていたことを思い出す。


「なるほど。……まずは試してみないと始まりませんね」

「ああ、試すのが手っ取り早いと思う。魔物は練習相手として最適だからな」


 最初はもう少し弱い魔物と戦うほうがいいと思うが、まぁダンジョン内であれば問題ないだろう。

 ということで、座学はほどほどに実戦形式で試すことになった。


「今回は俺が後方からサポートする。ソニアとゾーラは存分に試してくれ」

「デューク様、ありがとうございます」

「遠慮なく試させて頂きます」


 二人が前へと出ると、これまでの戦い方とは一変し、各々魔物と向き合った。

 タイミングを計りながら、カウンターの練習に取り組んでいるが……そう簡単に上手くはいかない。


 ソニアは恐怖心からか、敵を引きつける前に攻撃をしてしまい、逆にゾーラは引きつけすぎて被弾してしまっている。

 敵の動きがそれなりに速いこともあり、苦戦を強いられているようだ。


 練習中だから仕方がないとはいえ、ソニアとゾーラが先ほどまでとは打って変わってボロボロなのに対し、デュークは完璧に二人をサポートしている。

 やはりスペックが高く、サポート役もそつなくこなせるようだ。


「はぁー、はぁー……。デューク様、申し訳ございません。あまりに不甲斐なかったです」

「グレアム様も回復魔法でのサポート、ありがとうございました。……できると思ったのですが、結局一度も成功しませんでした」


 ソニアとゾーラは先ほど以上に落ち込んでおり、そんな二人を見て、アオイはにんまりとしている。

 アオイも最初は苦戦しまくっていたからな。


 ジーニアが軽々とこなす中、アオイはできずにいたから、自分と同じく苦戦しているのが嬉しいんだと思う。

 決して性格が良いとは言えないが、まぁ気持ちは分かってしまう。


「慣れるまでは難しいからな。練習と研究あるのみだ。次はまた俺たちが戦うから、自分たちが行って苦戦したところを重点的に見てくれ」

「まぁ手本を見せてあげるからさ! よーく見て、学ぶんだよ!」

「アオイさん、よろしくお願いします」


 弟子ができたみたいで、鼻が高くなっているアオイ。

 にんまりしたり、鼻を高くしたりと、この状況を楽しんでいるな。


 一方でジーニアはあまり楽しそうではなく、淡々と魔物を倒す機械のようになっている。

 全く参考にならないということに、若干拗ねているように見えるが、事実なのでこればかりは仕方がない。


 四十四階層の攻略では、ノリに乗っているアオイが大活躍。

 割とムラのないタイプだが、ノッている時はとことん動きが良くなる。


 そんなアオイに対し、ジーニアは淡々と魔物を倒しており、安定感がさらに増した。

 今日は俺の出番はないまま、攻略が終わりそうだな。


「アオイさん。分かりやすく戦って頂き、ありがとうございます」

「タイミングが分かりやすかったです」

「二人に見やすいように戦ったんだけど、見やすかったなら良かった!」

「先ほど躓いていた部分が分かりましたので、すぐに試したいですね」

「試したほうがいいよ! 練習あるのみだから!」


 ソニアとゾーラは目を輝かせており、これまで淡々と攻略をこなしていた印象だったが、やけに楽しそうにしている。

 二人の熱量もあって、休憩も入れずにすぐに攻略を再開し、実戦と見学を繰り返している内に、あっという間に五十階層に到着。


 結局、モノにできるまでは至らなかったが、形にはなっていたし習得はできると思う。

 フロアボスはジーニアがあっさりと倒し、少し早いが切り上げ、俺たちは地上に帰還したのだった。



ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。

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