第219話 休日の過ごし方
アオイとジーニアに、トリシアとモードの休日に付き添ってほしいと頼んだのだが、用事があるから難しいと断られてしまった。
どうやら二人でジーニアの故郷に顔を出すらしく、前々から決めていた予定のようだ。
俺としても理由が理由なだけに強くは言えず、結局トリシアとモードの休日には俺がついていくことになった。
正直な話、俺も休日を満喫しているわけではないため、不安しかない。
頭を抱えつつも、色々と練りに練って計画を立て、迎えた休日当日。
休みだと言っているのに軽く仕事をしようとしていた二人を止め、俺は無理やり外に連れ出した。
ちなみに、リアとアンもついてきたいと駄々をこねていたが、トリシアとモードを休ませてあげたいということを伝えると、ちゃんと納得してくれた。
今日の仕事はリア、アン、グリー、トリイシー、マル、ピーター、ヘイデンの六人に頑張ってもらわないといけない。
色々な面で不安を抱えつつも、俺はトリシアとモードと一緒に家を出た。
「何だかソワソワしてしまいます。何もせずに遊ぶなんて、これまでしたことがありませんでしたので」
「私も。働きたいって気持ちが強い」
「今日は駄目だ。休日の過ごし方を学んでもらわないといけないからな。それに、色々と行く場所も考えてきたから、楽しんでくれないと俺の努力が無駄になる」
「グレアムさん、何から何までありがとうございます」
「そう思ってもらえるだけで、私もトリシアも幸せ。もちろん、今家で待ってるチビ達もね」
「お礼を言われることじゃない。とりあえず……まずは何が食べたい? 候補はハンバーガーショップかカフェ」
ハンバーガーショップはアオイから教えてもらった店で、カフェはジーニアから薦められた店。
どちらも俺は行ったことがないが、二人のオススメなら間違いないはずだ。
「私はハンバーガーが食べてみたいかも。一度も食べたことがないから」
「私はどちらでも大丈夫ですが……私もハンバーガーを食べたことがないですね」
「なら、まずはハンバーガーショップに行こうか。朝食にしては少し重いかもしれないが」
モードの希望で、朝食はハンバーガーになった。
アオイ曰く、元冒険者が営んでいるお店らしく、マックスバーガーが凄まじく美味しいらしい。
俺もハンバーガーは一度しか食べたことがないため、軽くどぎまぎしつつも、教えてもらったハンバーガーショップに到着。
オススメされただけあり、朝なのに数人ではあるが並んでいる。
「行列ですね。メニューは何があるんでしょうか?」
「メニューは看板に書かれてるっぽい。グレアム様のオススメはあるの?」
「俺も来たのは初めてだから、特におすすめはないな。アオイはマックスバーガーが美味しいとは言っていた」
「確かに美味しそうですけど、ボリュームが凄そうですね」
「私はマックスバーガーにしようかな? お腹も空いているし」
「俺もマックスバーガーだな」
「むむ……なら、私もマックスバーガーにします」
トリシアは少し悩んだ様子だったが、三人ともマックスバーガーに決定。
注文を迷っているうちに、俺たちの番がやってきた。
予定通り、マックスバーガーのセットを三つ注文してから、中のテーブル席で待つ。
店内を見渡すと、ほとんどのお客がマックスバーガーを注文していた。
ボリューム問題で悩んだが、やはりマックスバーガーで正解だったと思う。
「お待たせいたしました。マックスバーガーのセットが三つになります。ごゆっくりどうぞ」
運ばれてきたのは、厚みのあるパティと新鮮な野菜が挟まれたハンバーガー。
セットの品として、フライドポテトとソーダもついており、分かってはいたがかなりのボリュームだ。
「量は多いですが、香りからして凄く美味しそうですね」
「うん。お腹がギュルギュル鳴ってる」
「冷めないうちに、さっさと食べようか。いただきます」
食前の挨拶をしてから、俺はマックスバーガーにかぶりついた。
まず飛び込んできたのは、肉の暴力的な旨味。
バンズはふわふわ寄りで、野菜の新鮮さも抜群。
そして何より、ソースが全体のバランスを見事にまとめ上げている。
「美味しい! ハンバーガーってこんなに美味しいんだ」
「いや、他のを一回だけ食べたことがあるが、こんなに美味しくはなかった。多分だが、ここのハンバーガーが特別美味しい」
「そうなんですね。量が多くて食べきれるか不安でしたが、美味しくてペロリと食べられそうです」
トリシアの言葉通り、三人とも十分もかからずに食べ終えてしまった。
途中で飲むソーダも抜群によく、フライドポテトも揚げたてで美味しい。
アオイが薦めてきただけあり、抜群に美味しいハンバーガーだった。
先行きが不安だった休日だが、マックスバーガーのおかげで上手くいく自信も出てきた。
しっかりと二人に休日の楽しみ方を教えつつ、俺も全力で楽しませてもらおう。
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