表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
221/221

第196話 安全重視


 冒険者ギルドに辿り着いた。

 街の中にダンジョンがあることもあってか、冒険者ギルドは街のド真ん中に構えている。


 さらに、王都と比べても倍はある大きさで、この街の中心がダンジョンであることを、まるで冒険者ギルドが示しているかのようだった。

 しばらくの間、冒険者ギルドに目を奪われつつも、俺たちは中へと入っていった。


「外観もすごかったけど、中はもっとすごい! 最新の技術が詰まってる感じがするね!」

「確かにすごいな。魔法壁に魔法陣、硬度の高い材質の扉……あの先にダンジョンがあるんだろうが、絶対に魔物を通さないという強い意志を感じる」

「街の中にダンジョンがあるのに、これだけ人で賑わっている理由が分かりますね。城門も要塞みたいでしたし、他の街よりも安全と言えるかもしれません」

「実際に安全なんじゃない? 強い冒険者とかも集まるだろうしさ!」


 ダンジョンが冒険者を呼び、その冒険者を相手に商売をするために商人が集まる。

 冒険者は商売相手として優秀なだけでなく、用心棒としても頼れる存在だ。


 賑わっていて、どの街よりも安全となれば、一般の人々も足を運ぶだろうし、人が集まれば新たな商売も生まれる。

 安全を最重視したことで、ダンジョン街でありながらもここまで発展したのだろう。


「リュネットは相当な切れ者のようだな」

「王都に集まっていたギルド長の中で、唯一頭が良さそうだったもんね! 色々考えてそう!」


 圧巻の冒険者ギルドを見て、そんな感想を言い合いながら、俺たちは受付でギルド長室の場所を尋ねることにした。

 面倒なやり取りを挟むことも覚悟していたが、リュネットが事前に話を通してくれていたようで、すんなりとギルド長室まで案内してもらえた。


「リュネット、久しぶりだな」

「グレアムさん、ジーニアさん、アオイさん。ダンジョン街まで足を運んでいただき、ありがとうございます」

「そんなに遠くなかったし、用意してくれた馬車がふわふわだったから、全然気にしなくていいよ!」

「ですね。私たちにとっては、むしろいい機会をいただけたという感じです」

「そういうことだ。来たくて来た部分もあるし、本当に気にしなくていい。それより、呼び出した理由はなんだ?」


 深々と頭を下げるリュネットに、三人で声をかける。

 形式上は呼ばれて来たかたちだが、実際には俺たちも来たくて来たのだからな。


「そう言っていただけて助かります。今回、ダンジョンに現れたある魔物の討伐をお願いしたくて、こうしてお声をかけさせていただきました」


 ダンジョンに現れた魔物の討伐……?

 突然、変な魔物が出現したということだろうか?


 あるいは、未踏の階層にいる魔物の討伐という可能性もある。

 ダンジョン街には【バッテンベルク】を含め、多くの冒険者がいる中で、わざわざ俺たちに依頼を出したということは、相当な強敵であるに違いない。


「とある魔物? 未踏の階層にいる魔物の討伐か?」

「未踏の地であれば、わざわざ依頼は出しません。中階層にて未知の魔物が出現し、その魔物による被害が大きいのです」

「中階層に現れた未知の魔物か。俺たちはそいつを見つけ、討伐してくればいいんだな」


 ダンジョン内で死んでも復活できるということは、王都のダンジョンで経験して知っている。

 そのため死者は出ていないだろうが、全滅すれば装備を含めたアイテムをすべて失うため、被害は甚大だろう。


「その通りです。グレアムさんとも面識のある【バッテンベルク】も、その魔物にやられています。詳しい情報を持っているはずですので、まずは【バッテンベルク】から魔物についての情報を聞いてください」

「分かった。詳しい話は【バッテンベルク】から聞かせてもらう」


 【バッテンベルク】がやられているとは意外だった。

 王都で手合わせした際も、強者の部類に入る冒険者パーティだった。

 その【バッテンベルク】がやられたということは、その未知の魔物はやはり相当な強さなのだろう。


「報酬については、こちらでいろいろと準備させてもらいますので、期待していてください」

「やったー! どんな報酬がもらえるんだろう!」

「報酬の前に、依頼を達成できるかを考えないといけないだろ」

「でも、グレアムがいれば達成できるじゃん!」

「ははは、すごい信頼関係だね。もうすでに、依頼して良かったと思えているよ」

「信頼というか……ただの事実ですからね!」

「そう! グレアムが負ける姿なんて想像できない!」

「それを信頼って言うと思うんですが……違いますかね」


 ジーニアとアオイは真っ直ぐな目でそう言い切った。

 リュネットは楽しそうに笑い、どこか安心しているようにも見える。


 みんなの期待に応えられるよう、今回の依頼も失敗はできないな。

 その後リュネットと軽く雑談を交わし、話を聞くために、俺たちは【バッテンベルク】のもとへ向かうことにしたのだった。



ここまでお読み頂きありがとうございます。

本作の書籍版の第一巻が発売しております!!!

加筆もしており、web版を読んでくださっている方でも面白く読めると思いますので、是非お手に取って頂ください!

どうか何卒、ご購入お願い致します!!!!!


↓の画像をタップして頂くと、購入サイトに飛びます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、Amazonに飛びます! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、Amazonに飛びます! ▲▲▲ 
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ