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第189話 緊急要請


 帰り道は特に何も起こらず、無事にビオダスダールに到着。

 予定よりも戻るのが遅くなってしまったが、まぁ想定の範囲内だろう。


 家に帰る前に、まずはギルド長への報告から。

 手配書の情報はしっかりとしていたし、作ってくれたお礼もしなくてはいけない。


「おっ、グレアムさん。戻ってきたのか」

「ああ。手配書の魔物を一体片づけてきた」

「流石はグレアムさんだな。仕事が早い。予定通り、クリムゾンロイドから倒したのか?」

「いや、クリムゾンロイドはロコランテのギルド長から討伐禁止令が出されたから、ブレンビアまで行って流星魔鳥を討伐しに行った」


 俺はそう伝えてから、流星魔鳥の手配書をギルド長に渡す。


「グレアムさんは流星魔鳥を討伐したのか。単純な戦闘力から考えて★は2にしたが、飛行系の魔物だったから戦いづらかっただろ?」

「いや、流星魔鳥を討伐しには行ったんだが、肝心の流星魔鳥は別の者に倒されていたんだ」

「……ん? それは本当か? 流星魔鳥を討伐できる人間なんか、ブレンビア周辺にはいなかったはずだが」

「まぁ討伐したのは人間じゃなかったからな。流星魔鳥の巣穴まで行ったんだが、そこにいたのは魔族だった」

「魔族……? 話が飛躍していて分からないんだが、一体どういうことなんだ?」


 俺は困惑しているギルド長に、流星魔鳥の巣穴で起こったことを説明した。


「なるほど。各地で魔王軍が動き出していて、流星魔鳥にも魔王軍が接触していたということか」

「ああ、そういうことだ。流星魔鳥はピエロの魔族に倒されていて、俺はピエロの魔族を倒したって感じだな」

「色々と物騒すぎるな。ビオダスダール周辺も見張りを強化した方がいいかもしれない」

「ああ、用心に越したことはないと思う。とりあえず、俺はこのまま手配書を頼りに強い魔物を討伐しに向かう。今回みたいに、魔王軍とはそこで鉢合わせる可能性が高いからな」


 そんなこんなでギルド長への報告を終えた。

 後はロコランテから救援要請が来たら、すぐに俺に伝えてほしいということを話すだけだったんだが――ギルド長室が突然開けられた。

 

「ギルド長! 緊急連絡です! ロコランテの街から救援要請が届きました!」

「ロコランテ……? あ? グレアムさんがクリムゾンロイドの討伐を拒否された街か!」


 戻ってきたところということもあり、タイミング的にはベストではあるが、想像していたよりも何倍も救援要請がかかるのが早かった。

 このタイミングでの救援要請ということは、クリムゾンロイドが動き出したということで間違いないはず。


「ロコランテのギルド長には再三注意を促してきたから、きっと俺への救援要請で間違いない。すぐに行ってくる」

「グレアムさん、すまない。帰ってきたばかりなのに向かわせてしまう」

「いいや、気にしなくて大丈夫だ。実際のところ、俺はまだ手配書の魔物を一体も倒していないからな。クリムゾンロイドは狙っていた魔物だし、ちょうどいい」

「そう言ってくれて本当に助かる。よろしくお願いする」

「ああ。その引き換えと言ったらなんだが、ギルド長には流星魔鳥の素材の売却をお願いしたい。引き受けてくれるか?」

「もちろん。素材の買取はそもそも冒険者ギルドの仕事だからな。なるべく高く売り捌いておく」

「ありがとう。それじゃ行ってくる」


 ギルド長にお礼を伝えてから、持ち帰ってきた流星魔鳥の爪を渡した。

 いくらになるかを楽しみにしつつ、俺は冒険者ギルドを足早で後にした。


 ロコランテの街にとんぼ帰りする前に、一度ジーニア達に会っておこう。

 緊急要請であり、時間もないから軽く報告する程度しかできないだろうがな。


 家に帰ると、扉の音を聞きつけたリアとアンが走ってやってきた。

 少し遅れてグリーも出迎えに来てくれており、この光景を幸せに感じる。


「グレアム様、おかえりなさい!」

「強い魔物は討伐できたんですか? 魔物のお話が気になります!」

「俺も聞かせてほしい! クルーウハミリオンくらい強い魔物はいたのか?」

「いや、クルーウハミリオン級ではなかったな。というか、またすぐに出なくちゃいけないんだ。ジーニア達はいるか?」

「えー!? せっかく帰ってきたのに、もう行っちゃうの!?」

「緊急要請が出ていて、困っている人がいるんだ。アンやリア達みたいに、困っている人がいるから助けたい」

「そう言われてしまったら、文句は言えません……! ジーニアさんとアオイさんは中庭にいます!」

「ありがとう。話してくる」


 子供たちの頭を軽く撫でてから、俺は中庭へと向かった。

 中庭ではジーニアとアオイが模擬戦を行っており、どちらも集中している。

 この緊迫感のある試合を止めるのは申し訳ないが、こっちも急用だから仕方がない。


「ジーニア、アオイ。ちょっといいか?」

「えっ? ……グレアムさん、帰っていたんですか!」

「あっ、グレアムだ! もう戻ってきてた!」

「戻ってきたが、すぐにまた出ることになった。その報告をしようと、一度ここに寄ったんだ」

「えっ! また出るの!? 私達も連れていってよ!」

「いや、今回は緊急要請が入っている。緊急でなかったら、ジーニアとアオイに討伐してもらおうと思っていたんだが、緊急要請だからすぐに向かわないといけない」

「むむむ……。そう言われましたら、無理についていくとは言えませんね」

「それじゃ、もう少しお休みってことかぁ……!」

「手配書の魔物を見てきたが、★2までなら二人でも相手になることが分かったから、これからは二人も連れていく。とりあえずもう少し待っていてくれ」

「やったー! 今回は大人しく待ってる!」

「グレアムさん、くれぐれも気をつけてくださいね」

「ああ。子供たちをよろしく頼む」


 二人にそう告げてから、俺はすぐにロコランテを目指すことにした。

 家を出る前に、トリシアとモードが急いで作ってくれたであろうサンドイッチを受け取り、俺はロコランテの街を目指して全力で走り出したのだった。



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