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第198話 立ち入り禁止


 門前払いを食らうことも覚悟していたんだが、先ほどの受付嬢はギルド長へのアポを取ってきてくれた。

 良い感情ではないことは明らかだし、俺というクレーマーの対応を上の者に行わせる的な感じなのかもしれない。


「こちらがギルド長室になります。後のお話はギルド長に直接お話ください」

「分かった。案内してくれてありがとう」


 俺は受付嬢にお礼を伝えてから、ギルド長室に入った。

 ギルド長室とは汚いイメージがあったのだが、ロコランテの街のギルド長室は非常に綺麗。


 そんな超がつくほど綺麗な部屋の中には、筋骨隆々のスキンヘッドのおっさんがいた。

 見た目はいかついが、制服は胸元までボタンで止められているし、端々に真面目そうな感じが伝わってくる。


「失礼する。まずは部屋まで通してくれてくれてありがとう。俺はビオダスダールから来たグレアムという者だ」

「君が遺跡に入りたいというおじさんか。私はこの冒険者ギルドのギルド長を務めているアサドだ」


 スキンヘッドのギルド長ことアサドは、椅子から立ち上がると俺の下までやってきて、片手を差し出してきた。

 俺はその手を握り返し、握手を行う。


 門前払いを食らうと思っていただけに、丁寧な対応をされていることが意外。

 真面目そうなギルド長だと思ったが、どうやら本当に真面目な人のようだ。


「……なるほど。凄まじい手だね」

「ん? 素晴らしい手?」

「私は手を握れば、大体の強さを計ることができるんだよ。あなたは実力者の手。気配はまるで感じられないが、意図的に気配を押さえているのだね」


 ただの握手かと思ったが、どうやら俺の実力を計る目的だったようだ。

 別に隠しているつもりはないが、握手だけで俺の実力者と見抜いてきた辺り、アサドもそれなりの実力者であることは間違いない。


「握手だけで判別ができるなんて凄いな。認めてくれてくれたということは、遺跡に入ってもいいということか?」

「いいや。遺跡に入ることへの許可はできない。君の目的はクリムゾンロイドなのだろう?」

「ああ。そうだが……なんでクリムゾンロイドが目的だと許可を貰えないんだ」

「理由は簡単だよ。トラブルになったら困るからだ。こちらから近づきさえしなければ、クリムゾンロイドは動くことがないからね。例え君がどれだけの実力者であろうと、禁忌に触れさせることはできないのだよ」


 なるほど。

 近くにはいるし、危険ということも分かっているが、襲ってこない限りは手出ししないという考えなのか。


 至極当たり前の考えといえばそうだが、魔王軍が動き出している現状、静観するのが正しいとはとてもじゃないが思えない。

 魔王軍は人間のルールに従うとは思えないからね。

 俺達が触れずとも、魔王軍はきっと接触してくるはずだ。


「確かにこれまでだったら、静観するのが正しかったと思う。ただ、事情は大きく変わっている。クリムゾンロイドに接触するのは、何も人間だけとは限らない」

「……? 何を言っているんだね?」

「各地で魔王軍が動き出している。クリムゾンロイドに魔王軍が接触したら、問答無用で攻撃を開始してくるぞ」

「確かに、王都に魔王軍が攻めてきたという話は最近聞いた。ただ、各地で魔王軍が動いているというのは初耳だね。遺跡に入りたいから嘘をついても無駄なのだよ」

「嘘ではないが……まぁ信じられる話ではないか。分かった。とりあえず、今回は立ち入らずに帰らせてもらう。ただ、遺跡の監視は強めておいた方がいい。そして何か問題が起こった時は、すぐにビオダスダールに救援を呼んでくれ。俺が助けにくる」

「……そこまで言うのであれば、警戒は強めておく。ご忠告感謝するよ」

「ああ。戯れ言と受け取らず、くれぐれも気をつけてくれ」


 証拠がない以上、これ以上の交渉は無駄に終わるだろう。

 そう判断した俺は、クリムゾンロイドの討伐は諦めることにした。


 せっかくなら一目見たかったが、街の方針として決めている以上は何か問題が起こるまでは動かない。

 ギルド長は真面目な人だと思うし、俺の忠告を聞き入れてくれるだろう。


 何か動きがあったとしても、★3の魔物であれば大丈夫。

 そう自分の中で結論付けて、ロコランテの街を離れることにした。


 半日移動して収穫ゼロはキツいし、このままビオダスダールには戻れないため、もう一体の手配書の魔物を当たることにした。

 ロコランテから近いのは……ブレンピアの街か。


 ブレンピアの街の近辺にいるのは、流星魔鳥という名前の魔物。

 危険度は★2の魔物のため、手配書によればクリムゾンロイドよりは危険度が低い。


 まず苦戦はしないだろうが、★2の魔物がどれくらい強いのかは非常に楽しみだな。

 気持ちを切り替え、俺はすぐにロコランテからブレンピアを目指して出発したのだった。



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