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第102話 白の不死鳥


 先ほどと同じようにハイタッチで出迎えられ、ギルド長とジーニア、アオイとハイタッチを交わす。


「三戦目も圧勝でしたね! 後は【白の不死鳥】だけですよ!」

「グレアムさんが強いということは分かっていたが、Sランク冒険者達が相手にすらならないとはな」

「あまりにも強すぎるよね!? 後ろから見ていて、相手がかわいそうになってくるぐらいだもん!」

「これでも十分強いのに、私達はもっと凄いグレアムさんを見ていますからね! 本当に負けるビジョンがここまで見えてません!」

「確かにここまでは余裕がかなりあるが、次が最後にして最強の相手だろ?」


 王都に拠点を置く冒険者パーティであり、今最もSSランク冒険者に近いと言われているパーティ。

 同じSランク冒険者とは言えど、ここまでの相手とは一線を画す相手なはず。


「確かにここに集まっている冒険者の中では、一番の実績を持っているパーティではあるが……グレアムさんの相手にはならないと思うぞ」

「私もそう思います! 【白の不死鳥】も圧勝はしていますけど、グレアムさんのが強い勝ち方をしてますから!」

「そうそう! 絶対に余裕!」


 三人はこう言ってくれているが、正直心配ではある。

 試合を見た限りでは【白の不死鳥】も底を見せていないし、【サクラ・ノストラ】に見せたスキルだか魔法だかが分からないままだしな。


「全力で倒すつもりでいくが、もしやられかけたら助けてほしい」

「やられないと思いますが……任せてください! ここまで何もしていませんので、体力は有り余ってます!」

「ピンチの時は身を挺して守ってあげる! ピンチになることはないと思うけど!」


 やられないと思っているところは気になるが、助けてくれると約束してくれたし大丈夫か。

 俺もまだ魔法は温存しているし、いざとなったら魔法で応戦。


 それでも対処できなければ、二人の力を借りよう。

 頭の中でイメトレを行っていると、もうサリースに呼ばれてしまった。


 【バッテンベルク】まだ戻ってきておらず、本当なら次戦は【紅の薔薇】と【サクラ・ノストラ】だが、【サクラ・ノストラ】は俺が殺したことでダンジョンの入口まで戻されている。

 つまり【白の不死鳥】と俺達しか、試合が行えない状況なのだ。


「グレアム、連戦ですまないな。疲労があるなら遠慮なく言ってくれ。一時的に休憩を挟んでも大丈夫だからな」

「いや、大丈夫だ。見ていたから分かると思うが、大した疲れはない。無駄に長引かせるのもどうかと思うしやってしまおう」

「配慮してくれてありがとう。それじゃグレアム達の最終戦を行おうか。全勝したら本当に快挙だな」

「全勝するつもりでいかせてもらう」

「ふふっ、期待しているよ」


 サリースとそんな会話を行い、俺はジーニアとアオイを連れて準備を整えた。

 対する【白の不死鳥】も準備ができているようで、俺達に向かってお辞儀をしてきた。

 俺もお辞儀を返しつつ、【白の不死鳥】達を見て色々と予測する。


「リーダーのジュリアンは剣士。体が大きい男がタンクで、後ろの二人の女性は魔法使いと回復術師か?」

「多分そう! かなりバランスのいいパーティだね!」

「とにかくジュリアンさんだけには要注意でいきましょう! グレアムさんなら絶対に勝てます!」

「ああ。完勝を目指す」


 【白の不死鳥】を見ながら軽く話し合いを行っていると、サリースが試合開始の合図を発した。


「それでは第六試合——始めッ!」

 

 試合開始と同時に動いたのは、大盾を持ったタンクの男。

 これまでの相手とは違い、まずは自身にバフをかけて仲間の三人を守れる位置に立った。


「オーケー! どんな攻撃だろうと防いだるでぇ!」


 盾を一つ叩いた後、俺を挑発するように手招きした。

 そんなタンクの背後では、攻撃役の黒魔導師が魔法の詠唱を開始しており、回復術師はタンクに何かの魔法をかけている。


 リーダーであるジュリアンだけは動いていないが、俺を観察するように見ており、非常に嫌な視線を感じる。

 やはり立ち回りもこれまでの相手と比べると、やりにくい立ち回りを取ってきた。


 ジュリアンが攻め込んできてくれた方が、俺としてはやりやすかったんだけどな。

 まずはあのタンクを殺さないと……後ろの三人への攻撃は行えない。


 まずは小手調べとして、刀を抜いてタンク目掛けて振り下ろす。

 斬撃が飛んでいき、タンクを襲いかかったのだが――盾には一切傷がついておらず、あまりにも余裕で受け止められた。


 飛ばす斬撃はここまでで何度も見せすぎたし、流石にSSランクに最も近い冒険者ともなると対策できてしまうか。

 それに盾自体に傷一つつかないとなると、飛ばす斬撃ではタンクの牙城を崩すのは難しそうだ。


 近接戦に持っていきたいが、背後で様子を窺っているジュリアンがあまりにも不気味。

 攻撃魔法も飛んでくるだろうし……ここは魔法の打ち合いに持っていこう。


 ここで魔法の手を見せてしまうのは勿体ない気もするが、魔法だけでも攻撃のバリエーションは無数にある。

 果たしてタンクが魔法を防げるのかどうか……楽しみだな。


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