魔法電報は本物か!?
ショパン視点
馬車に揺られて1時間、分かれ道に差し掛かろうとしていた。
「近いけれど、賊の襲撃のリスクのある山道、遠回りだけど、平野が広がっている街道。近回りをすれば、明日の朝刊の記事に間に合う。遠回りをすれば、早くて夕刊か明後日になるかな」
アキラが両方の道を行くメリットとデメリットを説明する。
「だったら、遠回りでもいいんじゃないか?安全第一だ」
ブーレも俺の意見にうなづく。
「ちょっと待ってくれ。魔法電報が入った。発信者は……だめだ。暗号で突き止められない」
アレグロが受信魔法を唱える。
「なんだと?新聞社にアマデウス議員の圧力?今夜、間に合わなければ、もう記事にならない?」
彼は慌てて受信内容を説明する。
「ちょっと待て。発信者不明なのだろう?罠かもしれない。馬車を急がせて、賊が山で襲撃する準備を整えているのかもしれない」
と俺は口を挟むとエリーゼが
「だけど……これが、本当ならば、アマデウス議員に傍受されないように暗号化した可能性もなくもないわ。わずかに、本物の電報の可能性も残されている」
「なるほど。もし、罠だとすると、そこも含めて計算通りというわけか。ずいぶんと頭のいい賊だな。くそっ」
「賊とは限らないけど」とアキラが突っ込むが俺は否定する。
「いや、十中八九族の罠だ。罠だけど、術中にかかる覚悟で、近道しなければならないように仕向けていやがる」
手綱を握りしめ馬車の方向を山道に向けた。
「急ぐぞ!早馬でいかないと、朝刊に間に合わない!」
魔法馬車は道なき道を行く。
下調べした限りでは、起伏があるだけで、雷雨などで木が倒れていない限りは、安全な経路のはずだ。
だが、もし、賊が待ち構えているとしたら、どんな進行妨害が施されているかわからない。
「全員しっかりと警戒を張れ!」
おそらく全員に聞こえているはずだ。
10分ほど過ぎた頃、風の刃が俺の首めがけて飛んできた。
「くそっ!やっぱり罠だ!」
俺は馬車から横に向かって飛び降りた。
地面に体がたたきつけられるが痛みは少ない。
どうやら、ブーレが防御魔法を唱えてくおれたようだ。
俺とブーレは馬車から落とされてしまったようだ。
遠目にアレグロが手綱を握っているのが見える。
「急げ!俺たちのことは気にするな!」
言葉を合図に再び馬車は走り出す。
うまくやってくれよ。
祈るばかりだった。
「よう!お兄さんとお姉さん」
「けっへっへ」
山賊らしきやつらが4人俺たちを取り囲んだ。
見た限り、俺たちなら楽に勝てそうな相手に見える。
そんな戦力分析ができないような敵だろうか。
そうか。わかった。
「時間稼ぎ……というわけね」
「そうみたいだな」




