敵情視察 AAAクラスの冒険者
ジョバンニ視点
俺たちはAAA級クラスの冒険者。
ミラヴェニア学園のはずれの馬宿に泊まっていた俺たちは魔法電報で夜中に起こされた。
どうやら、緊急の暗殺の依頼らしい。
俺たちは赤龍を倒し、ダンジョンの地下120階を踏破し、数々の伝説のお宝を手に入れてきた。
本来なら有名人になっても不思議ではない冒険の数々をこなしてきたが、表ではそこまで名が知れ渡っているわけではない。
というのもちょっと盗賊ギルドのダーティーな世界で活動してきたからだ。
暗殺は、本業ではないが裏社会の黒い依頼を請け負うことも珍しくはない。
「アマデウスさんも人使い荒いぜ!こんな夜中に呼び出すなんてよ」
「よほど、追い詰められていると見える。まあ、これに恩を着せて金をせびり取りましょうや。魔族からもらったお金でがっぽがっぽ溜まってるはずですぜ」
俺様ジョバンニはスカルピアをなだめると作戦会議に移ることにした。
「んで、何をしろって?学生6人を惨殺した後に、秘書さんを葬ればいいわけか」
「バカ、そんな効率の悪いことするわけないだろ。俺たちの勝利条件は秘書の死だけだ」
ナイフを木箱に突き立てる。
「なるほど、6人の隙を見て葬ってやろうと。そのために護衛に当たった6人をなんとか秘書から引きはがせばいいわけね」
「そういうことだ。そこで敵情分析が重要になる。緊急だったので入学時のものだが3組の成績手に入れたぜ」
「お、仕事が早い」
「いちばん厄介なのが、ショパン&ブーレペアだ。学年主席ときやがった。学生風情とはいえ、こんなやつまともに勝負して、無傷ですむわけがない。こいつらをなんとかして戦力外に追い込むのが、最重要な作戦となる」
「ほうほう」
「次に厄介なのが、アレグロ&ソナタペアだ。下級クラス内ではトップの成績。こいつらも戦力外に追い込むに越したことはない」
「で、その4人を引きはがして残ったのが、雑魚みたいな成績のアキラ&エリーゼペアってわけか」
「そういうわけだ。秘書と3人になったところで、一気に戦力を畳みかけてぶっ潰す!」
「それって、オーバーキルってやつになっちゃわないか?」
「オーバーキルこそこの仕事をやっていていちばん気持ちのいい瞬間だろうが」
「ま、言われてみりゃそうだな」
スカルピアは顎をいじって考え込む。
「で、どうやってショパン&ブーレペアを引きはがすかが問題だ。アキラ&エリーゼペアを間違えてロックオンしたらまずいわけだろ?」
「そこんところは頭を使いどころよ。ま、俺たち流の泥臭いやり方でやろうぜ」




