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エリック・モリスは道化でござい

エリックになったエリーゼ視点

冷たい場所で固い地面で俺は眠っていた。


水滴が頬にかかり、目が覚める。


ここは、どこだ。


灰色の天井、鉄格子が目の前にあるのをみて、牢屋に閉じ込められていることがわかる。


目の前に、老人が立っていた。


見覚えがある。


いや、憎き親の仇ですらある。


アマデウス連邦議員!!


「よく眠れたかね。エリック・モリス」


「貴様!」


がばっと立ち上がるが、貧血なのか頭がクラクラする。


「暴れない方がいい。神経ガスを吸い込んだんだ。全快まではだいぶかかるだろう」


「俺は罠にかかったのか……」


「そういうことだ。スラムに噂をばらまけばすぐに君は来るだろうと思ってね」


なんてことだ。


既にスラムに向かう時点でやつの術中にはまっていたというのか。


クライスは、アマデウス連邦議員の過去のスキャンダルを知る最重要証人。


やつの秘密を知る元秘書だ。


彼女が居ると聞けば俺は絶対に動くと……。


焦ったか。


騙された。


「本物のクライスは?」


「さあな。我々も探しているところだ。それよりも……」


やつは杖で俺様の顎をつつく。


「これまで集めた証拠品はどこに置いてある?知っているぞ。貴様はわしが魔族にいけにえを捧げた証拠を集めていた。悪魔の契約書を魔族を倒しながら集めていたと。そして、仕上げとして証人クライスを抱え込み、新聞社に告発するつもりだった。そうだな」


「知らねぇな」


逃げられるはずがないとわかっているがとぼけてみせる。


「さて、悪魔の契約書をどこに置いているか喋ってもらおうか?ん?喋らんか?この!」


杖で、頭を殴られる。


「ぐっ!絶対に言うものか。これまで、死ぬ思いをして集めてきた証拠を……。貴様を告発して牢に送ってやる!地獄送りにしてやるんだ!」


「強情なやつだな。まあいい。おい!ここに連れてこい」


連れてこられたのは、なんとクララだった。


「クララ!すぐにこの牢から出してくれ!」


しかし、様子がおかしい。


「お呼びでしょうか?アマデウス様」


俺は凍りつく。


彼女の目にはかつての俺を見る暖かさがない。


代わりに、何か冷たく、計算されたものが宿っていた。


「クララ、何を言ってるんだ。俺だよ、エリックだ!」


俺は必死に彼女を呼びかけたが、クララの反応は冷たい。


アマデウスは得意げに笑いながら言った


「彼女はもう君の知っているクララではない。私の忠実な従者だ。魔族との契約の力、見くびってはいけないぞ。人の心まで操れるのだからな」


くそっ。


クララが敵に回ってしまうなんて、最悪の事態だ。


しかも、彼女の能力を使って、この牢からの脱出することも期待できなくなる。


「クララ、俺を見てくれ。思い出してくれ、俺たちが一緒に過ごした時間を。君は本当に、こんなやつのために俺を裏切るのか?」


クララの心の奥に残るかもしれない、かつての絆を呼び覚ますことを試みる。


しかし、クララは静かに首を振った。


「エリック・モリス、あなたと私に過去はありません。私の主はアマデウス様だけです」


絶望の二文字が頭をよぎる。


「ふふふ……ははははははははは!」


笑うしかなかった。


「どうした?気がふれたか?」


「これが笑わずにいられるか!強さだけで得た信頼関係のなんと脆いものか。強い体だけを追い求めた道化の末路よ!俺とクララはアキラたちのような真の信頼関係ではなかったのだ!」


クララは冷徹なまなざしで俺を見下ろす。


「さあ、エリック・モリス、最後にもう一度聞く。悪魔の契約書はどこにある?」


「言ってなるものか……」


父の仇をとってみせる。


そのために女の体を捨てた。


「そうか。では、貴様に呪いをかけてやろう。1か月間じわじわ苦しみながら死ぬ呪いだ。これにかかれば、貴様は命乞いをして喋りたくなるだろう」


やつが呪文を唱えると俺は再び意識を失った。

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声楽学園日記~女体化魔法少女の僕が劣等生男子の才能を開花させ、成り上がらせたら素敵な旦那様に!~
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