リベンジドラゴン
アキラ視点
僕は見てしまった。
エリーゼが泣いているところを。
エリック・モリスと一緒にいるところを。
あの2人の間に何があったんだ。
いや、だいたいは想像がつく。
きっと、エリックはエリーゼの元カレだったに違いない。
やつはエリーゼのことをこっぴどく振って泣かせたに違いない。
僕は、男としてエリックとはいつか決着をつけなければならない予感がしていた。
「おい、聞いてるか?ぼーっとしてどうした」
隣の席のアレグロの声に僕ははたと現実に戻される。
「チュートリアルドラゴン戦の時間だぞ」
はっと我に返る。
そうだ。
フェニックスクラスに昇進してから、すぐにまた昇進試験のチャンスが巡ってきたのだ。
この戦闘の点数で、上位に行けば、ドラゴンクラスの生徒と入れ替え戦の挑戦権が与えられる。
クラス分け試験のリベンジマッチというわけだ。
「エリーゼ……」
「準備は整ったわ。頑張ろう」
事前に申請する使用する魔法は、僕はベーシックアース、エリーゼは、フィールドグラウンドだ。
「回復魔法にしなくていいのかい?」
「チュートリアルドラゴン戦は、短時間でどれだけダメージを与えるかの勝負。悠長に回復なんてしてたら1位にはなれないわ」
なるほど、高得点を取るコツとはそんなものなのかとうなづく。
エリーゼに任せておけば間違いないという安心感があった。
案内されるまま、ヘッドセットを装着すると意識を失う。
目が覚めるとサンドボックスの世界。
茶色いブロックが高く積みあがって、急激な斜面になっている。
どうやら、今回のバトルは丘陵地帯のようだ。
チュートリアルドラゴンは空を飛び、火を噴くモーションをする。
「短時間で点数稼ぐわよ」
エリーゼはフィールドグラウンドを唱える。
敵味方問わず、地属性の攻撃の威力を1.2倍にする魔法だ。
重ね掛けができるので、4回唱えれば2倍、20回唱えれば38倍の威力になるのでバカにできない。
僕は、軽く走ってひらりと炎を交わすと、ベーシックアースを命中させる。
ダメージ表示とダメージモーションが見える。
攻撃が今回は確実に通っているようだ。
フィールドグラウンドとベーシックアースの詠唱は、それぞれ25回繰り返されたところでタイムアップになった。
「暫定1位!?」
結果の点数とランキング表を見て、ドラゴンクラス行きが夢ではないことに心底驚いた。
「ま、攻略法さえ把握していればチュートリアルドラゴン戦なんて簡単。あんたの実力だとこんな点数当たり前でしょ」とエリーゼは当然のような顔をする。
「さて、あとの問題は誰と入れ替え戦をするかね」
入れ替え戦?




