パンツとエクソシズム
エリーゼになったエリック視点
地下7階は、謎解きエリアだったが、解法は頭の中にある。
『うそつき村と正直村』といって、数的推理パズルとしてはド定番。
ダンジョン対策として、中学でも期末テストで出題される。
この他にも、ナインパズルやタングラムなど名前がついてるくらい有名なパズルが出題されるフロアがあり、せっかくの数学パズルなのに丸暗記していたら、意味がないじゃないかとは、たまに思うところだが、特に誰も気にしていない。
というわけで地下8階にやってきたわけだ。
ウィスプ、アンデッドがウヨウヨしている。
アキラのエクソシズム魔法に期待したいところだ。
「任せてくれ!」
頼もしい!
アキラはエクソシズム魔法を唱え、巻き舌を試みるが……失敗!
僕の方をちらちらとみてくる。
ええっ。
もしかして、パンツ見せろってこと?
そんな、心の準備ができてないよ。
そりゃ、アキラにだったら見られてもいいけど……。
だけど、今日は、勝負パンツじゃなくて、ただの縞パンだし。
いいやっ!何を僕は考えてるんだ!
普通の、普通の方法でアキラのサポートをするんだ!
「合唱するわ。アキラが失敗しても、大丈夫」
アキラがエクソシズム呪文を唱えるのを僕が巻き舌交じりのコーラスで支える。
呪文は成功した!
ウィスプの群れは一掃された。
「行くぞ!」
アキラは僕の手を恥ずかしそうに引っ張ってくる。
かわいいなあ。
僕のことを異性として意識してるんだね。
彼にとって特別な存在になれているのがプライドをくすぐられる。
「エ、エリーゼ!」
走りながらアキラは僕に話しかけてきた。
「もし、このレースが終わったら、勝負に勝ったら……、話したいことがあるんだ。僕たちの将来について……」
「ふぇ?」
もしかして、もしかして、愛の告白じゃ?
僕は、アキラをドキドキさせるのが楽しいけども、こうやって一緒に居られるのが楽しいけども、そこまで心の準備ができていないよ。
本当は男なのに何を言われるのだろう。
ひょっとして「好きだ!、毎日君のパンツ見せてくれっ!」なんて言われちゃうの?
でも、アキラにだったら、アキラにだったら……。
って、バカバカバカバカ!僕のバカ!
アキラがそんなこと言うわけないのに!
これじゃあ、僕がただの変態女じゃないか!
アキラがパンツにこだわるような発言、一度もしたことないのに。
僕だけが、僕だけがアキラにパンツを見せることにこだわって、こだわり続けて。
いやああああああ!
「ど、どうしたの?真っ赤な顔して」
「いや、なんでもない……」
アキラの顔がまっすぐ見れないよ。




