表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/100

転売屋と上級クラス

アキラ目線

あれよあれよと時が過ぎ、ダンジョン探検会の当日はやってきた。


「はいはい。特等席、このお値段でいかが?」


腹巻をしたおじさんがチケットを売りさばく。


「転売屋がいるの!?」


と僕が驚いて見せると、ソナタはウィンクして見せる。


「そりゃ、王国全体から注目されているもの。学生競技の最高峰としてね」


「なんかよくわからんけど、日本で言えば甲子園や箱根駅伝、アメリカでいえばスーパーボウルみたいなものか……」


ついつい、ファンタジー世界の住人達には通じない例えをしてしまう。


スーパーボールは学生じゃないという間違いも訂正できる人もいない。


探検会は、1年生の上級クラス、中級クラスが午前10時に同時スタートし、僕たち、1年生下級クラスは11時にスタートするという段取りだ。


この探検会の花形はなんといっても15時スタートの3年生の上級クラスらしく、僕たちはいわば前座みたいなものだ。


「1時間も先に上級がスタートしてくれるのか。モンスターを先に掃討してくれたら楽なんだけどな」


僕が希望を言うとアレグロは首を横に振る。


「はっはっは。そんな楽ちんなシステムじゃないさ。なにせ、倒したモンスターは、おおよそ1分から2分で復活するようになっている」


MMORPGのような仕組みに僕は落胆するが食い下がる。


「でも、逆に言うと、1分から2分の間はボーナスタイムなわけだよね?」


「その通りよ」


とエリーゼが口を挟む。


「敵が沸くまでの1分から2分の隙間時間をモンスターインターバル、略してモンタって言うんだけど、その時間を使った駆け引きが、選手同士で行われるわね。まあ、そのうち、上中級クラスのレースがはじまるから見ておいたらいいわ」


と説明が入ったところで、アナウンスも入る。


「上級中クラスのみなさん。スタート時間が近づきましたので、スタートラインにお集まりください」


スタートラインにわらわらと胸にドラゴンバッジ、フェニックスバッジをつけた生徒が集まる。


準備体操、瞑想、ストレッチ、ボイトレなどにそれぞれ夢中になり、ゼリードリンクを飲んでいる生徒もいる。


履いている靴もスポーツメーカーの軽いやつだ。


本当にスポーツそのものだ。


緊張感が高い。


今日のためにこの学校に入ってきた生徒すらもいると聞く。


レースの状況を映し出す魔法モニタの前には老若男女が群がっていた。


緊張の一瞬がはじまる。


ピストルの音が鳴る。


全生徒が、洞窟の入り口に向かって走り出す。


ゾンビのように狭い入り口に我先にと急ぐ。


「このレースは先行優位と言われているわ。後方に付けばつくほど、洞窟のコンディションが悪くなって、変なモンスターが湧くことがあるから、みんなトップ集団に着いていきたいの」


「なるほど」


僕は、山梨、つまり、雪国出身だ。


このようなスポーツを冬のオリンピックで見たことがあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
声楽学園日記~女体化魔法少女の僕が劣等生男子の才能を開花させ、成り上がらせたら素敵な旦那様に!~
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ