クララの恋心
クララ目線
エリックったら、いい人だけどつまらない男だと思ってた。
でも、最近、ちょっとイジワルで命令口調になってきたわ。
ふふ、今日は一緒に魔族狩りについてこいだなんて言うものだからついてきちゃった。
だって、まるでイチゴ狩りに行かないかのようなテンションでそら恐ろしいこと言うんだもん。
ワイルドで素敵。
従いたくなる。
口だけじゃなく本当に魔族をばったばったとなぎ倒すんだから、刺激的なオトコよね。
うふっ。
しかも、このことは二人きりの秘密だって。
彼の秘密を一つ知っちゃったわ。
きゃあ、うれしい。
彼と一緒なら地獄の果てまで着いて行きたくなっちゃうわ。
ああ、私たち、痛いカップルだってわかってる。
でも、そんな刺激的な恋愛ができていることがたまらないの。
それにしても、どっかの性悪女とちょっと性格が似てる気がするけど気のせい?
まあいいわ。
同性だったらむかつく性格だけど、異性ならかっこいいタイプなんだもん。
ザラストロという生意気な魔族が能書きを垂れる。
「根絶やしだと?ふん。貴様ら人間風情に倒される我であると思うか。5分だ。この後、大事な用事があるので5分で貴様を倒してやる」
「じゃあ、俺は1分で貴様を倒す」
「きゃああああああ!エリックー!がんばってー!」
いっけなーい。
つい場違いの黄色い声援を浴びせちゃう。
エリックは、魔法を唱え、ザラストロも唱える。
魔法の応酬がはじまった。
「マスターサンダー!」
「させるか!マスターアース!」
相反する属性の魔法が正面からぶつかり合う。
「この勝負!もらった!」
魔族がにやりと笑う。
そんな、エリックが負ける?
いいえ、そんなことがあるはずが。
だが、そんな私の思いとは裏腹に、マスターアースの威力は増していきエリックが押されていく。
手の汗がにじみだす。
「どうやら口だけだったようだな!」
「それはどうかな?」
するとエリックのサンダーの威力があがった。
「なに?」
「どの程度か試すために手加減してやったんだ。そんなこともわからんのか。俺様と戦ったことを後悔しながら死ぬがいい」
マスターサンダーは徐々にマスターアースを押し切りはじめる。
「嫌だ!死にたくない!お願いだ!魔法を解いてくれ!」
「貴様が殺したやつに同じことを言うやつはいなかったか?」
ザラストロは電撃を一身に受ける。
「ぎゃああああ!」
魔族は黒焦げになった。
「ふう。ザラストロでこれだけのパワーを持っているとは……。タルティーニを倒すためにはもう少し修行とボイトレが必要だな」
今でも十分に強いのに向上心が高いところがますます好きになっちゃうわ。
「ところで、やつが言ってた大事な用事ってなんだろうな?」
「さあ?」
何はともあれ、私たちの楽しい森のピクニックデートは終わり、帰途についたのでした。




