表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/100

決定的な挫折

エリーゼになったエリック視点

開幕、アヒルの母親が先導する中、子アヒルたちがついていく。


これはあくまで演劇。


完全にアヒルそのものの姿になると人間が感情移入できにくいので、アヒルでありながらも漫画絵のように人間味あふれる愛嬌を残したルックスに変身する。


ただし、僕だけみにくいあひるの子の姿。


アヒル変身魔法のうち、四小節だけ他のみんなと唱える魔法と変拍子にするとちょっと大柄で不細工な白鳥の子になるのだ。


アヒルの子たちが交代交代で僕に悪態を突くようなセリフを言う。


もちろんシナリオ通りだし、キリンクラスの仲間たちなのでそこまで本気で憎しみのこもったセリフを僕にぶつけてくる者はいない。


演劇として、声の美しさをアピールしつつ、流れるように皆演技する。


すごいな。


キリンクラスと言ってもみんなエリートだ。


僕もみんなに負けてられない。


客席にアピールしながらいじめられ演技をする。


まばらな拍手がやってくる。


キリンクラスの出し物などと思って、よそ見をしている人間、真剣に見ている者、客席は多種多様だった。


プレッシャーに押しつぶされそうになった僕は、真剣に見ている教頭先生の顔を見て緊張を緩和することにした。


ミュージカルのように歌うように演技する。


アヒルの子たちはやがて大きくなり、やがてクライマックスに。


体が大きくなり、そして、僕の体が白鳥になる場面だ。


成功してみんなを見返してやる場面だ。


ここで成功すれば会場はカタルシスの解放に満たされる。


だが、失敗したら……。


魔法を詠唱する。


練習の時に一度も成功していない白鳥になる魔法を。


ハイトーンボイスで難読の楽譜を詠唱する。


Aパートは無事成功、難しいBパートに差し掛かる。


そして、いちばん難しい場所……。


「アー…アッ!」


失敗した。


僕は膝まづく。


会場からため息が漏れる。


「やっぱりね」


「キリンクラスだったらこんなもんだよ。よくやったよ」


「あの子、上級クラスに行くとか生意気言ってた子だっけ?」


ざわざわが耳にあふれる。


演劇は失敗。


この魔法は一度詠唱を失敗したら、30分は再詠唱できない。


この劇場で30分も待ってくれる気長な人間はいない。


舞台袖に視線を投げると、目が合った男子が視線を逸らす。


僕の挑戦はどうやら失敗してしまったようだ。


ん?どこからか、強い視線を感じる。


アキラ!


何かを口パクで言っている。


何を言いたいんだ。


「歌え!」


と言っているように見えた。


何を歌えというんだ。


僕の敗北は決まったような今になって……。


はっ。


僕ははたと気づき立ち上がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
声楽学園日記~女体化魔法少女の僕が劣等生男子の才能を開花させ、成り上がらせたら素敵な旦那様に!~
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ